げんきな日本論 (講談社現代新書)

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本棚登録 : 283
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883917

作品紹介・あらすじ

皆さん、お待たせしました!

 30万部超『ふしぎなキリスト教』でおなじみ、ふたりの社会学者が、痛快無比に語り尽くした「新・日本史」の登場です。

 土器、古墳、ひらがな、源氏物語、日本刀、安土城、国学……なぜ日本人は、かくもユニークな文化を生み出せたのでしょうか?

 日本史にまつわるそもそもの疑問18個を真剣に議論することで、日本そのものの特異さやおもしろさ、現代に生きる日本人の「由来」が、どんどんわかってきます。
 そしてそれによって、自己を見失っていると感じる人でも、自信を取り戻して元気になれるのです!


「本書は、日本の歴史をテーマにする。
 でも、ふつうの歴史の本とは、まるで違う。
 歴史上の出来事の本質を、社会学の方法で、日本のいまと関連させる仕方で掘り下げるからだ。本書を読み進むにつれて、読者のみなさんは、まったく見違えるような新鮮な世界が、目の前に開けて行くのを感じられるだろう。
 それは、著者の二人にとっても同様である。橋爪大三郎がまず、18の疑問を用意した。そして、好敵手・大澤真幸と論じあった。二人にとってこの対談は、わくわくする刺戟的な体験だった。誰も(たぶん)考えたことのないようなことを、たくさん語ることができたからである。
 そう、本書は、日本列島で起こったあれこれの出来事が、人類史のなかでどういう意味をもつのか、普遍的な(=世界の人びとに伝わる)言葉で、語ろうと する試みである。」――「まえがき」より

感想・レビュー・書評

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  • 【あくまで論として、自由対談として読まれるのがベターです】
    「ふしぎなキリスト教」がベストセラーとなった社会学者の橋爪大三郎氏と大澤真幸氏のタッグが、今回は日本の歴史をテーマに対談形式で論じ合った本です。橋爪氏と大澤氏が、日本の歴史にまつわる18の疑問トピックについて、互いの領域の知識・アイデアを総動員して解剖していきます。話題は縄文・弥生時代から平安・戦国、そして江戸・明治時代までと、広くカバーされています。なぜ大きな古墳が作られたのか?なぜ日本には幕府が存在したか?なぜ信長は安土城を立てたか?など、選ばれているトピックもシンプル明快で、全編通して知的好奇心をくすぐるやりとりが進んでいきます。

    対談形式の読みものとしては、終わりまでとても面白く読み通せました。特に、日本の歴史に対する視点の置き方、光の当て方が独特です。歴史を学ぶ時には正面から「何があったのか、そしてどうなったのか」を覚えたり理解するに留まることが多いですが、この対談のアプローチは「なぜそうなったのか、どういう位置づけと意味を持つのか」をヨコからナナメから切り崩していく印象で、新鮮に感じました。また、対談者お二人の知識や発想も型にはまらず、様々な一見関係のない考えや出来事を糸でつないでいく作業も非常に面白いです。

    ただ、読まれる際には次の点を留意されると良いかと思います。
    ・タイトルが「日本論」となっているように、話される内容すべての根拠やデータが明確・正確なわけではなく、むしろ内容の大半が対談者の知識に基づく推察や仮説、アイデアによるものです。仮説の上に仮説を乗せるような空中戦のような展開もありますので、正しい正確な歴史を本書に求めてしまうと、真偽の?の連続で、なかなか前に進めなくなるかもしれません。へー、そんなこともあるのか、ぐらいに力を抜いて読むのがベターです。(論、としたのは「ふしぎな〜」で一部誤りが多いと批判を受けたため?というのは邪推かもしれませんが)

    ・同じく、内容はとても面白いですが、読後、得たものが何かの役に立たつかといわれると少し微妙ではあります。トピックも本当に絞られていますので、当たり前ですが各時代を網羅したものではありません。また、「げんきな」とのタイトルですが、読み終わって、日本の価値観を知って活力を得る、というような感じはありませんでした。ハイコンテキストな葛藤の多い歴史を良くぞ紡いでつないで来たな、というしみじみとした思いは湧きましたが。

    ・論調は基本言い切り型なので、わかりやすい反面、多少引っかかるところもありました。
    例えば、冒頭まえがきで「歴史教員や歴史学者が歴史を理解していない」とバッサリ断言されていましたが、少なくとも私が中学から大学まで歴史を教わった方々は、大半がダイナミックで面白い時代や人々の数々を情熱を込めて教えてくれましたし、そこで興味関心が大きく膨らみました。確かに社会学のアプローチは新鮮ですが、敢えて歴史学者をことさら否定する必要はないのでは、、?と少し疑問でした。

    以上、細かい点は色々あるものの、全体通して面白く読み進むことのできる一冊です。

  •  日本史の基礎事項と著者の持論・偏見を混ぜまぜしたもの。私はタイトル通り、平成の日本人論のひとつとして読もうとしました。が、比較文化チックな要素はそれほどありません。
     全体的に、ライトな保守派を読者層として意識した書き方に思えます。
     お二人が「すごーい」「とくしゅー」と連呼するのを見て、私たちが咽び泣くための本とも言えます。


    【版元の内容紹介】
     皆さん、お待たせしました! 30万部超『ふしぎなキリスト教』でおなじみ、ふたりの社会学者が、痛快無比に語り尽くした「新・日本史」の登場です。
     土器、古墳、ひらがな、源氏物語、日本刀、安土城、国学……なぜ日本人は、かくもユニークな文化を生み出せたのでしょうか?
     日本史にまつわるそもそもの疑問18個を真剣に議論することで、日本そのものの特異さやおもしろさ、現代に生きる日本人の「由来」が、どんどんわかってきます。
     そしてそれによって、自己を見失っていると感じる人でも、自信を取り戻して元気になれるのです!
    http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062883917

    【目次】
    まえがき(橋爪大三郎) [003-005]
    はじめに [006-011] 
      連立方程式としてみる/ストーリーをみつける/全体の流れ
    目次 [012-014]

    第一部 はじまりの日本 015
    01 なぜ日本の土器は、世界で一番古いのか 016
      日本の自然/日本は行き止まり/自然についての知識/移動か定住か/縄文土器はなぜ古いか/定住と交易/死者のための場所/ネイティブアメリカンとの違い/土器の編年/柳田國男と網野善彦/アンビリニアル/縄文と弥生/どうやって中国文化が伝わったか/イギリスとの違い
    02 なぜ日本には、青銅器時代がないのか 036
      青銅器とは/青銅器は、貴族制をうむ/鉄器の登場/車輪と戦車/クニとクニ/都市国家は戦争マシン/日本の戦争は、ゆるい
    03 なぜ日本では、大きな古墳が造られたのか 046
      敵との線引き/平和のため?/古墳時代の軍事力/王の権力/青銅器の役割/天皇制なのか/なぜ王制に?/倭とは?/他称と自称
    04 なぜ日本には、天皇がいるのか 062
      王朝の交代?/ウジとカバネ/血縁集団と名前/漢字を当てる/王と、大王/カミを祀る/神と天/日本に天がない理由/征服によって認めさせる/詫び状を入れさせる/カエサルの逆説
    05 なぜ日本人は、仏教を受け入れたのか 079
      中心と周縁/仏教を取り入れた背景/仏教は、普遍思想/仏教のもたらす矛盾/それでも字が読めた/拒絶しつつ受容する/精神世界の二重化/漢字は意味をもちこむ
    06 なぜ日本は、律令制を受け入れたのか 096
      朝鮮半島の地政学/中国軍は強い/天の観念を輸入できるか/カミと天/果たして律令制か/律令制の不思議/血統証明が不要

    第二部 なかほどの日本 107
    07 なぜ日本には、貴族なるものが存在するのか 108
      貴族とはどういうものか/中央政府のポスト/ヨーロッパの貴族/律令制と貴族/貴族はなぜ武士でないか/家産官僚でもない/土地を支配するということ/所領に住むか住まないか/荘園はネコババか/荘園の利害打算/農民のメリット/国家財政の窮乏/協会領と封建領主/協会は死なない/寺社領の不思議/寺社領か公家領か/中央政府の空洞化/クーデターが起きない理由/天皇の統治権/「空気」の支配/『古事記』『日本書紀』の戦略/贈与と税
    08 なぜ日本には、源氏物語が存在するのか 142
      漢字と仮名/万葉仮名/表音と表意/仮名の登場/漢字の重み/三つの仮名/片仮名の特性/カタカナ先習/なぜ、両方あるのか/平仮名と音の体系/漢字は外のしるし/音読み、訓読み/古典の成立/ラカンの仮説/女性と宮廷文学/カウンター世界
    09 なぜ日本では、院政なるものが生まれるのか 174
      摂関政治の不思議/妻の父の権力/通い婚の戦略/摂関政治の論理/田中派の論理/院政という可能性/院政の秘密/律令制の影/武家政治と院政/貴族の没落
    10 なぜ日本には、武士なるものが存在するのか 191
      武士とはなにか/馬に乗る武者/最初は馬を飼う人びと?/押領使の任命/貴族は武装した/馬はなぜ大切か/軍のリストラ/武士はビジネス/運輸を制する/騎兵なのか/武士のルール/武士は実利的/武士はイエか/封建契約/契約から運命へ/税金逃れ
    11 なぜ日本には、幕府なるものが存在するのか 219
      ふしぎな幕府/右近衛大将の意味/公家と武士/名目と実質/承久の乱/農民から見ると/頼朝の作戦/王朝交代ではない/南北朝の争乱/武士は脆弱/朝廷との距離/後醍醐天皇はどこが変?
    12 なぜ日本人は、一揆なるものを結ぶのか 243
      農民の自立性/惣村の成立/都市と農村/平等で自由/惣村は社会を変えうるか/農民と領主/国人一揆/一向一揆の論理/一揆の限界/農民と武士の機能分化

    第三部 たけなわの日本 259
    13 なぜ信長は、安土城を造ったのか 260
      斜陽の室町幕府/誰が戦国大名になるのか/正統性の創出/戦国大名・信長/信長の安土城と天皇/天皇をしのぐ権力/天守閣とはなにか/空中の信長/もし信長が生きていたら/信長が殺される理由/直属軍がいるか/武力を超えた権威/信長とキリスト教/後醍醐と信長/武士という矛盾
    14 なぜ秀吉は、朝鮮に攻め込んだのか 290
      後継者・秀吉/後継者を意識した/秀吉の手法/明を征服すれば……/朝鮮出兵の焦り/戦争マシン/消極的な気分/領地が報酬/統治のルールが違う
    15 なぜ鉄砲は、市民社会をうみ出さなかったか 304
      鉄砲開発の目的/鉄砲は社会を変える/テクノロジーと戦争/鉄砲と集団戦/武士が鉄砲を支配する/兵農分離/鉄砲は、反武士的/鉄砲とパイク兵/オスマン帝国の軍隊/鉄砲と刀/鉄砲に対する軽蔑/鉄砲を統制する
    16 なぜ江戸時代の人びとは、儒学と国学と蘭学を学んだのか 324
      江戸時代とは何か/絶対王政ではない/徳川の平和/空気を読む大名たち/正統性が弱い/武士が行政をやる矛盾/なぜ儒学か/武士の悩み/イエ制度の実際/イエの定義/意識されたイエ/イエは幕藩制の効果/イエ制度のなかの自由/江戸時代の社会/武士と行政文書/鎌倉仏教と江戸儒学/町人の儒学/日常と儒学/主君のため、イエのため/朱子学と幕藩制/テキスト原理主義/古代にさかのぼる/儒学と国学/中国ローカルなコンテキスト/宣長と源氏物語/古事記研究/儒学と宣長/道論争/実証とフィクション/蘭学というメソッド/デリダ的補助線
    17 なぜ武士たちは、尊皇思想にとりこまれていくのか 376
      尊皇思想の原点/新井白石と山崎闇斎/朱子学と尊皇論/天皇と教皇/無条件の服従義務/忠誠の宛て先/尊皇運動の根源/幕府はなぜ財政難なのか
    18 なぜ攘夷のはずが、開国になるのか 393
      幕府内部の論争/独立を全うできるか/和親条約の効果/親米感情/戊辰戦争の背景/刀か鉄砲か/幕藩制と同胞意識/大勢に従う/四民平等/流動性が高かった

    あとがき(大澤真幸) [413]

  • お2人の対談本3冊目読了。
    これまでに読んだ2冊ほどのキレはありませんでしたが、それでも結構気づきをいただきました。

  • 日本人の独創性は古来から

  • 2年間ほど途中で投げ出していた。同じ2人の対談である「アメリカ」を最近読んで、続きを読む気になった。この1年で「西郷どん」を見ていたのが大きい。攘夷と開国のつながりがどうなっているのかとか、刀と銃の関係とか、武士のこととか、いろいろと共感を持って読むことができた。また、この1年、「源氏物語」の原典にあたっていることも大きい。本居宣長のことや、儒教から国学の話などおぼろげながら分かってきた。ただ、間があきすぎたため、前半、何の話だったか全く覚えてはいない。それにしても、この2人はよく勉強をされているのだろうなあ。きっと、勉強することが仕事でもあるわけだけれど、趣味ともいえるのだろう。それ自体が目的であって、何かのために勉強をしているのではないのだろう。きっと、2人で対談する中で、それぞれの情報を持ちよることが、とても刺激的なことなのだろう。ワクワク感がずっと続いているのかもしれない。うらやましい。

  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    対談なので普通の書籍よりもスラスラと読めた。
    日本の歴史に対し、いくつもの疑問点を見出し、それに対する二名が意見を出し合いながら今までに当たり前だと思っていたことに対し、新たな視点を見出しているのが印象に残っている。
    この本を読むと日本が中国の影響を強く影響を受けていたことがよく分かった一方で中国の制度を変形し、うまく機能していなかったという点は驚いた。

  • 日本史において、普通に出てくる数々の「キーワード」、社会システムの変換点を表す「時代」、そういうものとして当然と受け取っていた日本の歴史が、いかに特殊なものであったのか、どうしてそうなったのかを膨大な知識量を背景に対話方式で展開していく本であり、それぞれの論点はかなり興味深いものでした。
    歴史の純粋な考察でもなく、裏付けもないので、信憑性があるものではありません。ですが、対談の中で新たな解釈が生まれていく躍動感と熱量を楽しめると、面白く読めると思います。

  • ・日本の歴史を多角的に分析。歴史的にみて天皇制が無くなるかもしれないタイミングはいくつかあったが亡くならなかった理由など非常に興味深い。このような解釈もあるんだね。視野が広がる

  • 『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』(ともに講談社現代新書)と同様、橋爪大三郎と大澤真幸の二人の社会学者が、日本史についての解釈をおこない、現代にまでいたるこの国のありようを解き明かそうとしている本です。

    著者たちの日本史の解釈は、専門の研究者から見れば大胆にすぎるのではないかと思われる箇所もありますが、日本社会の歴史的な形成過程を明らかにするという問題設定から日本史を読み解くという本書のスタンスは、歴史研究においてはあまり見られないアプローチのしかたで、おもしろく読みました。

  • 日本論というよりは日本史でした

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著者プロフィール

1948年神奈川県生まれ。社会学者。東京工業大学名誉教授。1977年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学後、1989~2013年東京工業大学に勤務。『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『こんなに困った北朝鮮』(メタローグ)、『戦争の社会学』(光文社新書)、『丸山眞男の憂鬱』(講談社選書メチエ)など著書多数。共著に『ふしぎなキリスト教』(講談社現代新書、新書大賞2012を受賞)など。

「2019年 『4行でわかる世界の文明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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