井伊直虎 女領主・山の民・悪党 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 50
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883948

作品紹介・あらすじ

2017年大河ドラマの主人公はリアル「もののけ姫」だった!

戦国の世、なぜ女性が領主となったのか? なぜ近世期、彼女は忘れ去られたのか?

母系社会から男性中心の徳川幕府へ。
自然から都市民たちの文明へ。
仏神の力を借りたカリスマから、異端視される存在へ――
遠州の山里を生きた直虎は、消えゆく中世的世界の象徴だった!

時代の転換期を生きた女城主の知られざる宿命を気鋭の研究者が描きだす一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 本書の著者・夏目琢史氏は1985年浜松市出身の社会学者。井伊直虎の地元です。15歳の時から直虎ゆかりの龍潭寺住職から直虎の話を聴いていたとのこと。直虎が世間一般に知られる以前から直虎をご存知だったという筋金入り(?)の直虎ファンです。

    夏目氏の分析がユニークです。徳川家康と出会う前の井伊家というのは、「山の民」であり「悪党」だったとのこと。日本の中世から近世への転換期である戦国末期の最後の象徴的な人物として直虎を捉えています。

    http://naokis.doorblog.jp/archives/naotora.html【書評】『井伊直虎 女領主・山の民・悪党』 : なおきのブログ

    <目次>
    はじめに 直虎はヒロインにふさわしいか?
    第一章 直虎の生涯
    第二章 直虎の正体 − 「山の民」「女性」「悪党」
    おわりに 歴史の岐路に立つ人びと
    あとがき

    2016.11.03 新書巡回
    2016.12.10 読書開始
    2016.12.15 読了

  • 今更ながら2017年の大河ドラマ(といっても12月現在、もうすぐ終わってしまうけど)井伊直虎について現実世界ではどんな感じの人だったのか気になったので読んでみた。この本は1、2章立てになっていて、1章では井伊直虎の生涯、2章ではタイトルにもある山の民や悪党などを絡めた著者の持論が展開されていた。
    感想としては、そもそも井伊直虎についてはほとんど資料が残っていないという事を知って、そんな中1年間のスパンの大河ドラマになっていたことに驚いた。1章では現実世界での直虎の生涯や井伊家について知る事が出来て大河ドラマよりかなり残酷というかこれが戦国時代なんだなって改めて思わせる事ばかりだった。特に但馬関連は全然違うからけっこうショックを受ける人も多そう。2章では資料がほとんど無い中でも、著者の持論が展開されていて直虎は山の民だったり悪党だったという考えはなるほどと思った。大河を観ていても確かに山の中に隠し里があったり、木を切る仕事を井伊家関係者が頼まれたりで、山の民感はちょっと納得できた。著者の持論に対する熱意が思ったよりすごくて何でかなと思ったら、出身地が浜松だから井伊家についての思いも強いのかと納得した。あと、文章の中で例えとしてもののけ姫が出てきて、井伊直虎=エボシ御前や、井伊谷=たたら場みたいな感じでもののけ姫の世界感に当時の井伊家周辺を当てはめてたのが面白かったし、そのおかげで映像も想像出来て話がちょっとだけ理解しやすくはなった。

  • (2017.08.18読了)(2017.06.20購入)
    副題「女領主・山の民・悪党」

    【目次】
    はじめに 直虎はヒロインにふさわしいか?
    第一章 直虎の生涯
    第二章 直虎の正体 「山の民」「女性」「悪党」
    おわりに 歴史の岐路に立つ人びと
    あとがき

    ☆関連図書(既読)
    「おんな城主直虎(一)」森下佳子作・豊田美加著、NHK出版、2016.11.25
    「おんな城主直虎(二)」森下佳子作・豊田美加著、NHK出版、2017.03.25
    「おんな城主直虎(三)」森下佳子作・豊田美加著、NHK出版、2017.06.30
    「井伊直虎と家康」小和田哲男・大石康史著、NHK出版、2017.01.01
    「湖の雄 井伊氏」辰巳和弘・小和田哲男・八木洋行著、しずおかの文化新書、2014.02.28
    (「BOOK」データベースより)amazon
    母系制社会から男性中心の徳川幕府へ。自然から都市民たちの文明へ。仏神の力を借りたカリスマから、異端視される存在へ―。遠州の山里を生きた直虎は、消えゆく中世的世界の象徴だった!

  • NHK大河ドラマの主人公に抜擢されながら、その名を直接確認できる公の史料がたった二点のみという、恐らくは同番組の歴史物史上最もマイナーな存在といえる井伊直虎。本書は同女の負った宿命に纏わる3つの謎を呈示し、序章で直虎の活躍した時代とその生涯を紹介しながら、終章でそれを解き明かすかたちで論が進められて行く。

    著者の論を牽強付会と咎めることなかれ。本書を読めば理解できるが、何せ直虎に関しては客観的資料が極めて少ないのだ。しかし著者のようなプロの歴史家は、少ないながらも現存する史料の中から何がしかの考証を導き出さねばならない。そのような制約下、入手可能な史料をコンパイルし、直虎という異色の存在意義を何とか明らかにしようとする著者の試みはすぐれて知的興奮に富むものだし、読み物としても多分に面白い(ジョセフィン・テイ「時の娘」を想起させる)。そもそも、史学とは無数の歴史家の弛まぬ探索と推論から紡がれているものだということを改めて想起させてくれる良書。推測が多いと批判する向きは、何でもかんでも記録される現代とは異なり、過去の出来事の多くは客観的証拠を持たないということを今一度認識すべきと思う。

    しかしそれにつけても本書の著者名である。「琢史」。「史」を「琢(みが)」く、とは良くも名付けたものだ。そしてその名の通り、乏しい史料を多面的な考証により磨き上げ、新たな歴史観を呈示しようとする著者の意気込みに敬意を表したい。無駄のないストイックな文体にも好感が持てた。

  • 大河ドラマにあわせて、「井伊直虎」という人物を学ぶ。筆者は地元出身の若手の研究者。

    史料をもとに直虎の生涯を追ったあと、井伊氏は「山の民」「悪党」であるとの論を展開している。大きな視点で「直虎」を、歴史の中でどう位置付けようかとする試みであり、ただの人物伝になっていないところがおもしろい。

    筆者も言うように「仮説」が多く「実証的でない」と思われる部分も確かにあるが、持っていき方の視点は興味深く、ここからまた、遠江井伊氏の歴史が明らかになっていくと良いと思う。

  • 平成29年の大河ドラマの主人公「井伊直虎」について、「山の民」「女性」「悪党」をキーワードに読み解く。直虎は、中世から近世へという歴史の分岐路における象徴的存在であると主張する。
    著者は筆力はあるようで面白く読めたけど、これは歴史学の研究成果としてはぶっ飛びすぎてると感じた。著者自身が「実証主義的ではない!」との批判を覚悟しているとおり、「であろう」「ではないか」が多用され、仮説に仮説を重ねている感じがした。
    ただ、「まずはその人が生きた風土と社会を知らなくてはならない」として、歴史研究において、地理的要素や地域に残る伝承などを活かそうとしている点は、意欲的な試みとして評価できると感じた。
    いろいろ問題は感じるが、著者の意気は買うし、自分と同世代の研究者なので頑張ってほしいと思う。

  • 題名通り、新書トイウカ論文、もののけ姫観よう

  • 個人的に井伊谷や気賀に縁があり、高殿円の「剣と紅」も以前読んだ。

    本書に書かれた次郎法師=直虎の曽祖父の井伊直平から始まりその4代後の直政までの井伊一族の盛衰は、大大名に翻弄される地方豪族としては典型的なものだろうし、直虎が大河ドラマの主人公にならなければ本書は書かれなかったかもしれない(少なくとも書名は違っただろう)。

    著者が書きたかったのはむしろ後半部分の、山の民だった井伊一族が都会民である今川家や徳川家と交わることにより都会民に同化していった、という仮説だろう。
    確かに井伊谷は少し奥に行けば鬱蒼とした山岳地帯だし、500年前は更にそうだっただろう。
    当時の井伊谷にもののけ姫の世界が広がっていたと想像するのも悪くない。

  • 御多分に洩れず、今年の大河ドラマの主人公ということで読む。正直どんな人なのか知らなかった。何せ、読み方も女性という事なので「なおこ」と読むのかと思っていたくらい。

    筆者は地元出身の若い歴史学者らしいが、中々スリリングな論考で楽しい読者ができた。所々で、強引な論考も見られ、筆者の歴史観が押し付けられる部分もあるが、概ね納得できる物になっている。

    それにしても、古文書の原文が自力ではほとんど理解できない自らの学の無さに、ほとほと情けなくなる。

  • タイトル通りの内容であれば良かったのですが、著者の個人史観だけで、まーこんなものかと言う感想です。

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著者プロフィール

2018年4月現在国士舘大学文学部史学地理学科専任講師。公益財団法人德川記念財団特別研究員。

「2018年 『「名著」から読み解く日本社会史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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