老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路 (講談社現代新書)

  • 講談社 (2016年11月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784062883979

作品紹介・あらすじ

 私たちは、「人口減少社会」なのに「住宅過剰社会」という不思議な国に住んでいます。右肩上がりに空き家は増え続け、15年後には3戸に1戸が空き家になってしまうにもかかわらず、都市部では相変わらず超高層マンションが林立し、郊外では無秩序に戸建て住宅地の開発が続いています。住宅過剰社会は住みにくい「まち」の原因です。あなたは最近、自分の「まち」が住みにくいと感じることはないでしょうか?


 私たちは、「人口減少社会」なのに「住宅過剰社会」という不思議な国に住んでいます。

 住宅過剰社会とは、世帯数を大幅に超えた住宅がすでにあり、空き家が右肩上がりに増えているにもかかわらず、将来世代への深刻な影響を見過ごし、居住地を焼畑的に広げながら、住宅を大量につくり続ける社会のことです。

 空き家が右肩上がりに増え続け、15年後には3戸に1戸が空き家になってしまうにもかかわらず、都市部では相変わらず超高層マンションが林立し、郊外では無秩序に戸建て住宅地の開発が続いています。

 多くつくられ過ぎた分譲マンションは、入居者が減ってしまうと、管理が杜撰になってゆき、スラム化などの治安の悪化を呼びかねません。戸建ての空き家もまた害虫などが住みつき、周りの住環境を悪化させてしまうでしょう。

 かたや、住宅地が無秩序に広がると、それだけ新しい水道などのインフラや公共施設が必要になり、そのために多額の税金が費やされます。
 
 このままでは私たちが「まち」に支払う税金の負担がかさむ一方で、住環境は悪化の一途をたどるという末路が待ちうけるのです。

 最近、自分の「まち」が住みにくいと感じることはないでしょうか?

 住みにくいと感じるとしたら、それは実は、住宅過剰社会が生み出しているのかもしれません。

【本書の内容】
第1章 人口減少社会でも止まらぬ住宅の建築 
1.つくり続けられる超高層マンションの悲哀
2.郊外に新築住宅がつくり続けられるまち
3.賃貸アパートのつくりすぎで空き部屋急増のまち
第2章 「老いる」住宅と住環境
1.住宅は「使い捨て」できるのか?
2.空き家予備軍の老いた住宅
3.分譲マンションの終末期問題
4.住環境も老いている~公共施設・インフラの老朽化問題
第3章 住宅の立地を誘導できない都市計画・住宅政策
1.活断層の上でも住宅の新築を「禁止」できない日本
2.住宅のバラ建ちが止まらない
3.都市計画の規制緩和合戦による人口の奪い合い
4.住宅の立地は問わない住宅政策
5.住宅過剰社会とコンパクトシティ
第4章 住宅過剰社会から脱却するための7つの方策

みんなの感想まとめ

住宅過剰社会の深刻な問題を描いた本書は、私たちの住環境に対する理解を深める重要なテーマを扱っています。人口減少にもかかわらず、空き家が増え続け、都市部では高層マンションが立ち並ぶ一方で、郊外では無秩序...

感想・レビュー・書評

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  • 住宅過剰社会の問題は影響範囲が広いので、皆が理解を深め議論しないといけないテーマですね。人ごとではあり得ません。

  • 2019.08.20 ショッキングな内容。わかってはいるが、改めて突きつけられるとかなり焦る。このままでは都市は崩壊してしまう。厳しい現実だ。

  • ・空き家のタイプ4類型:賃貸空き家、売却用空き家、二次的住宅、その他空き家
    ・2023年には5戸に1戸、2033年には3戸に1戸が空き家
    ・全国の空き家の52.4%(429万戸)が賃貸住宅。サブリース

  • 日本は空き家も老いた住宅も右肩上がりに増加し続けている。しかし、タワーマンションや地方郊外での新築住宅は増えている。
    これは新築住宅に対して積極的に支援してきた日本の長い歴史が関係していると述べる。(経済危機のたびに、税金を投入して住宅ローン減税を行ったり、固定資産税等の税制上の優遇処置を拡大するなど。)
    最後に筆者の思う方策が書かれてるがどれも抽象的すぎて記憶に残らないのが残念。
    海外の例でアメリカデトロイトで2003年にランドバンクが設立され、放棄される空き家を管理している例があげられていた。

  • 初版から8年弱。家の周りを見ると住宅過剰社会は加速してる気がする。空き家は取り壊され、コインパーキングに。街の画一化に危機感を覚えています。

  • 約十年前に書かれた本で、団塊世代が75歳になる2025年問題や東京オリンピックのことなどが将来の心配ごととして挙げられている。
    よもやコロナこととかオリンピックが延期開催されるなど想像もできなかった時期。
    タワマンが乱立し、億越えの販売に驚かない現実は、著者の想像以上かも。
    中央区の人口増加も、確認したら著者の予想通り。
    その後の実態はどうなのか気になる。

  • 人口減社会においてなぜ新築住宅が建ち続けているのかという疑問から手に取った。住宅会社や政治家の近視眼的(かつ切実)な思惑が理由であるわけだが、この複雑に絡み合った要因をとりほぐしながら、よりベターな方向に物事を進めていく難しさを痛切に感じた。
    「7世代先のことを考えよ」というネイティブアメリカンの教えを思い出すとともに、自らも経済主義に溺れる感覚に染まっていないかハッとさせられた。

  • 人口減少社会において必要な法整備が後手後手にまわっていることがよく分かった。
    自分の家族、あるいは自分の世代だけではなく未来の世代にどのような都市を街を残せるか、意識していきたい。

    著書が巻末にまとめた7つの対応策は以下の通り。
    1.自分たちのまちへの無関心・無意識をやめる
    2.住宅総量と居住地面積をこれ以上増やさない
    3.「それなりの」暮らしが成り立つ「まちのまとまり」をつくる
    4.住宅の立地誘導のための実効性ある仕組みをつくる
    5.今ある住宅・居住地の再生や更新を重視する
    6.住宅の終末期への対応策を早急に構築する
    7.もう一歩先の将来リスクを見極める

  • 現代日本において無秩序に建てられ続ける住宅群、超高層マンション。空き家が増えているにも関わらず何故建てられ続けるのかという解説と、都市計画法等の法律や地方自治体の考え方や姿勢への問題提起、改善方策を示した一冊。

    都市部では空き家がどんどん増えているにも関わらず法規制の緩和や企業、地権者の思惑から郊外に新築住宅が建てられ続け、都市部でも一定の地域に超高層マンションが建てられ続ける。そのことによりインフラへ等への問題が出てきて効率の悪い街が出来上がる。例えば無秩序に郊外に住宅が広がっていった場合には公共下水道、電気、ガス、ゴミ収集、学校、病院、橋などの公共施設のメンテナンスなど対応しなければならない範囲がどんどん広がっていってしまう。地方都市郊外の市町村では人口が増えれば税収が増してその街が豊かになるという考えのもと周りの市町村から人口を奪うような形で市街化調整区域での法的緩和を行なっている。それらの緩和をやめない限りは今後も調整区域に住宅は建て続けられるだろう。

    都市部に一極集中で超高層マンションが乱立した場合にはそのエリアのみ小学生の数が一気に増えてキャパオーバーになって増設したり、駅のホームが混雑しすぎるなど諸問題が起こってくる。
    これらが問題なのは高度経済成長きなどとは違い今は人口減少社会なのに、という点である。インフラや施設は徐々に不要となっていく時代にむしろそれらを拡大しなければ成り立たないというのは都市計画がうまく機能していないとも言える。
    また、超高層マンションに代表される分譲マンション自体にも問題がある。分譲マンションは管理会社があるわけではなく居住者同士のコミュニティーによって成り立っている。こうしたマンションの終末期のことを考えると解体する、建て替えをするとして一体誰がそれらの費用を出すのか、等の問題も出てくる。そのような問題を抱えたマンションを何も考えずに作り続けるというのはいかがなものかと筆者は訴えている。

  • 自分の住んでいる街の様子をずっと見ていて漠然と感じていたことをきっちり説明してもらった気分。このままでは絶対まずいことも、だからといってすぐ解決できる問題でないことも、

  • 住宅ではなく、住めない空き家が過剰なのではないだろうか。問題意識には同意するが、ミクロ経済学的な視点がもう少し前提にあれば、建設的なインプリケーションにまで到達できると思うのだが

    【感想】
     大学の研究者による本なのだが、ややイシューを洗練させ切れていないというか、ホットな問題トピックをつらつら並列で書いているような本。ジャーナリスティックな書きっぷり。新書で、手広く問題を取り扱いたいからだろう、と思える。やや言葉の選び方、現象の描き方がミスリーディングチックに思えた。例えば、再三「日本は人口が減少しているのに、住宅が作られ続けているのはおかしい(問題)」と語られるのに違和感がある。確かに、その文を読めば、なんだかおかしいような気がするが、このセンテンス自体がミスリードであると思う。もう少し現象を正しく記述するなら、「一部の人気の地域には住宅が増やされ続けている。一方、人気の無い地域からは人が減り続け、元の住居は放置されている」ということである。これは長年言われ続けている現象「都市への一極集中」「田舎の過疎化(建物放置)」とほぼ同義だと思う。それを、あえて俯瞰して眺めることで、別の問題を浮き彫り?にしたいという事だろうか。ただ、そのマクロ的視点を持ち込んで、どのようなインプリケーションが生まれるのか?私には掴みきれなかった。

     「住宅の供給過剰」という言葉もミスリーディングに思う。正しくは市場に流通しない持ち手も不明な空き家がたくさんある一方で、新しいマンションや住宅が作られ続けている、という事だろう。市場に出てきていない、もしくは買い手がつかないような空き家・家はそもそも経済学上「供給」されていないに等しい。それらを含めて「住宅」として括ってしまうのは、現象を誤認しているように思う。問題の本質は「空き家」や「古い家」が市場供給されていないことではないか。研究者であれば、ではいかにそのマーケットデザインをするのか、政策デザインをするか、という話があるかと思ったが、そのような記述は少なかった。どちらかというと、ルポ的な記述が中心である。「建設業界はどうしても短期的な利益を追い求めて、家を建て続けてしまう。」「需要があるからといってタワーマンションを建て続けている、それで付近の景観が悪くなっている。」「不動産は『負』動産になってきた」などのような悪い現象の記述に文を割きがちである。本書を読むと、どうしても今の住宅企業や、自治体が都市計画・条例を整備していないのが悪いように感じてしまう。ただ、彼らはきちんと自己利益の最大化をはかっているだけなので、それを外から批判してもインプリケーションは弱い。もう少し、当たり前のミクロ経済学的視点があれば、面白くなるのになぁ、と思った(研究者の本に期待するコトとしては)

  • 365-N
    小論文・進路コーナー

  • SDGs|目標11 住み続けられる まちづくりを|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685762

  • 2021/04/12

  • 過剰に住宅を供給することで回り続けることをやめられない社会。政策の問題はよく分かったけれど、個人としてはどうしたら良いのだろうか?

  • 規制緩和による現代的なスプロールや住宅の供給過剰が、社会にとって中長期的にいかに悪影響になるかということを、一般読者向けにわかりやすく(ややセンセーショナルに)解説された本。
    論文成果や自治体保有のデータに基づいて、誠実な著述がされているな、という印象でした。
    当方は都市計画コンサルながら、住民活動的なまちづくり分野に関心が偏っており、土地利用計画分野の素養が薄かったため手に取りましたが、期待以上の勉強になりました。

  • 人口減少社会の日本だが、住宅は供給過剰。
    有効な規制がないため、新しい住宅を建て続けている。
    結果、空き家は増加し続け、街の価値や治安が悪化する。
    新築の規制と、空き家対策の両方が必要。

    地方都市などでは、人口増加のために“規制緩和”をし、“再開発”を謳う。
    だが、無計画な開発は、将来的には人口減による税収減を招き、道路・水道等のインフラや、公共サービスの維持が困難になるという問題を生み出す。

    個人的な最大の関心事。
    高度経済成長期に作られた公共施設や住宅の問題。
    これらの建物はいっせいに老朽化・更新期を迎えている。これまで通りに維持・管理するのは、自治体の財政状況を考えるとほぼ不可能。
    将来的な負担にならないように、いかに「減らしていくか」という長期的な計画が求められる。

  • タイトル通り
    東京の湾岸部、地方の農地などの規制緩和のために無秩序に建設される住宅
    地方で自動車がないとアクセス不能な住宅地が住民の世代交代が進まずゴーストタウン化する
    空き家には4種類ある「賃貸空き家」「売却用空き家」「二次的空き家(セカンドハウス用)」「その他空き家」。この内の「その他空き家」が多いと問題になる。
    戸建の場合、駅から近い場所に「その他空き家」が結構多くある。
    都市計画が建築規制と連動したいないため、あるいは都市計画がない地域が多いため、危険地域にも家が建てられ、スプロール化が止まらない。

  • 前半の内容は、マンションに住んでる方はこれから必ず起こる問題を説明してくれているので必読です。空き家問題は、行政・市町村の近視的な対応で起こった人為的問題だとよくわかる。
    市街化調整区域や都市計画の規制緩和で人口密度が低くなり、道路・トンネル・橋・学校・ゴミ処理、回収・上下水道・電力・ガスなどのインフラ維持の財源が確保出来なくなり、持続不可能な街ができ、年金と同様に将来世代にツケを回すことになりつつある。
    各市町村は持続可能なコンパクトシティへの立地誘導の政策や規制を行い、将来世代が困らない様にしていただきたい。

  • 一旦返却、2017年12月に読み終わった。日本の未来は今から考えておかないとかなり危険。問題を先送りにしている気がしてならない。不動産屋も建設会社も食べていくためには今儲けないとしょうがないという理論。

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著者プロフィール

兵庫県生まれ。1996年、大阪大学大学院環境工学専攻修士課程修了後、ゼネコンにて開発計画業務等に従事。その後、東京大学大学院都市工学専攻博士課程に入学、2002年、博士号(工学)取得。東京大学先端科学技術研究センター特任助手、同大学大学院都市工学専攻非常勤講師を経て、2007年より東洋大学理工学部建築学科准教授。2015年より同教授。共著に『白熱講義 これからの日本に都市計画は必要ですか』(学芸出版社)、『都市計画とまちづくりがわかる本』(彰国社)がある。

「2016年 『老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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