ヒットの崩壊 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883993

作品紹介・あらすじ

激変する音楽業界、「国民的ヒット曲」はもう生まれないのか?

●宇多田ヒカルの登場はJ-POPをどう変えたのか?
●小室哲哉はどのように「ヒット」を生み出してきたのか?
●いきものがかり・水野良樹が語る「ヒットの本質」とは?
●オリコンは「AKB商法」をどう受け止めているのか?
●なぜ「超大型音楽番組」が急増したのか?
●「スポティファイ」日本上陸は何を変えるのか?
●なぜBABYMETALは世界を熱狂させたのか?
●SMAP解散発表で広がった購買運動の意味とは?

「ヒット」という得体の知れない現象から、エンタメとカルチャー「激動の時代」の一大潮流を解き明かす。

テレビが変わる、ライブが変わる、ビジネスが変わる。
業界を一変させた新しい「ヒットの方程式」とは…?

【目次】
■第一章 ヒットなき時代の音楽の行方
「音楽不況」は本当か?/10年代の前提条件/AKB48とSNSの原理/「共通体験」がキーを握るなど

■第二章 ヒットチャートに何が起こったか
「音楽は特典に勝てない」/オリコンの未来像/ビルボードが「複合チャート」にこだわる理由/カラオケから見える10年代の流行歌/ヒット曲が映し出す「分断」など

■第三章 変わるテレビと音楽の関係
東日本大震災が変えたテレビと音楽の歴史/「入場規制」が人気のバロメーター/「メディアの王様」ではなくなった/『ASAYAN』以降の空白など

■第四章 ライブ市場は拡大を続ける
「聴く」から「参加する」へ/「みんなで踊る」がブームになった時代/スペクタクル化する大規模ワンマンライブ/メディアアーティストがライブの未来を作るなど

■第五章 J-POPの可能性──輸入から輸出へ
はっぴいえんどのイノベーション/洋楽に憧れない世代の登場/なぜカバーブームが起こったか/「過圧縮ポップ」の誕生/中田ヤスタカが作る次の「東京」など

■第六章 音楽の未来、ヒットの未来
音楽を“売らない”新世代のスター/ロングテールとモンスターヘッド/小室哲哉の見出す「音楽の未来」/unBORDEの挑戦/水野良樹が語る「ヒットの本質」/音楽シーンの未来など

感想・レビュー・書評

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  •  過去10数年間に起きた音楽業界の構造転換を、音楽ジャーナリストの著者がさまざまな角度から浮き彫りにしていくルポルタージュ。
     
     「国民的ヒット曲」が生まれなくなり、CDが売れなくなった。そうした変化をふまえて『ヒットの崩壊』というタイトルになったのだろうが、タイトルから受ける印象よりもずっと明るい内容だ。
     CDが売れなくなったといっても、それは「音楽業界の崩壊」を意味せず、業界のありようが変わっただけであり、むしろ、いまの音楽業界は活気に満ちている――ということが書かれているからだ。

    〝なぜ「音楽は売れない」のに「バンドもアイドルも生き残る」時代になったのか?
     そこには、一つのシンプルな解答がある。
     音楽業界の構造が変わり、いまや音源よりも興行が重要な収益となっているから。つまり、CDよりもライブで稼ぐ時代になっているのだ。〟

     著者はそのような業界の大転換を、キーパーソンへのインタビューと、第一線の音楽ジャーナリストとしての経験・知識から、鮮やかに浮き彫りにしていく。文章は明晰で、論の進め方にもあいまいさがなく、大変わかりやすい本だ。
     私自身がヒット曲、ヒットチャートというものにほとんど興味がないせいもあって、目からウロコが落ちまくる内容であった。

  • 芳しいものではなかった 怒髪天 「デビューさいち最遅」で武道館公演を成功させた 相乗効果で凄い波及力を持っていたんで 刷り込み 曲の出口 人々の興味は細分化され、セグメント化されてきている。 共通体験 人間の対決 人々の耳目を集めるランキング対決 オリコンランキングは二重の意味でハッキングされたのだ。 宗教とは投票に近い 膾炙かいしゃ 「入場規制」が人気のバロメーター 凋落 相互扶助の精神が少しずつ薄らいできたのだ かつてあった「お茶の間」というイメージは解体された カルチャー全体に対する興味が細分化した アーキテクチャ=構造 バズる パパイヤ鈴木 ファレル・ウィリアムス 三代目 ランニングマン 10年代のすうせい趨勢だ 音楽は本来「コンテンツ」ではなく「コミュニケーション」だ 地殻変動はいつ頃にあったのか 招聘 かくせい隔世の感 ノスタルジーと諦念の入り混じったような文学的な情景を描き出していた 紙幅が足りないので大幅に端折るが イエローサブマリン音頭 メタルダンスユニット・ベイビーメタル 「カレーうどん」としての発想 上田剛士 ヒャダイン 中田ヤスタカ 変化をいと厭い「ガラパゴス化」していた スポティファイ アデル25 ロングテールとモンスターヘッドが二極化した時代 「右向け右」の数百人ではなくオンターゲットでしっかりと届けることを目指しています。 健全な「ミドルボディ」を作る ゲゲゲの女房 一番強いのは『歌う』ということ 島宇宙化 百花繚乱 旧態依然 新開誠 ローカルな多様性 201610柴那典

  •  こけおどし的なタイトルだが、要するに00年代を経て10年代に至った日本のポップ音楽産業においては、かつては有効だったような、CMやドラマとタイアップしてCDの販売数を上げ、ランキングにおいて上位に食い込むことによって楽曲(あるいはCDタイトル)が「ヒットする」という図式が、もはや無効になってしまった、ということである。だから、正しくは「ヒットというものがなくなった」ということではない。この書名は正しくないのだ。
     90年代にはCDは確かによく売れたが、世界的に見てそれはもはや売れなくなった。リスナーは音楽を「所有する」のではなく、「アクセスする」ようになった。これはもちろん、インターネット、ストリーミングサービス、スマートフォンなどのテクノロジーの波が社会形態を大きく変容・再生成しているという事実によるだろう。
     CDなどの楽曲タイトル販売ははっきりと低調になったが、実はライブのほうが利益を増加させている。従ってミュージシャンの活動も、ライブの方がメインになってくる。音楽産業はそちらにシフトするのが必然である。
     本書によると、J-POPの世界では、最近は明確に「誰もが知っているヒット曲」は出てこなくなり、CDランキング(オリコン)はまったく無効で、カラオケで歌われる曲を統計すると、長く愛される楽曲のすがたが見えてくる、ということだ。
     しかし、やはり「ヒット曲はなくなった」というのは誤っている。
     著者も最後の方で海外の状況に目を向けたときに気づくのだが、アメリカなどでは依然として明確な「ヒット曲」が存在する。それは、様々な要素を考慮した総合的なランキングを参照している。
     Spotifyのようなストリーミングサービスが台頭してきたにもかかわらず、日本での音楽状況が以前過去のCD販売中心の姿勢から切り替えられないのは、日本の企業というものが大半はトップダウンで、保守に凝り固まった世情を知らない年寄りが権力をふるい、いつまでたってもカローシを得意とするような、あまりにも愚かな企業だからだろう。
     このため各企業はストリーミングサービスに乗り気にならず、日本では、最新のヒット曲がほとんどストリーミングに登場しない。その一方ではCD離れは決定的な状態になっているのだから、若者はCDは買わず、 なんとかYouTube等で新曲に接しているようなのだ。
     このように、日本の音楽産業は相変わらず古くて劣悪であり、本書の著者のようには楽天的になれない。明らかに英米よりはずっと遅れている。産業界の認識主体が、時代に追いついていないのである。
     だから、日本では、音楽やる人々は、企業(レコード会社とか)なんぞ無視して、好きなことをやればいいと思う。
     本書について言うと、どうも著者自身の考えがまとまっておらず、論理の筋が通っていないように見えた。

  • 新書の中には、特段の根拠もなく著者が思ったことだけが書かれている本もあるのだけれど、この本はきちんと取材すべきところに取材をした上で書かれているので、とても納得感がある。ヒットチャートという概念を持たしつつも、今となっては時代遅れとなっているオリコン、その昔のCD全盛時代の恩恵を教授した小室哲哉、2000年代の過渡期にスルッとでてきたいきものがかりなど、取材力って大事だなぁと思える良書。

  • 音楽のヒットの変遷と、今どうなっているのか、そしてこれからは、という一連の流れが腑に落ちる本でした。すごく、希望に満ち溢れていると思います。

  • 元ロキノンライターによる日本の音楽市場およびリスナーに関する分析本。様々な業界人へのインタビューや書物からの引用を交えながら、70年代から2016年時点までの市場の変化を的確に検証していると思う。特定のジャンルやカテゴリに偏ることなく、歌謡曲・演歌からボカロ・アイドルまで幅広く押さえた上での考察なのが良い。「ヒット」とは何なのか、その正体を感じ取ることができるはず。音楽ビジネスに興味がある人はもちろん、上を目指して必死に頑張っているバンドマンや地下アイドルなどの若者たちにとっても有益な一冊になるだろう。

  • ヒットと売れるは違う。現在は音楽に「参加」し、「時間」と「空間」を共有する。自身の好きなアーティストは、MISIAと安室奈美恵。アデルも好き。日本の世界で認められるアーティストがきゃりーぱみゅぱみゅとBABYMETALがなんとも?

  • 家族で皆で1台のテレビを囲み、マスメディアが物量戦で仕掛けた「ヒット曲」を楽しむ。そんな古き良き次代は終わりを告げ、すべての人々はそれぞれの「島宇宙」で、望んだ人々と望んだ楽曲を消費する時代になった。まさに「ヒットの崩壊」だ。インターネット(SNS)の発達がそれを後押ししている。

    いつでもアーティストの映像や音源に触れることができるようになったからこそ、ライブやフェスといった「場」が重視されるようになり、地道に食べていけるアーティストが増えたというのは面白かった。またテレビは「場」が重視される風潮を敏感に感じ取り、2011年からは長時間音楽番組を仕掛けるようなった、とある。

    ヒットは崩壊したけれど、音楽業界が崩壊したわけではなく「いきものがかり」に代表されるような「純国産J-POP」が、誰もが歌えるような「ヒット」を生み出した。また日本的な、文化をハイブリッドする力は「BABYMETAL」というモンスターバンドを排出した。

    ただの業界展望本ではなく、小室哲哉など時代のトップランナーや裏方たちにきちんと取材を重ね、それをうまく結節させながら、明るい未来を指し示している。自分は音楽業界には詳しくないが、爽やかな読後感があった。

    本書のタイトルは担当編集者が呟いたフレーズからきているらしいが、こうしたキラーワードをさらりと口にできる人になりたいなあ。

  • 前向きで良いと思いました。
    批判的だったら支持は得られるかもしれないけど何も生み出さないので。(タイトルで今の音楽シーンに批判的なリスナーを釣ってる感はありますが。)
    音楽批評の現場にいて、より多くの事情を知ってる人たちがリスナーをより幸せにな方向に導いてくれることを期待して止みません。

  • 編成の参考に、といまさら買ったのだけど、後半は結論が迷子。結局、音楽産業論は結果論になりがち。

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著者プロフィール

1976年神奈川県生まれ。音楽ジャーナリスト。ロッキング・オン社を経て独立。雑誌、ウェブ、モバイルなど各方面にて編集とライティングを担当し、音楽やサブカルチャー分野を中心に幅広くインタビュー、記事執筆を手がける。主な執筆媒体は「AERA」「ナタリー」「CINRA.NET」「MUSICA」「リアルサウンド」「ミュージック・マガジン」「婦人公論」など。「cakes」と「フジテレビオンデマンド」にてダイノジ・大谷ノブ彦との対談「心のベストテン」連載中。著書に『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』(太田出版)がある。
ブログ「日々の音色とことば」 http://shiba710.hateblo.jp/
Twitter: @shiba710

「2016年 『ヒットの崩壊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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