ジャニーズと日本 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884020

作品紹介・あらすじ

ジャニーズとは何なのか?
どうして日本人はこれほどまで、ジャニーズタレントに魅せられてきたのか?

ジャニ―喜多川氏が日本で芸能を志したのは、終戦後すぐ。
「ジャニ―喜多川」とは、芸名ではなく本名であり、彼は正真正銘のアメリカ人。時代をつかむタレントを数々生み出してきました。
ですが、アイドル冬の時代が90年代初頭に訪れます。そこで、新たな装いでこれまでのアイドル性を打破してできてたのが、SMAP。

本書は、ジャニーズがどんな音楽を生み出し、人気を博していったのかを時代ごとに丹念に追い、戦後の大衆文化史を読みなおします。

ここで詳しくは語れませんが、SMAPは解散してもしなくても、SMAPであり続けてほしい。そんな願いが込められた一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/689733

  • ジャニ研!を読んだ後に、こちらを読みました。
    前者は鼎談でジャニーズの音楽性やコマーシャルとの関わりなど様々な話題に触れているとしたら、後者は世の中の関心や所属アイドルの変遷について、ジャニー氏のエンターテイメントの考え方を軸に時代を追って解説がされています。
    良くも悪くもジャニー氏が事務所の船頭であったことがよくわかりました。また、アイドルというコンテンツを消費してきた私たちの態度についても考えさせられました。興味深く読みました。

  • 767-Y
    閲覧新書

  • (01)
    戦後日本の芸能史を標榜し、特に初代ジャニーズ以来、半世紀以上を経たジャニー喜多川が率いる事務所が目指してきたエンターテイメントの紆余曲折が総覧できる。紆余曲折と言っても著者がジャニーズにみた一貫性は、先行するアメリカ仕込み(*02)の音楽、ダンス、コメディなどが占領国ないしは同盟国としての日本にどのように受容させ、その際に、ジャニーズの興業と所属タレントたちの属性がどのように設定され直してきたかという点にある。
    フォーリーブス、たのきんトリオ、少年隊、シブがき隊といった懐かしいグループも歌謡史の中に位置付けられ、ジャズ、ロック、GS、ディスコ、クラブ、ヒップホップとといった音楽や音楽文化(*03)をめぐって、所属の各グループや各タレントの展開が描かれており、面白い。

    (02)
    ジャニーズのとった全人的な教育機能、人材養成や能力開発についても触れられており、単にアメリカナイズされた個人主義や商業主義というだけでなく、喜多川の父がアメリカで布教していた密教の修行を思わせるような機関として、ジャニーズのやや仄暗い部分(*04)が浮かび上がる。

    (03)
    パクりとまでは著者は言わないが、70年代、80年代からジャンルを共にする音楽文化の中での引用の流行はあり、ジャニーズの楽曲にもそうした先行する類例があったとを分析している。また、90年代の渋谷のレコ村やクラブシーンは、そうした引用合戦の延長にあったことも的確に指摘している。

    (04)
    ジャニーズが宝塚に範をとっていたことも説得的に記されているが、ジェンダーの問題に深くは踏み込んでいない。ただ、キャラ的な奇妙なネジくれ、関西への執着など倒錯的なイメージについては言及されている。おそらく、その倒錯は、ジャニーズ事務所側のプロモーションの問題であると同時に、イメージを消費する「国民」側の問題でもあっただろう。

  • あなたの知らないジャニーズの歴史がここに。

    ジャニーズが何を求めてきたのか。何を表現しようとしてきたのか。そのすべてはわからないけれど、ジャニー喜多川氏のルーツがアメリカにあることからのアメリカ的なショービジネス志向やジャポニズムは、説明を受けるとなるほどと思うことも。

    この本が出た後にジャニーズ事務所は大きな変化があった。今も激動している。ここからが正念場なのでは、と思う。

  • 最後まで読めばちゃんと面白い
    ジャニヲタが読む本ではなく、日本の歴史の本である

  • タイトルとしてはちょっと大袈裟。
    社会全体ではなく、主に日本における音楽の風潮と結び付けて論じている。
    作者かなりニノが好きみたい。

  • 1962年にジャニーズ事務所を創設したジャニー喜多川氏の死去が大きく報じられ,同社の内幕がクローズアップされる昨今,ジャニーズファンならずとも手にとってしまいたくなる一冊。ジャニーズが照らしてきた戦後日本の芸能史を堪能してみませんか。

  • ジャニー喜多川は日系2世だとは知らなかった。両親とも日本人だが。

  • アメリカのショービジネス、音楽シーンと文化への造詣を下敷きに、ジャニーズを論じた良書。

    私はジャニーズになんの思い入れもない、すでに空気としてあった人間だ。

    そんな自分がジャニーズを通して、戦後日本の音楽文化を肌で感じることができた。

    キーワードは、自我、解放、民主主義。

    ジャニー喜多川の哲学に感銘した。

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著者プロフィール

矢野利裕(やの・としひろ)
1983年、東京都生まれ。都内の中高一貫校に勤務する国語教員。サッカー部の顧問、兼監督も務めていた。「しばしばなされる「なぜ先生になろうと思ったのか」という質問に対しては、「GTOにあこがれて」と答えるようにしている」(本書より)。文芸・音楽を中心に批評活動をおこなっており、2014年「自分ならざる者を精一杯に生きる──町田康論」で第57回群像新人文学賞評論部門優秀作受賞。著書に『今日よりもマシな明日 文学芸能論』(講談社)、『コミックソングがJ-POPを作った』(P-VINE)、『ジャニーズと日本』(講談社現代新書)などがある。

「2022年 『学校するからだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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