織田信長の城 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884051

作品紹介・あらすじ

小牧山城、岐阜城、安土城――

のちに天皇に対し、改元と譲位を要求した織田信長が、
「権力の象徴」に込めていた政治的意図とは!?

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南蛮マントを羽織り、颯爽と佇む高貴な美男。
風貌は、長身で痩せ形、色白で面長、薄い髭と甲高い声―。
これがほぼ一般に定着している
戦国の覇王・織田信長のイメージではないだろうか。

実際、NHK大河ドラマ、映画等映像で描かれる信長は、
ほぼこのイメージを踏襲している。
この信長像を創り上げたのは、長興寺や神戸市立博物館に残る肖像画、
宣教師ルイス・フロイスのこと細かな描写からであった。

戦国の世を統一に導いただけでなく、巨大な水堀に囲まれ、
あたりを睥睨するかのように聳え立つ天守のある城のイメージを
造り上げたのもまた、信長であった。

従来、安土城こそが近世城郭の嚆矢で、以後の城郭建築の礎と考えられてきた。

だが、近年の発掘調査の進展や城郭研究の深化によって、
信長はすでに永禄六年(一五六三)の小牧山築城段階から、
城の革命に乗り出そうとしていたことが明らかになってきた。

本書は、現段階で判明する、小牧山城、岐阜城、安土城の姿を、
文献史料や最新の発掘調査資料等から検討し、
確実な部分と不明確な箇所を再確認し、
その真実の姿を明らかにしようとするものである。

小牧山城から始まる新たな城づくりによって
信長は何を城に求め、城をどう変化させたのか。
統一政権樹立に向けて、城をどう利用しようとしたのか。

金箔瓦の使用や天守建築の規制・許認可を含む、
信長の城郭政策の具体的内容に踏み込むことによって、
戦国の覇王がめざした城づくりのすべてを解き明かす。

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【本書のおもな内容】
序章  尾張統一以前の城
第1章 守護所・清須への入城
第2章 すべては小牧山城から始まった
第3章 政治機能を拡充させた岐阜城
第4章 畿内掌握のために築かれた城
第5章 統一のテーマパーク安土城
第6章 信長の城郭政策
終章  信長による統一政権の姿

感想・レビュー・書評

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  • 織田信長という人が、傑出したマキャベリストであることは間違いなくて、それは鉄砲を用いた軍事において、あるいは商人を重用した財政においていろいろなドラマで描かれてきたけれど。
    この本ではさらに「城」というものを、単に地政学的な砦としてだけではなく、都市計画的に構造的な心理的圧迫を与えることで「統制者」と「非統制者」との枠組みをがっちりと作った(作ろうとしていた)という点が描かれていて、ホントこの人は武将としてだけではなく政治家として天才だったのだなぁとため息つきまくってしまいました。
    取り上げられているのは主に①小牧山城、②岐阜城、そして③安土城。
    ①では山頂に城を築き、麓に武将たちの館や市を置かせて、後の「城下町」の基本的な形を作った。それまでは配下の武将はそれぞれバラバラに住んでいてなかなかまとまりも(監視も)しにくかったみたい。
    ②では「天下布武」を唱えて築城され、山頂には城、さらに山麓には自分の「宮殿」を建て、入れる人々を極端に制限して「格式」を建築の中に作り上げた。ただし地形のせいで山の上と下という著者のいう「中世的二元構造」は残る。
    そして③ではその完成形が生まれる。構造としては「石垣、瓦葺、天守」が基本的な要素とされ、実際にそれらを作る職人集団もかつては朝廷、公家、寺社に所属していたのが武家に属するようになった、と。そして山の上の城、麓の配下の武将たちの屋敷は垂直方向と水平方向の道で繋がれ、一大都市を形成するようになった。
    うわあああ、凄っ!
    でも、これら3つの城が全て、その後さほど時を経ずして廃城になってしまった…というのはまさに「夢幻の如くなり」なのですね。

  • 序章 尾張統一以前の城
    第1章 守護所・清須への入城
    第2章 すべては小牧山城から始まった
    第3章 政治機能を拡充させた岐阜城
    第4章 畿内掌握のために築かれた城
    第5章 統一のテーマパーク安土城
    第6章 信長の城郭政策
    終章 信長による統一政権の姿

    著者:加藤理文(1958-、静岡県、日本史)

  • 勝幡、那古野、清洲、小牧山、岐阜、安土城

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著者プロフィール

1958年生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業、博士(文学)。静岡県教育委員会を経て、現在袋井市立周南中学校教諭。
主な著作 『静岡の山城ベスト50を歩く』(編著)サンライズ出版 2009年
『静岡の城―研究成果が解き明かす城の県史』 サンライズ出版 2011年
『織豊権力と城郭―瓦と石垣の考古学』高志書院 2012年

「2014年 『江戸城を極める』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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