入門 東南アジア近現代史 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884105

作品紹介・あらすじ

6億4000万人の巨大市場の「いま」がわかる決定版!

土着国家から欧米の植民地へ、日本による占領統治、戦後の独立と経済発展、そしてASEAN経済共同体の誕生――。

ベトナムやタイを流れるメコン川、ボルネオ島のジャングル、バリ島の棚田、近代都市シンガポールやクアラルンプールの高層ビル群……。東アジアの中国、南アジアのインドとくらべると、一つのイメージではとらえられない東南アジア。
東南アジア全体に駐在している日本人の数でいえば、中国よりも多い、関わりの深い地域であるにもかかわらず、多くの日本人にとってはよくわからない、東南アジアの現在に至る歩みを、「多様性の中の統一」というキーワードに着目しながら描き出す。

ベトナムのホー・チミンやインドネシアのスカルノなど、独立指導者のドラマ。
ベトナム戦争、カンボジア内戦の悲劇。
シンガポール、マレーシアの経済発展の光と影。
フィリピン、タイ、ミャンマーの民主化運動――、

500年の人びとのドラマを辿りながら、存在感を増すASEAN地域の過去・現在・未来を読む。

感想・レビュー・書評

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  • 東南アジアは最近でこそ地域としての一体感を見せようとしているが、ヨーロッパなどとは背景・地域としての経験が全く異なる。ひとつの帝国にまとめられたこともないし、宗教もバラバラだ。
    そんな中で功利的な理由から纏まろうとする試みの最先端がどうなっているのか。様々なニュースの背景を理解する助けとして、今時点ではとても参考になる内容が丁度よく収められていた。

  • そもそもなぜ東南アジアが植民地化されたのか?結局は資源、そして土地と労働力。そんな中で唯一植民地化を免れたのがタイ。その理由の一つである近代化改革「チャクリー改革」が、日本の明治維新と似た性格を持っていたという点に驚いた。もともと世界史を毛嫌いしていたが、同時期に世界各地でいかなる動きがあるのか、相違点でなく共通点を発見するのも楽しいかも知れない。近現代史の概略を知った上でASEAN創設の背景を知ることができ、歴史を流れでつかむことの大切さをまず思い出させられた。さて、問題はここからである。地域的にフォーカスして考えていくとなると、まだまだ他書との読み合わせも必要だ。その際ベースとなり、いつでも振り返りやすいのが本書であるはず。

  • 東南アジア諸国の植民地化以降の歴史(土着国家時代の歴史の概要も含む)がわかりやすくコンパクトにまとまっている。
    「多様性の中の統一」という特徴を持つ、現代の東南アジア諸国の成り立ち、来し方について、よく理解することができた。
    東南アジア諸国が多民族型社会となった理由など、これまで知っているようで知らなかったことが多く、勉強になった。

  • タイトル通りの東南アジアについての近現代史をコンパクトにまとめた新書です。

    陳腐ですが、テーマは「多様性」ということでしょうか。

    EUがキリスト教という文化的価値観が通底する統一である一方、東南アジアとほぼ同義になったASEANでは、宗教(キリスト教、イスラム教、仏教、他)、民族、政治体制(軍政、独裁制、民主主義)までバラエティに富んでいることが特徴でしょう。

    とりわけ政治体制はバラエティに富んでいます。社会主義国を加盟させ、軍政であるミャンマーの軍政を迎え入れる一方、独裁的民主制?とも言われかねないシンガポールやフィリピン、内戦から復興中のカンボジアなども入っています。

    こうした政治体制の違いは、ASEANでの全会一致というルールの下、当該組織の限界を規定していると揶揄される一方、現在のミャンマーのように国際社会で孤立した軍政国家へのリンクを確保するという点では非常に貴重であろうかと思われます。こうした緩やかな連携と多様な価値観が混在している様がよく書かれていると思いました。

    ・・・
    もう一つ。

    そもそもなぜこうしたASEANが発足したのか、何を目的としているのか。

    20世紀の二度の大戦で大国から蹂躙を受けた中小国家群。これが東南アジアでありASEANの核である旨、記載がありました。中小国家が強国・大国に伍する、伍するまでいかずとも立場を確保するためには、やはり結束する、というのが有効なのでしょう。

    蹂躙した側の子孫としては心苦しい限りですが、こうした歴史的背景は、こと東南アジアとのつながり・連携が強まる昨今、我々が学ぶべきことであると感じます。

    ・・・
    ということで東南アジアについてのザックリわかる歴史書でした。

    2017年初版ということで、時事的な内容はちょびっと古いかもしれませんが、当該地域の近現代史の初歩を押さえるという点では非常にまとまっているものと思います。

    参考文献がしっかりまとまっていることから、大学生が東南アジア関連の課題でまず手に取るのには適しているかもしれません。それと、ASEAN圏へ駐在されるような方は事前にこの程度の内容は理解しておくと良いのではないかと思いました。

  • 223-I
    閲覧新書

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/688532

  • 東南アジア近代史を学ぶならコレ

  • 東南アジア11か国の近現代史と現状、課題について概観した1冊。各国で宗教、民族が大きく異なり、多様性が特徴のこの地域ではあるが、こうして東南アジアとして括って外観してみると、例えば、EUや東アジアとの違いが浮き彫りになって面白い。(EUは宗教的にも近い、歴史的にも侵略、交流を重ねてきた国々が、一つの共同体としてまとまろうという動きが、ASEANとは異なる。東アジアは、歴史的に分断された国(中国・台湾、南北朝鮮)が存在するために、統一の動きは困難)
    最近読んだ、池上彰さんの東南アジア本の記憶が鮮明だったので、理解を深めるには良いタイミングだった。

  • 近代と言いつつ中世もあり踏み込みすぎて無く良い

  • 東南アジア諸国において、確かに先発グループと後発グループでは大きな格差があることは否めない側面があると感じる。私は後発グループではベトナムしか訪れたことは無いが、確かにマレーシアやシンガポールのような洗練された雰囲気が感じられない(それでもベトナムは限りなく先発寄り)。本著では東南アジア諸国を横通しとし、縦軸に時系列を置いている。教科書等と同じ構造であるが、話が偏らない為非常に理解がしやすい。書名の通り入門ではあるが、良い意味で東南アジアを広く浅く理解するための良書であると思う。

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著者プロフィール

元アジア経済研究所地域研究第一部主任研究員
元拓殖大学国際学部教授

「2023年 『現代アジアの「民主主義」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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