捨てられる銀行2 非産運用 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884228

作品紹介・あらすじ

ベストセラー『捨てられる銀行』が明らかにした森信親・金融庁長官の地域金融大改革。実は、森長官の金融改革にはもう一つの大きな柱がある。それが資産運用の大改革である。日本の「資産運用」が、何も産まない「非産運用」になり、「悲惨運用」となっている現実を変えようというのだ。
キーワードは「フィデューシャリー・デューティ」。
受託者責任と訳されてきたが、森長官の定義は「真に顧客本位の業務運営をする義務」となる。
いま、銀行や生保、証券会社が「お客様の資産運用のため」というトークで売る金融商品の多くは高額手数料を取れる金融機関本位の商品ばかり。銀行の窓口で勧められる「外貨建て貯蓄性保険商品」はその最たる例だ。
森長官の改革は顧客本位でない営業姿勢を続ける全金融機関を「見える化」して、自然淘汰に追い込む。
金融庁ではなく顧客の方を見るべきとの真意をいち早く見抜き「信じられる金融機関」に体質改善しないと、銀行も生保も証券会社も「捨てられる」時代が来る。
1995年の家計金融資産を1とすると、米国は3倍強、英国は2.8倍に膨らんでいるが、日本は1.47倍止まり。その差を家計に取り戻すための大改革が始まるのだ。
金融機関関係者必読、今後10年の資産運用の趨勢を掴んだものだけが生き残る。

感想・レビュー・書評

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  • 金融に関わる人間にとって本書での著者の主張は、個別論点においては主張に対する意見の相違はあるものの、全体の主張は僕を含めて至極正論と感じるだろう。
    なので本筋はさておき、本書を読んでほーっと思ったのは、バンガードとその創業者ボーグルの記述がある第5章、そこには第一次世界大戦時以降のドイツ軍に関するエピソードが挿入されていた。
    うん、時間を置いて読み返したい本だね。

  • 金融庁・森長官の改革は、1,700兆円にも及ぶ家計金融資産を引き出して国益につなげようという狙い。

    その実現に向けて、金融機関に「フィデューシャリー・デューティ(顧客本位の業務運営)」を求めるという理屈は、大義名分としては非常に明快であった。

    シンプルかつオープンなビジネスモデルを持った金融サービス業が生き残る条件という印象。

    既存の大手金融機関にどこまでメスを入れるか?(大手金融機関の保護策になっていないか?)に説得力がかかってくるでしょう。

  • タイトルでは「銀行」とあるが運用会社のあり方を論じた本。森金融庁長官、JPB佐護氏、HCA森本氏、AM1西氏、TMAM大場氏らへの取材、ヴァンガード本社への訪問により構築される筆者の洞察は至極まとも。

    フィデューシャリーという責務をテーマにした本を、資産運用業界の外側のジャーナリストが記してくれることは素晴らしい。

    良本。同僚たちにも勧めたい。

  • フィデューシャリー・デューティーってはじめて聞いた。資産運用のマクロな話。業界の仕組みが、問題点含めよくわかった。

  • 2021/08/05

  • 捨てられる銀行シリーズ第2弾。金融機関が顧客本位ではなく自分本位で金融商品を勧めている実態を鋭く切り込む。
    今作も豊富な事例がある点はプラス。著者が説くように、我々が最低限のリテラシーを武装することが大切なのは全面同意。ただし、同じ主張が冗長に繰り返されている印象を受けたことに加え、手数料の高い商品を一概に悪と解釈している節がある点がマイナスだと思った。運用成績がよく、手数料以上の収益を上げていれば問題はないはず。

  • 本書の内容は、至極正論だと思う。日本の金融機関ももっと顧客本位に変わっていく必要があるなと改めて思いました。個人的なは、筆者がバンガードまで取材に行ったことは、このテーマに関して本気度を感じて特に素晴らしいと思います。

  • フィデューシャリーデューティーの実践のために。
    手数料に見合った顧客利益をもたらすことができるか。
    税制優遇制度を使えているか。
    商品がわかりやすいか。
    長期運用できるものか。
    為替リスクを考慮しているか。
    フィデューシャリーデューティーを考えているか。

    これに尽きると感じた。

  • 前作「捨てられる銀行」の続編であり、特に銀行及び金融機関の「資産運用」についての取材を通じて、現状の問題点について述べられている。「フィデューシャリー・デューティー(Fiduciary Duty、顧客本位の業務運営)」がキーワードなのはわかったが、全編を通じてこのキーワードの連呼なのがいささか煩わしい。この「フィデューシャリー・デューティー」を理解し、実践する金融機関だけが市場と顧客から評価され生き残るというのは、著者の希望的結論に思える。旧態依然の業務運営でも、今のメガバンクはおそらく生き残れるに違いない。必要なのはメガバンク(金融機関)の変容ではなく、むしろ我々一般投資家のリテラシー向上であろう。

  • 面白かった。
    具体的な部分に関しては異論も多いと思われるが、大きな方向性としては納得できる。
    金融機関に「真に顧客本位の業務運営」を徹底させるために市場をどうデザインするかが問われている。

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著者プロフィール

はしもと たくのり
共同通信編集委員。1975年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2006年共同通信社入社。経済部記者として流通、証券、大手銀行、金融庁を担当。09年から2年間、広島支局に勤務。金融を軸足に幅広い経済ニュースを追う。15年から2度目の金融庁担当。16年から資産運用業界も担当し、金融を中心に取材。『捨てられる銀行』シリーズ(講談社現代新書)は累計30万部を突破。本作はその第4弾となる。


「2020年 『捨てられる銀行4 消えた銀行員 地域金融変革運動体』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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