未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 221
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884310

作品紹介・あらすじ

日本が人口減少社会にあることは「常識」。だが、その実態を正確に知る人はどのくらいいるだろうか?
 人口減少に関する日々の変化というのは、極めてわずか。ゆえに人々を無関心にする。だが、それこそがこの問題の真の危機、「静かなる有事」である。

 書店には、人口減少・少子高齢社会の課題を論じた書物が数多く並ぶ。しかし、テーマを絞って論じるにとどまり、恐るべき日本の未来図を時系列に沿って、かつ体系的に解き明かす書物はこれまでなかった。それを明確にしておかなければ、講ずべき適切な対策とは何なのかを判断できず、日本の行く末を変えることは叶わないはずなのに、である。

 本書が、その画期的な役目を担おう。
 第1部は「人口減少カレンダー」とし、年代順に何が起こるのかを時系列に沿って、かつ体系的に示した。未来の現実をデータで示した「基礎編」である。第2部では、第1部で取り上げた問題への対策を「10の処方箋」として提示した。こちらは、全国の公務員・政策決定者にも向けた「応用編」と言える。

 これからの日本社会・日本経済を真摯に考えるうえでの必読書!


<主な内容>
第1部 人口減少カレンダー
2017年 「おばあちゃん大国」に変化
2018年 国立大学が倒産の危機へ
2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ
2020年 女性の2人に1人が50歳以上に
2021年 介護離職が大量発生する
2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する
2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
2025年 ついに東京都も人口減少へ
2026年 認知症患者が700万人規模に
2027年 輸血用血液が不足する
2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる
・・・ほか

第2部 日本を救う10の処方箋 ――次世代のために、いま取り組むこと
「高齢者」を削減/24時間社会からの脱却/非居住エリアを明確化/中高年の地方移住推進/第3子以降に1000万円給付 
・・・ほか

感想・レビュー・書評

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  • 「今から婚姻数や出生数を上げても無意味」。
    一部の研究者から最近ようやく聞かれるようになった言葉だが(政治家含む非専門家のレベルはさらに低く、いまだにこれを主張しているようなていたらく)、本書はたった1行で、その恐るべき真実をつきつける。

    2020年、日本人女性の半分は50歳以上になる。

    今は2017年、わずか3年後のことである。わずか3年後には、日本人の半数のそのまた半数が、初老(以上)と言われる年齢になるのだ。

    もっともよくよく考えてみれば、今に始まった話ではない。日本の高齢化率が25%を超えていると言われ始めてから、すでに久しい。
    むろん、日本の高齢者が全員女性であるはずもないが…「日本の高齢化率は25%」と、「日本人の(だいたい)半数のそのまた半数が50歳以上」というのは、「年齢が高い人の人数」という点では、ざっくり同じようなことを言っているとも考えられる。
    なのに、このインパクトの差は何だろう。

    この調子で、著者はとかく見えにくい少子高齢化社会の未来予想図を、具体的かつ苛烈につきつける。その容赦のなさといったら、普通の人なら心が折れかねないほどだ。
    ただ、それもこれも「普通の人」にこの問題の深刻さを認識させ、「すみやかに本気を出す」ことを求めるがゆえのこと。末尾には将来の日本社会に向けた処方箋や、若い人たちに向けたメッセージまでもがきちんと示されているので、「いたずらに不安にさせられた!」と腹を立てるには及ばない。

    10の処方箋のうち最も感心させられたのが、「高齢者の削減」。ここまで、とにかく厳しい(悲観的な)ことばかりを言ってきた著者なので、まさか…とドキリとさせられるが、要は「高齢者」の定義を変えようというのだ。
    現在、「生産年齢人口」とは15〜64歳と定義されている。これを19〜70歳にスライドさせよう、というのが著者の主張である。
    いまどきの60代は、10年前(50年前ではない、「わずか」10年前である。これには少々驚かされた)の60代より、知的・精神的・肉体的に5〜10歳は若いという。この人たちを、「60歳になったから」とただ遊ばせておくのはもったいない。
    また同時に、いまどきは15歳で社会に出る人はごく少ない。15〜64歳ではなく19〜70歳が、現在の日本社会の実情には合っている——まことに当を得た指摘である。
    64歳には個人差もあろうが、15歳のほうはまったくそのとおり。かつ、64歳より目につきにくかった箇所である。思わず膝を打った。

    「死ぬまで働かせるつもりか!」と反発する人もあろうが…と著者は言うが、まさしく自分の親やよく知る上司がこの年代にさしかかりつつある私としては、その反論こそナンセンスに思えた。
    60歳でいきなり「毎日が日曜日」になってしまったら、いったいどれだけ老け込んでしまうことか。自分自身を取っても、死ぬまで働くのか…などといった慨嘆より、60歳になったからと問答無用で社会から放り出されたらたまらない、という思いのほうが強い。働けるうちは働きたいし、そうすればなんとか食べていくことができるだろう——「年金だけ」「賃金だけ」では、それが叶わない額だったとしても。
    それには、人生の楽しみをすべて「定年を迎えた暁には…」と先送りさせられるような過重労働社会を変えるとか、そもそも年齢で区切らず、労働に耐えられない者に(若くても重病を患うなど)年金が支払われる方式に切り替えるなど、いくつもの変革が必要になるだろう。しかし、これは世に数多ある「少子高齢化・労働人口不足対策」の中でも有数に実現へのハードルが低く、効果が大きい策に思えた。

    2017/6/22読了

  • 本の中でもアピールされていましたが、今後の人口減少社会で起こることを時系列で整理したという点が本当に画期的で、これまで得体の知れないところがあった人口減少問題がよりクリアになります。この問題を語るなら今後必携の一冊ではないかと思いました。

    解決策には柔軟な思考を、と言うだけあって、筆者が示す解決策には目から鱗なものが多かったです。AⅠや女性・高齢者の活躍など、自分が読む前に考えていたことが最初に全て一蹴されていたので、思わず苦笑いしてしまいました。通り一遍に言われていることより、これからは頭を使って、いかに人口減少社会にシフトしていくか考えなければいけない。そのことが教訓として得られました。

  • 日本の向こう100年を具体的に描いた日本の近未来論。

    日本が抱える問題とその先の危機をぼんやりと分かったつもりでいましたが、高齢化・人口減少に伴う具体的な問題点が洗い出されると、行く先の未来の暗さに愕然とします。
    本書の8割を占める「未来の日本」でとことん絶望を突き付けられた後には、著者の提示する「日本を救う10の処方箋」なるものが。個人的には「中高年の地方移住推進」と「第3子以降に1,000万円給付」の2つの政策は著者の意見を深堀りしてほしいと思える興味深い内容でした。

    個人レベルでどうこうできる話ではありませんが、個人として何が出来るか、改めて考えてみたいと思います(国会では有意義かつ具体的な意見交換がなされることを切に望みます・・・)。

  • 本書では、人口減少に向かっている日本の現実を、最新のデータを用いた「人口減少カレンダー」から予測している。
    日本社会は少しずつだが確実に変化しており、このまま手をこまねいていると、「静かなる有事」として、人口減少と高齢化に耐えられず、社会が破綻する日がくる可能性はゼロではない。

    第一部では「人口減少カレンダー」として、高齢者が激増する「2042年問題」、国立大学倒産の危機、IT技術者不足、人件費増による経営の圧迫、輸血用血液の不足、火葬場不足、自治体の半数が消滅、世界的な食糧争奪戦、無人の国土が占拠される等といった事象が、いつまでに何故発生するか、経緯を追って説明されている。
    第二部では日本を救う10の処方箋として、コンパクトシティ化、高齢者の利活用、地方移住の促進などの提言が示されている。目新しい施策はないが、今まで議論されてきた施策を地道に確実に、そして早急に実行していくことが必要だということだろう。

    私が気になったのは、「2019年にはIT技術者が不足し始め、技術大国の地位が揺らぐ」ということ。2015年時点で既に約17万人不足していたのが、市場拡大に伴い、2030年には59万人が不足するという。
    また、水道やガスなど社会インフラ設備の老朽化も進むが、それらを支える技術者の後継者が不足し、特に人の少ない地域においては社会インフラサービスが成り立たなくなる懸念がある。
    その後、「2030年には百貨店も銀行も老人ホームも地方から消え」、「2039年には深刻な火葬場不足に陥る」という。
    いずれも、サービスの供給側も需給側もいなくなるために、社会基盤が成立しなくなってしまうということである。

    一般のサラリーマンに身近な問題としては、「2021年には介護離職が大量発生」し、「2023年には企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる」ということがある。
    本書の性格として、どちらかといえば社会構造の分析など、大きな話に陥りがちだが、一般の人から見れば、介護離職が大量発生し人材不足が顕著になる2020年頃までには、東京に住み続けるのか、地方の親や家族の近くに移住するのか、今後の仕事をどうするのか、方向性を決断する必要があるかもしれない。
    また、企業の経営層にとっても、人材確保と、これから需要のある(需要のなくならない)サービスへの投資などの決断を、2020年頃までに行う必要があるかもしれない。
    いずれにせよ、あと数年が勝負の時だろう。

    これから、危機しかない時代に突入するのかもしれない。その中で、何を考えどう生きるかは別の問題として、危機の事実を直視して、考えるための材料として有効な一冊。

  • 読みやすいレイアウトが好印象。
    少子高齢化と言われる一方で、資源の枯渇やら、環境の変化が同じように言われるので、人口が落ち着いたら資源がなくなるのも防げるじゃん、と安易に考えていた自分。

    学校がなくなるとか、介護環境が変わることは予想の範疇だったけれど。
    輸血の血液が足りなくなるとか。
    火葬場が足りなくなるとか。
    自衛隊に就く人口が減って、国防面がスカスカになっちゃうとか。
    ははあ、そんな視点があって、回り回って衰退と結び付くんだなーと、驚きました。

    そこに、ドカドカと移民を受け入れたはいいけど、在りし日の日本はいずこへか。
    これから高齢者の仲間入りを果たしてゆく私は、その様相と直面せざるを得ないのかな。
    70歳まで働かないといけないって……サラッと言われても、体力的にゾッとするわー。

    この新書の良さは、第2部に処方箋として、こんな対応策はどうよ、という10のプランがあること。
    中でも、高齢者を地方にという所。大学生として生涯学習を学びながら、身体を悪くしたら附属の大学病院まで付いてくるというやつ。
    いいね。それ。めっちゃいいね。
    ただ老いるではなく、老いても生きてゆくことを真剣に考えてくれている気がする。
    (かたや姥捨て的イメージもあるようだけど。)

    辛辣な部分も、本当にこんな風になる?って懐疑的な部分もあるけれど、視点としては面白く読めた。

  • 笑っちゃうくらい、あまりにも暗い未来の予測。
    しかも、現実に起こりえる未来像なのでマジ恐い。
    イッキに読んだ。

    著者も54歳で、もうすぐ高齢者。

    何かの本で読んだけど、ずっと東京に住んでると気づかない事なんだけど、10年ぶり、15年ぶりに、東京を訪れた外国人が、街を歩いても、商業施設に入っても、電車に乗っても、そこにいる日本人の高齢者の比率が急激に上昇しててビビった、という。
    そこに住んでる人には見えない、人口動態の現実が、多分、今、現に、ある。

    オレは、国民みんなが、もっとバンバン子供を産みたくなる環境を早急に作るべきだと思う。

    1番は、戸籍を無くすこと。
    法律上の結婚をしていても、していなくても、子供をどんどん産めて、子供が差別されない仕組みにすべき。

    実際、スペインや、フランスでは、戸籍を無くして、法的な結婚でも、事実婚でも、関係なく子供を産めるようにして、それによって、出生率は上昇してる。


    でも、この本が言ってるのは、今後、ベビーブームが起きたくらいでは、日本の少子化は止まらない、ということ。

    日本の人口が急速に減少してゆくのと同時に、世界の人口は増加し続け、最終的には食糧問題が深刻化する、ということ。
    恐ろしい未来だ。

  • 未来起こり得る不具合についてのカレンダーは悲観ベースだけど悲観すぎることもなく、これが現実なのだと示されるデータ数値が並んでおり、危機感を得る導入。
    後半の10の処方箋についてはどれも大胆すぎる打ち手となっており、実現難易度が高いものばかりだと感じた。が、中途半端な処方は意味がないのだ、という筆者の思いが伝わってきて、それくらいのイノベーションがないと変革は起こり得ないという強い意志でもあると感じられた。
    と同時に、大胆な打ち手を実行するには、おそらく貧乏くじを引く世代が必ず出てくるはずで、それが自世代や子供達の世代とならないよう政治や行政への若い世代の積極的な参加が必要だと感じた。

  • 【人口減少がどんなに大変なことか、はじめて理解できた気がする】

    少子高齢社会について、テレビなどで取り上げられて問題視されているのをみたことはあるが、正直、「東京とか人多いし、減っても別にいいのでは」くらいの感想しかなかった。

    この本を読んで、初めて人口減少がどんなに大変なことか、はじめて理解できた気がした。

    高齢化と少子化は別問題ということも、ちゃんと考えたことがなかった私には、驚くことが多かった。

    特に私が衝撃を受けたのは、2045年には東京都は三人に一人が高齢者になり、原宿は若者の街ではなくシルバー向けの街に変化するかもしれないこと。2050年には世界的な食糧争奪戦に巻き込まれるかもしれないこと(日本は800億立方メートルも水を輸入しているのもかなり驚いた)。人が減れば外国からの労働者に頼りすぎると、国土を占拠される危険が増えること。などだ。

    また、人口が減少による課題の解決策として、著者が提案した10の処方箋も興味深かった。

  • 高齢化する日本について、何となく感じている恐怖感をリアルに描き出した一冊だと感じた。

    その中でも、企業の減少により競争が減り、それが結果的にイノベーションを阻むという意見にはなるほどと思わされた。
    私は都市部に住んでいるが、最近、事情により地方の山間部の病院で診療を受けたところ、あまりの低レベルな医療に驚きを禁じ得なかった。
    ちなみに、この山間部の病院は地域で唯一の存在のため、他の病院との競争がない。
    すなわち、企業間の競争が減った日本では、上記病院のような低レベルな商品・サービスしか生まれなくなるリスクがあるのだと思う。

    また、ガラガラになった国土に外国人が住み着くと、武力行使をすることなく日本が乗っ取られるというのも、空恐ろしく感じた。
    確かに、尖閣諸島も、日本人が住み続けていればあのような領土問題は生まれなかったのではないか。
    外国人参政権や外国人労働者の受け入れなどは、その場限りで考えるのではなく、長期スパンで日本に与える影響を考慮しつつ、考えるべきだろう。

    最後に、著者が提唱する「縮小を受け入れる」「ちょっとした不便を我慢する」という意見は大賛成。
    現在の、1億2千万人が住むことを前提とした社会インフラを、8千万人とか7千万人とかまで減った中で維持するのは無駄がありすぎる。
    これからは、国土について選択と集中が必要になると思う。
    居住区域・農業区域・観光区域といったように国土を明確に区分して、最小限のコストで日本を維持していく工夫をしていくことが必要だろう。

  •  昨今、電車内で周りを見渡すと、スマートフォンに目を落としている人が格段に増えたな、とつくづく思います。そういう私もその中のひとりなのですが、かつては車内では書籍や雑誌などを読んでいる人が多くいたものです。スマートフォンで電子書籍を読まれている方も中にはおられるのでしょうが、若者の活字離れが言われて久しいこの時代に、どれくらいの人たちが「本」を読んでいるのだろうかと、ふと考えてみたりします。それと同時に、車内で感じるのが高齢者の多さです。皆さんもご存知のとおり、日本は超高齢社会を迎え、高齢者にまつわる事件や事故、介護や福祉のニュースを見ない日はありません。「少子高齢化」という言葉は私たちの日常においても随分と身近な言葉になりましたが、その実態や深刻さについて皆さんはどれだけの危機感をお持ちでしょうか。毎年、4月の図書室informationでは小説を紹介することが多かったのですが、今年は少し趣向を変えて以下の書籍を紹介したいと思います。

    「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること 河合雅司著」

     まず、その表紙に書かれている年表に驚かされます。2020年女性の半数が50歳越え、2027年輸血用血液が不足、2039年火葬場が不足・・・。この書籍には近い将来私たちが直面する少子高齢化に起因する驚愕の真実が書き記されています。極めて厳しい現実を突きつけられますが、少子高齢化について真剣に考える良い機会となることでしょう。厳しい将来について書き記されてはいますが、後半にはその「処方箋」として、著者の解決策の提言も書かれています。是非一度手にとられて、私たちの未来について考えてみてはいかがでしょうか。
    (「図書室information81号」より抜粋)

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