- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062884327
作品紹介・あらすじ
子どもたちの自主性や人間力を育てる場として、学校教育において年々重要性を増す部活動。
ところが、今、児童虐待と化している「ブラック部活」が社会問題となっています。
・生涯にわたる後遺症を負わせるサッカー部
・バスケ部内でハーレムを形成するセクハラ顧問
・難聴になるほど練習させる吹奏楽部
など、こうした事例は枚挙にいとまがありません。
一方で部活指導に時間を取られ過ぎるために、教師たちも悲鳴を上げています。
最初に「ブラック部活」と名付け、警鐘を鳴らした著者が、その実態を徹底取材。
日本ラグビーを世界レベルにしたエディ・ジョーンズも、部活に”待った”をかける人物の一人。「子どもたちの育て方を変えなくてはならない」と本書で彼は説きます。
エディ・ジョーンズだけではなく、少年サッカーを変えた池上正氏、テニスの錦織圭を育てた柏井正樹氏などへの取材も行い、子ども達が本当に成長できる部活指導のあり方も提示。
部活が悪いわけじゃない、部活をブラックのままにしていることが悪い。
保護者や学校関係者はもちろん、部活の思い出を熱く語る大人にも読んでほしい一冊。
感想・レビュー・書評
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数年前、顧問の暴力が原因で高校生が自殺した。それまで、いまだにそんな体罰が存在しているなど考えてもいなかった。それから、しばらくたって、試合に負けると顧問の先生に全員しばかれるという中学生がいた。それは今も変わってないのかと聞くと、変わらないしそれが当たり前だと思っているという返事だった。ため息が出た。本書を読むと、現状は変わりつつあるのだろうけれど、完全に暴力、暴言がなくなっているわけではなさそうだ。そんな話を中3生にすると、部活は厳しい方が良いのだという。たしかに、厳しさに対する耐性はどこで養われるのかというと、やはり部活となるのかもしれない。けれども、スポーツにしろ音楽にしろ楽しくやりたいものだ。楽しくないものは続かない。これは、勉強も全く同じ。先生がこわいから勉強するのではなく、楽しいからやってると言えるようになっていってほしい。試合に勝ちたい気持ちも分かる。コンクールで金賞をとりたい気持ちも分かる。テストで上位に入りたい気持ちも分かる。でも、ちょっとまわりとの比較ばかりするのはやめて、自分は毎日楽しく練習(勉強)していて、それでなおかつ成長を実感できる、そんなふうになることはできないものだろうか。
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部活が生徒の手を離れて誰かのものになってしまった瞬間から部活は部活ではないのかもしれない
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部活動が引き起こしてきた問題の原因や考え方が記されている本。
最終章には実際に行われている解決策や取り組むべき考え方が記されており、ブラックボックス化する部活動の「体罰という必要悪」に立ち向かう気持ちにさせてくれる。
諸問題が複雑に絡み合っているからこそ、解決するにはかなりの力が必要だが、この問題点に向き合い、「自分自身で考え、クリエイトできる子どもを育てられる、“考え抜くことができるクリエイトな大人”が増える」ことが、この問題の解決につなげられるのではないか。そんな大人のひとりに私はなりたい。 -
部活動のあり方を、著者の研究を元に述べている作品。
部活動を否定する訳ではなく、本質を改めて、生徒及び教員の部活を通して得るものを高めることを主張している傑作。 -
部活があぶない。島沢優子先生の著書。社会問題化しつつあるブラック部活問題をわかりやすく解説した良書。部活の存在は否定されるべきものではないけれど、子供たちと保護者たち、教師たちが全て幸せになる形での部活運営方法を考える必要がある。
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私は絶対体罰反対だ。どんな理由であっても体罰はいけないと思っている。それなのに、部活動においては、いまだに体罰は行われている。なぜなのだろうか?
この本は、部活動での顧問の指導(?)をきっかけに自殺した少年のことから始まり、部活動の理不尽さ、解決法などについて書かれている。
本来なら、スポーツや文化に触れて楽しむべきもののはずの部活動がなぜこのような状態になってしまったのか。そして、どうしていったらよいのか、この本を読んで考えていきたいと思う。 -
2012年に桜宮高校バスケット部の生徒が顧問教師からの体罰が原因となって自殺をしました。それ以来、体罰や暴言、セクハラなど部活動における生徒への虐待がクローズアップされています。著者は部活動の素晴らしさを認めたうえで、教師の過酷な勤務実態や、成果を過剰に求める保護者、知名度UPに利用しようとする学校側など様々な視点から現代の部活動の問題点を指摘しています。
私自身、部活動(特に運動系)については、今となってはいい思い出がたくさんあります。そういう経験を自分の子供にもさせてやれればいいなぁ、と思うこともあります。しかし、その延長線上に「部活動は厳しいもの」、「部活動はしんどくてあたりまえ」という認識を持ってしまうと、子供の命を危険にさらす可能性が十分にあるということを再認識しました。
部活動に参加されている子供を持っておられる人、これから部活動に参加する年齢に達する子供を持っておられる人には是非、読んでいただきたいです。 -
日本の学校での部活動には
日本の社会のマイナスの縮図的要素がたっぷり詰まっている
理不尽、同調圧力、虐待、独りよがりの善意
きちんと取材に応じてくれた人たち
こんなことはぜひ根絶したいと願っている人たち
いずれも
これからの明日を生きていく若い人たちに向けての
願いが感じられる
あなたのすぐ近くの
あれ? と思う「部活」の周辺におられる方に
ぜひ 薦めたい一冊です