- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062884419
作品紹介・あらすじ
カメラマン・小林紀晴が撮る、日本全国の奇祭。
長野御柱祭の地で生まれ育った著者は、土着的な要素を感じる「奇祭」に惹かれ、全国を旅する。
祭りの時にだけ顔を見せるかつての人の想い。カメラのファインダー越しに感じる古の神々。本来、撮れるはずのないものたち。
遠い過去の日本人を目撃する異色の写真紀行。
感想・レビュー・書評
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写真家・小林紀晴氏が訪れた、東北から沖縄までの〈祭り〉の様子を綴った旅行記のようなレポートのような一冊。
ご出身地の兼ね合いでか長野県の祭事の記述が多め。
祭りの起源だとか成り立ちについて書かれている訳ではなく、著者体験談や近くにいたおじさんからのお話だとかがメインにつき学術的になにか、という内容ではないかと。
扱っている祭りの数そのものも少なめ。
最大の気掛かりは肝心の写真が物足りない点。
新書ながら16ページ分もカラー写真を載せてはいるのだが、素人目にしても迫力や息遣い、ひいては『奇』をさほど感じられるものでないように思う。
岩手県奥州市の蘇民祭の写真は『奇』とは違う気がするがいい感じ。
なんならオビのパーントゥの写真が一番良いと思う。
1刷
2021.11.13詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
"奇祭"を古層の祭=稲作以前の縄文的な祭と理解して、その最たるものであろう諏訪の祭を軸に、地方地方(日本の細部)の祭を写真家として観察する。諏訪が軸となるので非常にまとまりがあり理解しやすい。写真を撮る人の苦労も垣間見える。
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祭りに欠かせないのは人的資源。だからこそ制度化されたルーティンが継がれる必要がある。人口の変化が祭りを終焉させるわけで記録もある種供養のように思えてしまう。
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写真家目線から見た日本の祭りレポート。写真を撮るときに大事にしたい姿勢が描かれていた。
はじめにより抜粋
写真は本来、目の前で起きたことをたったいましか撮れない。昨日のことも一年前の出来事も、未来も、そして自分が身を置いてない限り絶対に撮れない。そんな当たり前の原則の上に成り立っている。それが突然、崩れた。
私の祭りに向かう姿勢は決まった。背骨みたいなものだ。本来、撮れるはずのない古層を、祭りを通して撮る。遠い過去の人々の姿を目撃するために諏訪発、日本全国行きの旅はこうして始まった。 -
ヤマトの政治文化以前の土着信仰の痕跡を求めたフォトエッセイ。
旅行気分にもなるし、小説のようでもある。
フルカラーで写真がもっと多ければ高くても売れるのでは。 -
【新着図書ピックアップ!】
「パーントゥ」をご存じだろうか。私は本書に掲載されている「パーントゥ」の写真を見るなり、怖すぎて危うく本を投げ出すところだった。
では「蘇民祭」はどうだろうか。これも写真を見るなり、パーントゥとは別の意味で本を投げ出しかけた。
パーントゥは宮古島の、蘇民祭は岩手の祭りである。日本には数多くの祭りが存在する。そしてそれらの中には、見慣れぬ人には奇妙に映る「奇祭」も少なくない。
「ケ」、すなわち平凡な日常に退屈したら読んでほしい。読むだけでその日は「ハレ」の日になる。
【New book!】
Do you ever heard of "Pantu"? When I saw the photograph of that, I felt so scared and almost threw the book.
No? Then, how about "Somin-sai." When I saw the photograph of that, I almost threw the book for other reason.
"Pantu" is the festival in Miyako, and "Somin-sai" is also the festival in Iwate. There are a lot of festivals in Japan. And some of them seem so strange for strangers.
If you are feeling bored in your daily life (=ケ ke), why don't you read this book? While you read the book, you may feel ハレ (Hare=sacred). -
なぜか懐かしい感じがする
逢ったことはないはずなのに
なぜかどこかで逢ったことがあるような気がする
行ったことはないはずなのに
なぜかその場所に自分も居たような気がする
見たことがないはずなのに
なぜか見たことがあるような気がする
ー「私はひとつのことに気がついた。過去は写真に写せるのだ。」
筆者の小林さんの言葉が 読んでいる間中、静かに心に広がっていきました。