戦争調査会 幻の政府文書を読み解く (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884532

作品紹介・あらすじ

敗戦直後、戦争への道を自らの手で検証しようとした国家プロジェクトの全貌。

1945年11月、幣原喜重郎内閣が立ち上げた戦争調査会。
幣原自らが総裁に就き、長官には庶民金庫理事長の青木得三、各部会の部長には斎藤隆夫、飯村穣、山室宗文、馬場恒吾、八木秀次を任命し、委員・職員は100名ほどという、文字通りの国家プロジェクトだった。

多数の戦犯逮捕、公文書焼却など困難をきわめるなかおこなわれた40回超の会議、インタビュー、そして資料収集。

なぜ戦争は始まったのか?
分岐点はいつだったのか?
なぜ戦争に敗れたのか?

日本人自らの手で開戦、敗戦の原因を明らかにしようとしたものの、GHQによって1年弱で廃止された未完のプロジェクトが明かす「昭和の戦争」の実像。

感想・レビュー・書評

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  • 大きな出来事の原因調査をうやむやにする傾向がある日本人だが、あの戦争はあまりにも反省材料が多いこともあり、戦争調査会が精力的に戦争の原因を多くの当事者からの証言をもとに解き明かしている.このような文書の存在は知らなかったが、またこれも我国の悪い癖だが、公開して議論することを回避してきた.満州事変後の展開の中で幾度も全面戦争回避のチャンスがあったことが明記されているが、これらの事実を現在の政治家が肝に銘じて日頃の活動の糧としてほしい.まずはこの文書に目を通すことがスタートだと感じた.

  • 毎日新聞20171210掲載 評者: 五百旗頭真(熊本県立大学理事長・日本政治外交史)
    毎日新聞201817掲載
    日経新聞2018120掲載 評者: 小菅信子(山梨学院大学教授)
    朝日新聞2018121掲載 評者: 保阪正康(ノンフィクション作家)
    東京新聞201834掲載 評者: 藤沢周(作家)
    日経新聞20211127掲載 評者: 五百旗頭薫(東京大学教授)

  • 徒労にさせないためには…。

  • 太平洋戦争は避けられなかったのか、これまでの通説とは異なる終戦当時の生々しい証言が多く、非常におもしろかった。
    人口膨張も、ブロック経済も満州獲得には関係がなかったという説や、天皇大権の運用がまずかったという話、かなり興味深い。

  • 東京裁判史観とは違った趣があるのは確かなのだが、敗戦直後のインタビューなので当然当事者達は自己弁護的だし、語っている内容が史実かどうかは相当疑わしい。でも、それはそれとして、この調査そのものは史実であり、それをどう料理するかが歴史家の腕の見せどころなわけだが、概ね井上先生のこれまでの研究内容に嵌め込むような解釈で終わってしまった印象。

  • 2018/01/
    戦争調査会 講談新書

  • 大正デモクラシー、軍人蔑視が日中・太平洋戦争の遠因とは、興味深い視点。

  • ブロック経済下にあっても、日本の輸出はそんなにダメージを受けていない、戦時中は農業の機械化が進んだ、という論が面白い。三国同盟がアメリカとの対立を生むvsアメリカへの圧力なる、など、様々な考えや要因が戦争につながっていった…しかし、誰も決断しないのが日本的かも。

  • 歴史
    戦争

  • 終戦直後、幣原内閣時代に政府自ら戦争の原因を究明しようとした取り組みがあった。残念ながらGHQに潰されて未完に終わり、最近までその存在が着目されることはなかったいう。惜しいことをした。
    本書はその取り組みの過程や発表文書を追いながら、戦争の原因を記したもの。
    このような政府の取り組みがあったこと自体が驚きで、それを新書の形で世に出したこと自体が素晴らしいと言える。一方、本書自体は、調査会の報告内容と著者の考えや事実関係が混じり合い、もどかしい思いが残った。

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著者プロフィール

井上寿一
1956年(昭和31)東京都生まれ。86年一橋大学大学院法学研究科博士課程単位取得。法学博士。同助手を経て、89年より学習院大学法学部助教授。93年より学習院大学法学部政治学科教授。2014~20年学習院大学学長。専攻・日本政治外交史、歴史政策論。
著書に『危機のなかの協調外交』(山川出版社、1994年。第25回吉田茂賞受賞)、『戦前日本の「グローバリズム」』(新潮選書、2011年)、『戦前昭和の国家構想』(講談社選書メチエ、2012年)、『政友会と民政党』(中公新書、2012年)、『戦争調査会』(講談社現代新書、2017年)、『機密費外交』(講談社現代新書、2018年)、『日中戦争』(『日中戦争下の日本』改訂版、講談社学術文庫、2018年)、『広田弘毅』(ミネルヴァ書房、2021年)他多数

「2022年 『矢部貞治 知識人と政治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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