新・日本の階級社会 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884617

作品紹介・あらすじ

かつて日本には、「一億総中流」といわれた時代がありました。高度成長の恩恵で、日本は国民のほとんどが豊かな暮らしを送る格差の小さい社会だとみなされていました。しかし、それも今や昔。最新の社会調査によれば1980年前後、新自由主義の台頭とともに始まった格差拡大は、いまやどのような「神話」によっても糊塗できない厳然たる事実となり、ついにはその「負の遺産」は世代を超えて固定化し、日本社会は「階級社会」へ変貌を遂げたのです。
 900万人を超える、非正規労働者から成る階級以下の階層(アンダークラス)が誕生。男性は人口の3割が貧困から家庭を持つことができず、またひとり親世帯(約9割が母子世帯)に限った貧困率は50・8%にも達しています。日本にはすでに、膨大な貧困層が形成されているのです。
 人々はこうした格差の存在をはっきりと感じ、豊かな人々は豊かさを、貧しい人々は貧しさをそれぞれに自覚しながら日々を送っています。現在は「そこそこ上」の生活を享受できている中間層も、現在の地位を維持するのさえも難しく、その子供は「階層転落」の脅威に常にさらされている。この40年間の政府の無策により、現代日本は、金持ち以外には非常に生きるのが困難な、恐るべき社会になったのです。
 官庁等の統計の他、さまざまな社会調査データ、なかでもSSM(「社会階層と社会移動全国調査」)調査データと、2016年首都圏調査データを中心にしたデータを基に、衝撃の現実が暴き出されてゆきます。

感想・レビュー・書評

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  • 「一億総中流」と呼ばれた時代は、もう終わった。日本では格差が広がり、新たな「階級社会」になっていると主張する。膨大なデータは示しているものの、因果関係が自らの思想信条に引っ張られすぎていることと、対策がありきたりな印象を受ける。

    「格差社会」から「新しい階級社会」へ───序に変えて
    第一章 分解した中流
    第二章 現代日本の階級構造
    第三章 アンダークラスと新しい階級社会構造
    第四章 階級は固定化しているか
    第五章 女たちの階級社会
    第六章 格差をめぐる対立の構造
    第七章 より平等な社会を

  • 豊富なデータに基づき、現在の格差社会の現状を明らかにする。もはや、格差社会ではなく階級社会である。
    アンダークラスに陥った場合、再び上昇することは難しい。無機質な数字が、恐ろしく見えてくる。

  • 読みながら、そうだよなそうだよなと…日本社会では、格差が広がれば社会全体が不利益を被ると言うことが理解されていない。私も実はピンとこないこともあるけど、やっぱり格差は少ない方が良いみたいだ

  • 日本に現存する階級を,その定量的理由と共に定義し,それぞれの階級の内情を統計データとと共に詳らかにする.さらに,その結果を受け,将来的な方針案を提示する.日本の人という視点からの構造体がよく判り,この構造体が政治や経済といった現状をどのように醸成しているのかがよく理解できる.自分の立ち位置と将来ビジョンを考察する切っ掛けを与えてくれる,中根千枝女史“タテ社会の人間関係”以来の良書.

  • 現在の日本社会に格差があるのは明らか。
    それも結構細分化された階層構造になっていると思うのだが、著者は客観的なデータをもとに検証し、格差・自己責任論・所得再分配をどう統合していけばよいのか、あるべき国の姿を提唱する。
    そも格差ひとつとっても、格差などないんだとする層も一定数存在するのが現実だ。すでに格差は再生産されており、このままでいいはずがない。

  • あなたは格差を認めますか?

    明治時代になって、親の職業や身分を受け継がなくてよくなり、そうして生まれたのが、立身出世、モラトリアムだと、現代文の先生が教えてくれた。今、階級は固定化し、格差は広がるばかりだ。本当に?
    筆者は収入や意識調査を用いて、格差の問題、格差是正になぜ動けないか、政治の問題を語っている。階級や格差について、またそこに属する人の思想について、思いこんでいることも多かった。自分はどこに属し、何を求めているのか。せめて、多くの人が幸せに生きてほしいとは思うけれど、万人が一致して求める政策は難しい。
    富める者が自分の持ち物を分け与える痛みを受け入れられるか、貧しい者が努力すれば上に行ける希望を持てるか。現状を変えることに憶病になってはいけない。

  • データの豊富さはとても興味を引きます。
    気づけば、自分も下の上くらいなのかな。
    ただ、日本という国はそれなりに多様な生き方ができる国だと思っています。
    特に、田舎暮らししていると一括りにできない部分も多いと感じます。
    年収200万円台といえども、兼業農家だったり、金額で表せない相互扶助があったり。都会だと『貧しい』というレベルでもね。
    私の知人、東証一部上場企業の年収800万円近いホワイトカラーらしいですが、地方に転勤になって、豊かさって何?って悩み始めたそうです。
    日本は自由な国。仕事も居住地も選べますからね。
    貧の連鎖が切れない、そこをどうする?となっても、頑張るしかないよね。
    他責で捉えず、自身でできる事を一所懸命がんばりましょうよ。

  •  直接的なタイトルに手が伸びやすい一冊だと思う。最近出版されているこの類の例に漏れず、個別のサンプルデータを統計的に処理した結果から見える状況の説明である。
     本書の特徴としては、階級社会への議論を導く印として、女性を17種類に分けて、それぞれの特徴を細かく分析していることにある。確かに、これらの分析を読んでみてよくわかることがある。ただ、その分類は配偶者の立ち位置に強く起因していて、少し運命論的なようなところもあり、本当にそうなのかと疑うぐらいがちょうどいいかもしれない。サンプルデータというのはその切り方でどうにでも見せることができるという一面があるからである。
     問題設定そのものは、これからの日本社会にとって非常に重要である。比較的余裕がある専業主婦グループが、非正規・アンダークラスグループよりも人数が少ないということも驚きであり、かつて日本社会を構成していた勢力は既に主力の座にはいないのである。
     本書が提示する対応策については、これらの現状認識の下、建設的な策を模索してはいるものの、現時点においては打ち手が少ない結果になっている。ベーシックインカムなど以外になかなかこれといった方策が見つけられないでいる。それだけ厳しいということである。

  • 格差を認識しているのは主にアンダークラス(負け組)であること。
    “自己責任論”はアンダークラスが自分自身をさらに追い詰めてしまうイデオロギーであること。
    “新中間階級”の親に育った子どもが“新中間階級”になれず、強い敗北感を感じていること。
    女性は、結婚相手の階級に依存せざるを得ないこと。

    書かれていた内容が、共感できることばかりで、
    そして、誰にも言えなかったことばかりで、
    言えたとしても、負け組同士で愚痴り合うことしかできなかったことばかりで、
    なぜ、こんなに私たちのことをわかってくださるのだろう、と。

    “アンダークラスの労働も評価されるべき。”

    誰も言ってくれないことを、なぜ言ってくださるのだろう、と深く感銘を受けた。

  • 「橘玲/言ってはいけない 残酷すぎる真実」を読んだ時と同じような気分になるが、良書、ただこれだけの分析が出来た上で、今後の対策がこれなのは現状の問題の深さをより深く感じました。

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プロフィール

1959年生まれ。早稲田大学人間科学学術院教授(社会学)。データを駆使して日本社会の階級構造を浮き彫りにする。『階級都市』『階級社会』『新しい階級社会 新しい階級闘争』など。

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