回想の太宰治 (講談社文芸文庫)

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  • 講談社 (2008年3月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784062900072

作品紹介・あらすじ

濃やかな愛情と明晰な目がとらえた人間・太宰治ーー太宰治は、文字通り文学のために生まれ、文学のために育ち、文学のために生きた「文学の寵児」だった。彼から文学を取り除くと、そこには嬰児のようなおとなが途方に暮れて立ちつくす姿があった。戦中戦後の10年間、妻であった著者が、共に暮らした日々のさま、友人知人との交流、疎開した青森の思い出など、豊富なエピソードで綴る回想記。淡々とした文にも人間太宰の赤裸な姿が躍如とする好著。
◎「これは、凄い本に出会ったものであります。質も量も。明晰さも、たしかさも、怖ろしさも。科学者の随筆みたいな、美しい揺るぎのない日本語で、太宰治は凝視され、記憶され、保存される。この著者が、昭和の初期に、太宰の妻であり、ともに暮らし、子をなして、日々会話し、身の回りの世話をし、親戚や食卓や経済を共有していたかと思うと、トカトントン。そこらの男の何十倍も聡明だった女の記録であり、記録をよそおった文学であります。」<伊藤比呂美「解説」より>
※本書は、『回想の太宰治』(昭和58年6月 講談社文庫刊)を底本としましたが、「アヤの懐旧談」を削除し、『増補改訂版 回想の太宰治』(平成9年8月 人文書院刊)より、「蔵の前の渡り廊下」「南台寺」「父のこと、兄のこと」「『水中の友』」の4篇を収録しました。

みんなの感想まとめ

太宰治の妻、美知子夫人による回想記は、彼との生活のリアルな姿を淡々と綴ったエッセイです。冷静で端正な筆致からは、太宰の甘えん坊で生活力のない一面が浮かび上がり、夫婦の関係性が深く描かれています。美知子...

感想・レビュー・書評

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  • 端正かつ冷静な筆致で綴られる太宰の妻、美知子夫人のエッセイ。美知子夫人はお茶大を出て地理の教師をしていたくらいだし、非常に聡明な女性だと思う。太宰の盟友たちが書いた回想録はどこか太宰を甘やかしてるような印象があったのだが、さすが寝食を共にした妻。容赦がない。税金の話も細かく書いていてすごい。それでいて不思議と所帯染みていないのだ。甘えん坊で生活力がなく泣き虫の太宰の姿がここにはある。そんな夫でも美知子夫人はお姉さんのように世話を焼いて情を感じていたのだなあ。どの太宰エッセイよりもリアリティを感じた。

  •  太宰が死ぬ前の10年を配偶者として過ごした人の書いたものを集めた本。すごいどっしりとした感じの文章を書く人だなぁ、というのが一番の印象。夫が死のうが何だろうが、決して揺らがない盤石さと言うか冷静さというか。心中しちゃった山崎富江さんの日記もずいぶん前に読んだけれど、あの人はもっと、この先どうやって生きていこうかって悩んでる感じだったのと対照的。
     太宰が実家のことを自慢に思っていたこととか、終戦前後に一家で疎開している間のことを割と楽しんでいたらしいこととか(もっと肩身の狭い思いをしてたのかと思ってた)、太宰は人を待たせるのが嫌いで原稿を落としたことがなかったとか、意外な話も色々と。

  • 聡明な方による冷静な太宰分析。妻だからこそ語れる生活の風景などが詳細に語られていて、非常に面白かったです!文豪仲間からみる太宰治の姿と、妻からみた太宰治の姿はまた随分と違って見えるなと思いました。

    ─怖ろしいから与えるので、欲しがっているのがわかっているのに、与えないと仕返しが怖ろしい。これは他への愛情ではない。エゴイズムである。彼の後の人間関係をみると、やはり「仔犬に卵」式のように思われる。がさて「愛」とはと、突き詰めて考えると太宰が極端なだけで、本質的にはみなそんなもののようにも思われてくる(本文より引用)

  • 妻・美知子さんが書く太宰のこと、生活のこと、故郷のこと。ポツリポツリと思い出し書きしている感じが目の前で話を聞いてるようで良かった。
    美知子さんは太宰の才能に心底惚れていたんだなぁ。
    夫を手伝うことに誇りを持っていたように思う。
    逡巡した題が"惜別"と決まるところ、美知子さんが"人間失格"の四文字を初めて目にするところは痺れた。

    女っぽさを持ち合わせた太宰に対して彼女はとても男性的かと思う。文の端々にバッサリと太宰を斬るような表現があって面白かった。雪の中7キロも歩いたり(当時はそんなの大したことなかったのかもしれないけれど…でも太宰は呆れてたね笑)、2人の往復書簡を"お守りにしよう"と紅白の紐で結んだもの…うわー!太宰ってやっぱキザー!と鳥肌立つそれをイライラしてる時に思わず燃やしちゃったとか笑
    とてもサッパリしている人で好感が持てる。
    とても相性の良い、仲の良いご夫婦だったんだと思う。美知子さんの器の大きさの上に成り立ってはいるものの、2人のバランスが良い。太宰が亡くならなければ何だかんだおしどり夫婦として添い遂げていたんだろう。
    太宰の死後、"もう一字も新しく原稿用紙に書かれた字を読むことはできない"と思いながら原稿整理をする場面にホロリとした。

  • 第66回ビブリオバトルinいこまテーマ「太宰治」で紹介された本です。チャンプ本。
    2019.7.28

  • ・6/11 読了.生前の太宰の様子が細かく書き留められてとても参考になる.小説からはわかり得ない生身の太宰治を知ることができて面白かった.天下茶屋にも行って思いを馳せられてよかった.だからといってあんまり小説を読んでみようという気持ちにはならないんだけども.

  • 文学

  • 又吉が言っていたように、「侘しい」のくだりはなんともいい。『黄金風景』『続富嶽百景』『女生徒』は夫人の口頭筆記。太宰は豆腐が好き。多分安いから。犬が嫌い。三鷹の家も空襲にあう。『お伽草子』は甲府に疎開中に書いていましたか。

  • 太宰治の奥様、津島美知子さんの回想。
    10年間の短い夫婦だったけど、太宰を支え子育てをし才女だった事が伺える。
    生前の太宰の事は、詳しく記載されている。
    ただ、太宰没後の生活はどうだったのかが記されて無く残念だ。
    '13.01.25読書完了

  • 久々にめちゃくちゃ面白い本に出会いました。
    生活人としての太宰治がここに。
    本当にダメなどうしようもないへっぽこ!
    でも奥さんが本当に愛してたんだなということがよく伝わってくる。
    太宰に夢も見ず、彼よりも冷静で。
    でも、太宰を尊敬して、大切にしていた、美知子さん。

    あっぱれ素敵な女だ。

    伊藤緋沙子さんの解説がまた面白い。

  • 太宰は自画像のように小説を書いたが、これは才女の妻による太宰の肖像画。小説で自分をさらけ出すと言っても多少の装飾・脚色はあるのだろうが、他者が観察するというのはこうも冷徹で違うものなのか?身近な他人である夫婦の相互観察の錯誤というか錯綜を感じる。お互い理解し合えているといってもそんなのは幻想で、勘違いしながらやっていくものが夫婦なのかもしれないが、それにしても頭のいい人を妻にすると厄介だなあというのが正直な感想。
    いろんな暴露話があるのだが、タケさんの一夜の解放は仰天話だし、「女生徒」のモデルの娘の母に見合い申し込みをする手紙には大笑い。これは太宰の隠れた最高傑作だ。

  • 太宰の奥さんが書いた回想記。太宰の様子が克明に記録されており、面白いです。太宰の作品を、理解する手助けになるでしょう。
    個人的には、死の直前の様子などがもう少し具体的に記載されていると、より興味深い感じがしました。

  • 妻の手による回想記。数多のエピソードと共に人に先手を取られるのを嫌い人の先回りをして取り越し苦労をし、第三者に気兼ねして家人をないがしろにし、針で刺されたのを鉄棒で撲られたと感じる気の弱い人間太宰治が見えてくる。妻の割烹着を着て鶏を捌いたり、文筆業でありながら蔵書を持たず本棚もなく、お金をいくら貰っていたかを妻に知らせず、いつもいくつかの小説の構想を、雌鳥が卵を温める時の様にじっと抱えて雑用には手を出さない太宰。『駆込み訴え』が口述筆記で淀みなく言い直しもなく蚕が糸を吐く様に口述したというのは凄いなぁ。

  • 津島 美知子は太宰治の妻だ。破天荒な生き方をして、愛人と一緒に死んでしまった夫を妻の目で振り返った作品である。

  • 太宰は本当に無趣味の人であった。趣味は遊びだ、逃避だと考えていたようだ。
    太宰という人は幼児のときの印象が常人よりもずっと強く長く残った人である。
    文は井伏鱒二に学び、文人の風は佐藤春夫に学んだ。
    太宰の父も政治化である。演技型の血が伝わっているのであろう。

  •  太宰の正妻、美知子氏の回想録。破滅的であった男との十年にも満たない結婚生活。「彼は精神的近視であった」と。
     太宰の葬儀の場で、自分の実家の親戚が「お坊ちゃんはこれだからね」と小声で話していたというエピソードも。

  • 半分くらい、妻の愚痴。
    残り半分は、考証に値する分析。

    かなり主観的に書いてると思います。
    他の太宰本色々と照らし合わせると、そう思ってしまいます。

    でも、一番身近にいた妻の話ですし、こっちを信じるべきかなぁ・・・
    よくわからない。

    とかまぁでも太宰の理解のためには必須の本です。

  • 2009.3.10読了。

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