- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062900409
作品紹介・あらすじ
毎晩どじょう汁をねだりに来る老彫金師とどじょう屋の先代の女将の秘められた情念を描いた「家霊」。北大路魯山人をモデルにしたといわれる、食という魔物に憑かれた男の鬼気迫る物語「食魔」ほか、昭和の初めに一家で渡欧した折の体験談、食の精髄を追求してやまないフランス人の執念に驚嘆した食随筆など、かの子の仏教思想に裏打ちされた「命の意味」を問う、食にまつわる小説、随筆を精選した究極の食文学。
感想・レビュー・書評
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文学
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食に関する本ということで読んでみたけど…。
読みづらい字が多かったりと、苦戦。
ギブでした…。 -
BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー“文壇レシピ”で登場。
http://nestle.jp/entertain/cafe/
本の中に登場するあの美味しそうな一品を
実際に再現してみよう!というこのコーナー。
第31回目に紹介されたのは、岡本かの子の「食魔」に登場する『アンディーヴのサラダ』。
―「酢の一に対して、油は三の割合」
鼈四郎は今度は匙をナイフに換えて、蔬菜の群れを鉢の中のまま、ざっと截り捌いた
原宿ブックカフェ公式サイト
http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
http://nestle.jp/entertain/bookcafe/ -
情念であるが、何に対する情念であるかと言えば
食うもの食われるものにある溝、
かつはその食事の現場においてそれらが合一するという
そのゆくえについての情念であるように思う。
これはエロティシズムの隠喩であるように思われるが
そうではなくて、エロティシズムがこれの隠喩なのだ。
だから、後半のエッセイにある男へのまなざしは
愛おしさもありつつ、しっかりとした距離感が感じられる。
各地の料理も紹介され、満腹感はあるが
不思議と胸焼けはしない。懐石のような文章かもしれない。 -
3/13 読了。
お腹すいたー。鍋から立ち上る湯気のような暖かさと、ほのかな湿り気と、柔らかい香りを伝えてくれる文章。フランス料理に関するエッセイは「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」と比較してみたい。 -
主人公の苛立ちが、大根のちり鍋を食べていくうちに消えていく。そこから人生の回想へと続くくだりは、プルーストのマドレーヌをも凌ぐと個人的には思います。食を描かせたら岡本かの子は随一。この作品と『鮨』は、かの子の二大食の作品。
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岡本かの子の「食」観は官能的だ。
食べることが、生きることへと直結している。本能的なのに、節度が保たれている。
後半の食エッセイ(特にヨーロッパでの生活)はただ単においしそうと思うだけでなく、日常生活や文化への深い洞察が感じられる。