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- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062900409
感想・レビュー・書評
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情念であるが、何に対する情念であるかと言えば
食うもの食われるものにある溝、
かつはその食事の現場においてそれらが合一するという
そのゆくえについての情念であるように思う。
これはエロティシズムの隠喩であるように思われるが
そうではなくて、エロティシズムがこれの隠喩なのだ。
だから、後半のエッセイにある男へのまなざしは
愛おしさもありつつ、しっかりとした距離感が感じられる。
各地の料理も紹介され、満腹感はあるが
不思議と胸焼けはしない。懐石のような文章かもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
岡本かの子の「食」観は官能的だ。
食べることが、生きることへと直結している。本能的なのに、節度が保たれている。
後半の食エッセイ(特にヨーロッパでの生活)はただ単においしそうと思うだけでなく、日常生活や文化への深い洞察が感じられる。