街角の煙草屋までの旅 吉行淳之介エッセイ選 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 37
感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062900539

作品紹介・あらすじ

坂の上の角の煙草屋まで行くのも旅だと考え、自分の住んでいる都会の中を動くことに、旅の意味を見出す表題作。小説作品のモチーフになった色彩体験を原風景に遡って検証する「石膏色と赤」ほか、心に残る幼年時代の思い出、交遊、文学観、なにげない日常の暮らしや社会への思いなど、犀利な感性と豊かな想像力を通して綴る「人生の達人」の珠玉のエッセイ選。吉行文学の創造の秘密が詰まった四十七篇。

感想・レビュー・書評

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  • 昭和の文壇の重鎮でもあり、対談・エッセイの名手として知られる吉行淳之介。実は彼の作品はまだ未読だったりするのだけど、他作品からの孫引きや著者の人なりについて色々目にする事が多かったり。
    個人的に興味があるのは、喘息に腸チフスに結核、肺炎、躁鬱病、そして治療の副作用からくる白内障…そんな心身不安定な中でも、多くの人から慕われたというその人柄がどのように培われたのか。そのヒントとなるのが、本書に収められているエッセイ「『復讐』のために」。自分自身のプロフィールにも、以下の言葉を引用させてもらっています。

    「少年の頃、激しく傷つくということは、傷つく能力があるから傷つくのであって、その能力の内容といえば、豊かな感受性と鋭い感覚である。そして、その主の能力はしばしば、病弱とか異常体質と極度に内攻する心とか、さまざまのマイナスを肥料として繁っていく」

    ああ、この一文で、何か色々と報われたような気になるのは、きっと自分だけじゃない筈。時々、過去の記憶が自分を押しつぶそうとして負けそうになったりするんだけど、そんな過去があるからこそ、見える景色も有る訳で。基本的に不器用なので色々と折り合いをつける事が苦手だったりするのだけど、いつかそんな過去が些細な事になって、いい記憶に生き返らせる事が出来たらいいなとか、そんな事を思ったりもするのです。

  • この随筆集が自分にとって初めての吉行淳之介作品。
    非常に読みやすい文章で少し意外だった(なんとなくだけど)
    控え目な語り口の中にも、自分の意見をしっかりと据えているところがいい。
    淡交がモットーといいながら、知人や仲間に対する視線はあたたかく、親しみが込められていることが文章から感じ取れる。
    様々な作家との交流が描かれているので、著者は吉行淳之介ひとりであるが、たくさんの作家の声を聞くこともできて、お得な感じがする笑

    「「復讐」のために」が一番面白かった。
    文学を拠り所としてしまう人種についての分析に、そうそう!と思わず頷きたくなってしまうような気持ちになり、少し心強くなった。

    小説も是非読もう!

  • わかりやすい文章。話が突然かわって、あっけなく終わるという文体も面白い。

  • 09.08

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著者プロフィール

吉行淳之介

大正十三年(一九二四)、岡山市に生まれ、二歳のとき東京に移る。麻布中学から旧制静岡高校に入学。昭和十九年(一九四四)九月、岡山連隊に入営するが気管支喘息のため四日で帰郷。二十年東大英文科に入学。大学時代より「新思潮」「世代」等の同人となり小説を書く。大学を中退してしばらく「モダン日本」の記者となる。 二十九年に「驟雨」で第三十一回芥川賞を受賞。四十五年には『暗室』で第六回谷崎潤一郎賞を受賞する。主な作品に『娼婦の部屋』『砂の上の植物群』『星と月は天の穴』『夕暮まで』など。平成六年(一九九四)死去。

「2021年 『子供の領分』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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