美濃 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 121
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062900669

作品紹介・あらすじ

物語は、著者自身の分身とおぼしき小説家・古田信次が、郷里岐阜に住む詩人・篠田賢作に自分の年譜の作成を頼むことから始まる。二人の会話を主軸に、美濃に関係の深い人物たちが、複雑に絡み合い、蜿蜒と繰り広げる人間模様。愛する故郷の自然、風土、方言、歴史を取り込み、ルーツを探りながら、客観的に「私」を見つめる。伝統的な小説作法、小説形式を廃した、独特の饒舌体による新機軸の長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 何を俺は読ませられてるんだ。。とこの作品を客観視した時に来る笑いが本作の肝なのかもしれない。
    読みにくい上、不親切な書かれ方で通読にエネルギー要するが、本当は☆5を付けたい面白さ。

  • 小説ともエッセイともつかない話である。朝日新聞の文学の旅人の岐阜で紹介されていた。
     岐阜をよく知らない学生(たぶんほとんどであろう)にとってはまったくわからないものであろう。岐阜出身の学生であればわかるであろうが半世紀前、たとえば明治生まれならば江戸のことなので、わからないかもしれない。
     旅行のお供として岐阜に持っていくにはあまり役立たない本かもしれない。

  • 解説:保坂和志、柿谷浩一

  • 初期の本と比べるとかなり複雑で断念

  • なんと意地悪な小説なんでしょ。倒置につぐ倒置、前触れのない固有名詞の出現(ダレ?)、尻切れトンボで話は脱線‥エトセエトセ。悔しいけどやたら面白い。無秩序に切れあるリズムが躍動する。小説のセオリーなど全崩壊、勝手気侭に書き殴っとる。と見せかけ実は何一つ放棄しとらん。慧眼をもって文学と対峙。美濃を軸とした人々が絡まり縺れ深まり、故郷に己を見つめ探る変拍子な一語一語が愛おしい。垣間に美濃の情景が凛と佇む。結果胸にじーんときちゃうわけだが、この手腕はやっぱり意地悪だと思うよ小島さん。捻くれず言い換えれば類いなき怪作。最高。

  • 当事者以外にとってはまったくどうでもいい話をエッセイ風に語ってゆくのだが、途中から「私」を含めた登場人物が分裂・増殖していって、虚構と現実がごっちゃになり、ごっちゃなまま「ストーリー」(と言っていいのかもわからない何ものか)が地滑り状に展開されてゆく。後半には事件めいたことも次々起こって、「私」が完全にどっかへいってしまうのだが、最後何事もなかったかのように戻ってくる。ヌーヴォー・ロマンなんかめじゃない。例によって、保坂和志の解説が著者の魅力を倍加させる。

  • 2013/2/22購入

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著者プロフィール

小島信夫
一九一五年、岐阜県生まれ。東京大学文学部英文学科卒業。五五年、『アメリカン・スクール』で芥川賞、六五年、『抱擁家族』で谷崎潤一郎賞、七二年、『私の作家評伝』で芸術選奨文部大臣賞、八一年、『私の作家遍歴』で日本文学大賞、八二年、『別れる理由』で野間文芸賞、九八年、『うるわしき日々』で読売文学賞を受賞。他に『菅野満子の手紙』『原石鼎』『こよなく愛した』『寓話』『残光』など多数。二〇〇六年十月没。

「2023年 『小説作法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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