震える舌 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
3.75
  • (5)
  • (6)
  • (8)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 78
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062901086

作品紹介・あらすじ

平和な家庭でのいつもの風景の中に忍び込む、ある予兆。それは幼い娘の、いつもと違う行動だった。やがて、その予感は、激しい発作として表れる。"破傷風"に罹った娘の想像を絶する病いと、疲労困憊し感染への恐怖に取りつかれる夫婦-。平穏な日常から不条理な災厄に襲われた崇高な人間ドラマを、見事に描いた衝撃作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 幼い娘が破傷風にかかった。
    昼夜問わず起きる発作の恐怖。感染したのではと募る不安。たった数日の出来事なのに、両親は疲労困ぱいで今にも発狂しそうだ。
    読み終わっても、その気持ちに引きずられて腹にずっしりと重みを残した。
    自分は、夫とここまで支え合えるだろうか。

  • うーん、何の病かと思ったら、そう来たか。かなり身に迫ってくる感じの描写が続いて、薄い本なのに結構ぐったり来ます。

  • 映画が強烈で、「エクソシスト」並のホラーという印象だったので、大人になってから三木卓原作と知って驚いた。
    読んでみると、精神的に追い詰められていく夫婦を描くという点ではサイコサスペンスとは言えるかもしれないが、ホラーではもちろんない。
    娘の異常の原因が、病院に行っても分からず、躾の行きすぎでおかしくなったんじゃないか、とか若い夫婦が疑心暗鬼に陥る。
    やっと破傷風とわかって入院するが、治療が遅れたため激烈な発作が襲う。
    当然娘の「死」を考える。
    疲労と心労が重なり、妻は精神的なバランスを崩す。

    実体験に基づいてはいるものの筆致は感情に溺れず、さすが小説家、親であっても業が深いな、と思った。
    いい小説だけど、家族を描き、映画がホラー扱いだったことを考えると、三木さんの奥さん、娘さんは辛かったのではないかな、と考えてしまうのは余計なお世話か。

  • 映画の予告を見て「ホラー映画!?」と思いつつ内容を調べたら
    娘さんが破傷風に感染した時の実話に基づく小説が原作と言うことで
    気になったので読んでみた。
    破傷風コワッ。途中で破傷風の予防接種について
    「破傷風の予防注射がぬけちゃった頃の子なんですね。
    そういう時期があるんですよ」と言う医師のセリフがある。
    テキトーすぎる!と思いつつ母に尋ねたら私もその時期の子供だった。
    どういうことなの・・・。

  • 読了日20120812

  • 破傷風の恐怖!
    子供が破傷風にもしかかってしまったら、この夫婦のように頑張れるか自信がない。子どもvs病魔、夫婦間のいさかい、子どもは助かっててほしいが、自分も感染してしまうのではないかという、抑えがたいジレンマ・・・等々、リアルな人間の本質が描き出されています。映画にもなった感動的ドラマです。外遊びから帰ったら、必ず手洗いは習慣付けましょう。
    ただ、現在でも入手できるか、わかりませんので、あしからず。

  • 小さな娘が破傷風になる。「もしかしたら・・・」と思いながらも、違う診断にほっとしながら、最終的には手遅れに近い状態で入院。そして主人公も感染? 全体的に暗い文体で、主人公の子供に対する距離感とか、妻が壊れていく感じとか怖い。

  • 許さんの授業課題作品。じっくり味わうほど名作なんだなあ、と納得。破傷風の恐ろしさ、家族の不安定な感じ。緊張感。不快な生活匂いが充満した文体。色んな意味で生臭い。詩人ならではの独特な言葉選びも凄い。

    病に冒されて舌を噛み、血だらけになりながら痛いよう痛いよう…と泣き叫ぶ娘。
    看病疲れで狂ってしまう妻。
    「あなたは私の夫ですね、そうですね」と電話口で呟く。触れたくない見たくない人間の怖さが全面に出てきちゃってるかんじ。怖い。ほんと怖い。

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

1935年、東京生れ。早稲田大学卒業。芥川賞、平林たい子賞、芸術選奨文部大臣賞、谷崎賞、読売文学賞、2006年「北原白秋」で毎日芸術賞、藤村記念歴程賞、蓮如賞を受賞。07年、日本芸術院賞恩賜賞受賞。

「2016年 『私の方丈記 【現代語訳付】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

震える舌 (講談社文芸文庫)のその他の作品

三木卓の作品

ツイートする