さして重要でない一日 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 48
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062901550

感想・レビュー・書評

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  • 伊井直行『さして重要でない一日』講談社文芸文庫版。
    以前読んでいたんだけど解説が柴田元幸せんせいということで再読。
    「会社員小説」という特異なジャンルを切り開いた作家の初期作品で野間文芸賞受賞作。

    地の文の与える奇妙な印象はいろんなところで言われるけど、
    それこそ「会社」というなんだかわからんものの体内で生きている
    「会社員」っつう奇妙な生物の住む環境のアレゴリーでござろうな。
    一人称と三人称が溶けたような、誰の視線かわからない眼に監視されて
    (しかもその視線は彼の眼にすら起源している瞬間がある)動き続ける「彼」。
    テキストの間から実存のうえに、不可思議な「相」が立ち現われてくる。
    生々しいぬう。

    こういう文体を獲得するにはそうとうな試行錯誤が必要だっただろうなと思う。
    東電の社員に読ませたい本。
    それにしても講談社文芸文庫は高いお・・・

  • 岩井克人は『会社はだれのものか』で会社という存在の不思議さを論じています。そして伊井直行は本書(表題作を含めた中編2本)で会社員の不思議さを描いています。

    カフカやピンチョンなどによる「謎」めいた作品が好きであれば気にいるでしょう。柴田元幸の解説つきで、待望の文庫化です。

  • 「那样不重要的一日」。普通的上班族的日常。以上。

  • まるで昔のドラマの中で、主役たちがサクセスストーリーや恋愛に現を抜かしている裏で静かに流れていたモブ達の物語のよう。
    エンタメではよく仕事が主題にはなっていますが、それは極端に理想化された像であり言うなれば戯画的です。
    しかしこの小説で描かれている仕事やその人間関係は、その味気なさ矮小さも含めて生々しく、それを小説中に見るのは返って違和感を感じるくらいです。
    ただ、柴田元幸さんの解説のとおり、その平凡な日常からの絶妙なズレがあり、それがこの小説を純文学たらしめているような気がします。

    会社員は必読です。

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プロフィール

伊井直行(いいなおゆき)
1953年、宮崎県生まれ。83年「草のかんむり」で群像新人文学賞、89年『さして重要でない一日』で野間文芸新人賞、94年『進化の時計』で平林たい子文学賞、2001年『濁った激流にかかる橋』で読売文学賞受賞。他の著書に『お母さんの恋人』『青猫家族輾転録』『愛と癒しと殺人に欠けた小説集』『ポケットの中のレワニワ』『岩崎彌太郎「会社」の創造』『会社員とは何者か? ─会社員小説をめぐって』などがある。

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