地の果て 至上の時 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 137
感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062901710

作品紹介・あらすじ

紀州を舞台に圧倒的な物語を紡いだ現代文学の巨星が芥川賞受賞作『岬』、代表作『枯木灘』を凌駕すべく挑んだ最高傑作。

没後20年 <文学の力>が迸る

※本書は、1993年7月刊『地の果て 至上の時』(新潮文庫、初出は1983年新潮社刊)を底本としました。

感想・レビュー・書評

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  • 枯木灘が面白っかたので、その前編の様な「岬」後編の本編を読んだ。かなり時間をかけて、しかも、はしょりながら読了。途中で投げなかったのが不思議。何か解らないけれど魅力を感じる作家かもしれない。

  • 芥川賞受賞作「岬」から始まる「(竹原)秋幸3部作」の最終作。先行する2作品は既読であったため、今回をもって壮大なサーガがようやく完結することになる。さて、中身についていえば、これが論じるのになかなか難しい。登場人物じたいが多いことに加え、みんながみんな揃いも揃って素行不良なので、あちこちを行ったり来たりしつつ、暴力や拳銃すら平気で登場する。ちょうど教室で不良の生徒が騒ぎまわっていたらなかなか授業が進められないように、物語も進むようで進まないような、独特の感覚がある。ただ、ひとついえるのは、登場人物たちは無秩序に動いているようにみえて、その実すべてが必然であるということ。それもこれも、もとはといえば「路地」が失われてしまいつつあるからだ。路地を失った彼らにとって、残された選択肢はこういう生き方しかなかったのだと思う。

  • 「岬」「枯木灘」「鳳仙花」を始めとする多くの作品の中で「路地」を見つめてきた中上健次。
    紀州サーガの最高到達点とも呼ばれるこの「地の果て 至上の時」で、彼はその解体を描き切りました。


    小説の難易度としては比較的高い部類に思います。登場人物同士の血縁・人間関係を把握するのも容易ではありませんし(「岬」「枯木灘」の続編となるので、前2編を読んでいると多少把握しやすくなりますが)、「蠅の王」浜村龍造の行動には多くの「謎」が付きまといます。
    一読ですべてを把握し尽くすことはかなり難しいでしょう。


    しかし、難解であるにもかかわらず、ページをめくる手を止まらなくさせる魅力がこの小説にはあります。


    一つは、秋幸と龍造の父子をめぐるストーリー展開です。
    妾に秋幸を生ませ、自らは「蠅の王」として「路地」に暗躍し、それを破壊せんとする龍造。
    「路地」に生まれ育ち、血のつながった父親である龍造を憎みつつ、自分と重なる部分も見いだしてしまう秋幸。
    二人の関係ーーそれは主に秋幸の、実父に対する憎しみや葛藤という形で描写されているのですがーーを追っていくことはこの上なくスリリングな読書体験になると思います。


    そしてこの物語を一層魅力的にしているのは、圧倒的な表現力です。
    どんな場面においても、登場人物が全身で感じたことを巧みな比喩を駆使しながら描写しているので、読んでいる側も自然と全身の神経を活性化させていくような感覚さえ覚えます。
    この、読みながら自らの五感が総動員されるのを感じるような、熱量まで伝わってくるような文体で重層的に織り上げられたこの小説は、そのテーマも相まって「神話」とさえ呼べるものになっています。


    読み進めるのはそう簡単ではありませんが、その分たくさんのものを得られるような作品だと思います。

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著者プロフィール

(なかがみ・けんじ)1946~1992年。小説家。『岬』で芥川賞。『枯木灘』(毎日出版文化賞)、『鳳仙花』、『千年の愉楽』、『地の果て 至上の時』、『日輪の翼』、『奇蹟』、『讃歌』、『異族』など。全集十五巻、発言集成六巻、全発言二巻、エッセイ撰集二巻がある。

「2022年 『現代小説の方法 増補改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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