芸者小夏 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062902045

作品紹介・あらすじ

温泉芸者の子に生まれ、水商売の中で育った夏子。この宿命の絆を断ち切りたいと願いながらも外に道はなく、夏子は十五で芸者小夏となった。純情を捧げた初恋の教師に裏切られ、夏子は日ましに“女”になっていく――。若き日に色町に親しみ男女の機微を知る著者が戦後の脂の乗りきった時期に書き継ぎ、「夏子もの」として人気を博した連作小説の第一作。

感想・レビュー・書評

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  • 2020/6/5購入
    2020/8/9読了

  • 本名夏子。芸者の子に生まれた。芸者といっても地方の温泉芸者だ。小学校では芸者の子は肩身が狭い。でも担任の先生はかばってくれた。憧れの先生であり初恋だった。芸者にはなりたくなかったけど芸者になった。芸名小夏。小夏は落籍れ妾となるが、旦那に死に別れ、別の旦那の妾になる。舞台は52年に軽井沢が返還されたとあるので戦後間もない頃から物語は始まるようだ。日本版『ナナ』だろうか。本人は自覚がないが可愛らしくいい女のようだ。深く関わる男にとっては宿命の女。露骨な描写はないが行間から匂い立つエロスが素晴らしい。

    ピタピタと手に吸いつく、肌理の細かい肌のような読感。解説を読むとこないだ読了した『花柳小説傑作選』に入れられなかったので1冊として刊行されたらしい。また、谷崎と同時代で生い立ちも似ているようだ。まるで歌舞伎の女形のように女性心理や女の描き方が上手い。大正風にいえばモダンガアル、戦後の解放された新しい女性像を描いているのかもしれない。芸者同士の張り合い、洋装の時のファッションチェックなど女性はどう思うんだろうか。

  • そう、わたしは花柳小説が好きだったのだと、むさぼるように読む。
    少女の夏子から芸者の小夏へと変貌を遂げる過程をもう少しじっくりみたかった。富士山好きでことあるごとに富士山なのがリアリティあるな。
    久保先生なんなの…(怖い)
    イソガ氏がクラスに芸者の娘ゴロゴロいた、と言っていたのを思い出した。

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著者プロフィール

舟橋聖一(1904.12.25~1976.1.13)小説家、劇作家。1928年、東大国文科卒。大学在学中の26年、戯曲「白い腕」で注目され文壇に登場。32年から33年「都新聞」に連載した「白い蛇赤い蛇」で劇作家から小説家への転身をはたす。戦後は風俗小説の代表作家と目されるが、官能表現を耽美主義へと高めた純文学の佳作も多い。主な著書に『悉皆屋康吉』『雪夫人絵図』『芸者小夏』『ある女の遠景』『好きな女の胸飾り』等。

「2013年 『芸者小夏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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