- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062902076
作品紹介・あらすじ
ファシズムに抗し獄死した近代日本を代表する哲学者による読書案内であり、秀逸な人生論でもある。混迷の時代を生きる現代人必読の書
感想・レビュー・書評
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この本の現版は昭和17年に刊行されたもの。「読書」と題名にはあるが、哲学や教養についても三木清の考えが示されており、今尚朽ちない内容だと感じた。
冒頭の章から、一高、京都大学での同級生、友人、師の話しと本が出てくる。この時点で脳がかなり刺激される。次いで中間で少し落ち着きメモを取りながら読み耽ることができる。最後の章で三木清による海外の研究者への辛口批評があり、これはこれで知的な刺激となった。
以下備忘録を兼ねたメモ
読書
多読も精読も必要
一般には古典が善い本だが新刊本もよい
善いものを読むには正しく読む
正しく読むには緩やかに読む
哲学
哲学の知識を詰め込む前に哲学的精神触れよ、つねに源泉から汲もうとすることこそが哲学的精神
ドイツ系が故に難解と感じるのであれば英米系から
直観を育てることが必要、同時に明晰に考えることも学ぶ必要
P98の言葉が特に胸に沁みたのでこちらにも。
⭐︎真の読書においては、著者と自分との間に対話が行われるのである。しかも自分が勝手な問いを発するのでなく、自分が問いを発する事は、実は著者が自分に問いをかけてくることであり、しかも自分に問題がなければ、著者も自分に問いをかけてこない隠して問いから答え、答えはさらに問いを見、問答は限りなく進展していく。この対話の精神が哲学の精神に他ならない。
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古い本ではあるが、色褪せない名著。
西田幾多郎先生の下で学び、様々な薫陶を受けた作者による読書指南。
時代が移り変わっても、読書とはこうあるべきだと教えてくれた本。たまに読み返して自分の読書への姿勢を考え直すきっかけをくれる。 -
如何に読書すべきか?
ひとはただ善いものを読むことによってものと悪いものを見分ける眼を養うことができるのであって、その逆ではない。一般に何が善い本かといえば、もちろん古典といわれるような書物である。古典はすでに価値の定まった本であり、古典を読むことによってひとは書物の良否に対する鑑識眼を養うことができるのである。 -
関係ないけど、興味深いユニークな名前の人が多い。
原書を辞書片手に読めば、それはそれはその書物との深い対話になるのだろうな。
読み返したくなるような本に出会うために、探し求めてたくさん手を出している。
最近、小説から離れて民主主義や、世論形成や、税や倫理に手を出しはじめている。
図書館で今までは行かなかった階や、棚を巡っている。
論理学は、ずっと前から必要だなと思っていたが、放ったままでいる。
数学は勉強してちゃんと理解しなきゃ進んで行けないけど、本の文章は理解できずに読み流しても読み終えることができてしまう。
読めてないのに。
最近読んだ税の本がまさにそうだが、まず税についての用語をちゃんと調べて理解して、読み進めなきゃ、怠けてちゃ分からない。
ちゃんとした勉強が必要なのかもしれない。
繙く(ひもと)
乃至(ないし)
【白眉】はくび
中国の故事成語のひとつ。数ある優れたものの中でも、特に優れているものや人の例え。
【ペダントリ】
知識や教養をひけらかすこと、学者ぶること、知ったかぶりをいう。衒学(げんがく)
【叢書】
叢書とは、本のシリーズのことである。 テーマなど特定の共通項に基づいていくつかの書物・著作をまとめあげたもの。
【無聊】(ぶりょう)
退屈なこと。心が楽しまないこと。気が晴れないこと。また、そのさま。
【謦咳に接する】(けいがい)
尊敬する人に直接話を聞く。お目にかかる。
【跋】(ばつ)
書物や書画の巻物の末尾に記す文。後書き。跋文。⇔序。
【肯綮に当たる】(こうけい)
ものごとの最も重要な点をとらえることのたとえ。
【デモーニッシュ】
鬼神が憑いたかのような、凄味のあるさま。超自然的なさま。悪魔的。
読みたくなった本
ミル『論理学体系』
パスカル『パンセ』
ジェームズ『心理学原理』
モンテーニュ『エセー』
カント『純粋理性批判』
西田幾多郎『善の研究』 -
初めて三木清の本を読んだが、学生向けに書かれているところもあって面白かった。読者は多読と精読がどっちも大事で、読書をする時間を作ることが大切だというところが印象的だった。継続的に本を読んで、良い本からいろんな視点や考えを学んで行きたいと思った。
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三木先生の著書。味わい深く、再読したい。読書遍歴は自身との比較のために。
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30年前に読んでいたら、私の読書がもっと実り多いものになっていたのに。出会えてよかった。
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独語ではない読書。
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哲学は原典によるべし。
原語で読みたいからと言って翻訳本を読まないでいるのは愚かである。
古典を読むのが一番いいけどたまには新刊本も読んだほうがいい。
いつの時代も古びない読書論でした。
読書遍歴は、素晴らしい出会いとともに本が紹介されている。まさに読書と人生。