ひかげの宿/山桜 川崎長太郎「抹香町」小説集 (講談社文芸文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062902878

作品紹介・あらすじ

『抹香町』によって、時代の寵児となった川崎長太郎。
しかし短篇群〈抹香町もの〉の全体像は、纏められたことがない。
初期作「夜の家にて」から、売春防止法施行、「抹香町」の消滅、その後日譚まで、
十四篇を精選した本書は、『新編 抹香町』ともいいうる。
扇情的な私娼小説を超え、孤独な男女の魂の道行、
虚飾を剥ぎ取り、危険水域に生きる者たちの生の原形質へと迫る。
長太郎文学の核心を余すところなく示した、歿後三十年記念出版。

感想・レビュー・書評

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  • 単なる風俗小説ではなく、孤独な初老の作家の世間との繋がりの彷徨なのだろう。厳しい私小説だとおもう。

  • 人間はどっちみち天国には行けない

    川崎長太郎は、終始小説の中で、日陰の日向の境目のあたりの日陰の中を歩いている気がしている。
    その陰の中で、ちらちらと日向を見、無理無理ってため息ついている。

    若い頃の、小津ものより、抹香町あたりから晩年の作品の方が、年を重ねてきた味わいというのか、深みというものが感じられて、私は好き。やはり経験というのは馬鹿にはできない。

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著者プロフィール

川崎長太郎(1901.11.26~1985.11.6) 小説家。神奈川県生まれ。小田原中学を中退して、家業の魚商につく傍ら、同郷の民衆詩人福田正夫に師事、左翼的作品を発表。1920年頃より上京、帰郷を繰り返す。繰り返す。23年、萩原恭次郎、、岡本潤らと「赤と黒」創刊。震災後アナーキズム運動から離れ、25年、徳田秋声の推挽で「無題」を発表、文壇デビュー作となる。私小説家を目指すが、不遇な時代が続く。38年、永住の覚悟で帰郷、実家の物置小屋に棲み、創作に専念。54年、娼婦たちとの関わりを描いた『抹香町』で長太郎ブームが起きる。62年、結婚。私小説一筋の生涯を貫いた。著書に『裸木』『浮草』『女のいる自画像』『女のいる暦』『忍び草』『幾歳月』『淡雪』『夕映え』『老残/死に近く 川崎長太郎老境小説集』『泡/裸木 川崎長太郎花街小説集』など多数。

「2015年 『ひかげの宿/山桜 川崎長太郎「抹香町」小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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