親鸞 激動篇 下

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 370
感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062910071

作品紹介・あらすじ

陰謀、因習、騒乱。しがらみの中で生き抜く、関東の人々の姿。かつて描かれたことのない中世の真実が、いま明かされる!全国44紙・世界最大規模の新聞連載、ついに単行本化。

感想・レビュー・書評

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  • 五木版「親鸞」はエンターテイメント性を重視しすぎて、越後では親鸞が本来否定しているはずの「雨乞い」を大々的に行う羽目なる。失敗すれば命がない、しかし親鸞は目の前の困っている民を見捨てきれず行なってしまうのだ。そして最後の最後に奇跡が起こる。雨が降らなかったら降らなかったで、親鸞の思想が試される面白い展開になったはずなのだが、五木寛之は前巻を終わらす必要があったのか劇的な展開を用意してしまった。‥‥‥そういう弱点はあるものの、とっても面白く読める、というまさに「庶民のための」親鸞像を打ち立てる。

    此処には、今までに良く描かれた「聖人親鸞」の姿はない。混沌とした中世の時代の中で、走り、怒り、悩み、おののき、間違い、後悔し、それでも真実を求めてもがいている念仏者の姿がある。あまりにも人間的な親鸞がいる。

    黒面法師との三度目の対決も描かれる。母親を殺し、殺人拷問を好み、仏塔を焼き、悪を反省せず、最後まで念仏に耳もかさない極悪人も果たして「すくわれる」のか。前巻とはまた一歩進んだ親鸞の言葉を読むことが出来る。

    悪人正機説、はここで一応の完成を見ているようにも思える。しかし、それを実践の場で確かめるのは次の章を待たなければならないのかもしれない。何しろ、黒面法師との最終決着はまだついていないのである。

    この黒面法師、この作品のもう1人の主人公なのだろう。どの様に決着がつくのか、とっても楽しみである。
    最後のあたりで、「歎異抄」を書いた唯円が登場、次回に楽しみを持たせている。

  • 親鸞聖人はごく普通の人だったようである。 ただ、ある一時に人並みでは出来ぬ力を発揮する。 それに普段から変わらぬ意志が存在している。

  • 2023/4/24
    上巻と比べると、驚く程面白くない。

  • 前作同様、冒険小説のようなシーンが折々展開する。特に下巻の緊迫したシーンはアクション映画さながら(笑)
    しかし、これらのシーンも含め、前作以上に、特に法然上人没後の布教に対する親鸞自身の迷いが、民との問答、恵信とのやりとりなどに臨場感をもって表現されており、物語に引き込まれていく。
    やはり面白い!

  • 親鸞は関東で布教を行う。
    関東での布教活動の中で、驕りが出てくるなど非常に身勝手な人間らしさを感じる。

  • 歳を取るとともに動から静へと変わっていく親鸞。
    だが、心の奥底にある熱いものは変わらない。
    仲間に対する熱い思いなどは、自分の中の親鸞のイメージには無かった。
    だが、この巻では、念仏を広めようとどこでも法話をし、誰とでも気安く対話する自分の中でのイメージに合った親鸞が頻繁に出てきた。

  • 親鸞ほどの名を残した人でも、悩んだのね。
    それだけでも励みになる。

    さ、完結編へ

  • ★2016年11月24日読了『親鸞 激動篇(下)』五木寛之著 評価B
    雨乞いの法会での願いは届き、雨は豪雨となって降り注ぐ。親鸞は命を奪われる危機を脱したものの、強欲な守護代戸倉兵衛は、豪雨で溜まった堰き止めた水を一気に決壊させて、河原に住む外道院を追い払う策に出る。間一髪、危地を脱した外道院たちは、廃船を使い洪水の流れに乗って越後を去る。

    その後、親鸞たちは外道院たちが去って面倒を見るものがいなくなった病人などを診療する施術所を開設する。しばらくは幸せな日々を送っていたが、京の法然上人死去の知らせが入り、親鸞は衝撃を受ける。そして、これからは自らが念仏の道を指し示す先達とならねばならないことを自覚する。関東宇都宮氏の招きもあり、親鸞一家は関東常陸の国へ移住する。念仏信仰を親鸞の考えるやり方で焦らず徐々に広げていく。とうとう親鸞も60歳を過ぎ、関東をでて、京都に戻る気持ちが芽生えてくる。いよいよ自らの念仏信仰をまとめる時期となる。

    小説としては、五木氏らしくエンターテイメント性もしっかり網羅して、面白く読ませてくれる。
    それを、宗教家の親鸞の物語として相応しいかという議論はあるにしても、それでも多くの読者に親鸞を知らしめて読ませてしまう五木氏の巧みさには舌を巻く。さすが希代のベストセラー作家ではある。

  • あれ?積読?生々しい親鸞が伝わってきて、親近感かな?

  • 2015/06/17完讀
    ★★★★
    法然過世後,未得見師父一面的親鸞,受宇都宮頼綱聘請,從越後來到常陸傳教。鎌倉幕府的北條政子皈依法然上人,因此念佛思想也漸漸在關東茁壯。這段時間思考的問題是,一般人多半是需要現世利益,也未必人人都想到達淨土,有些人根本沒有罪惡意識也不在乎?親鸞提倡任何人念佛都可以得救,於是世間出現走極端的白念佛(無比從順不反抗官府,乖乖繳稅等等)與黑念佛(徹底作惡,反正都會得救),而親鸞得出一個想法,念佛者馬上受到阿彌陀如來的擁抱(沒有念佛者在死後才會得救),念佛是歡喜發自內心的嘆息,也是鞏固自己脫離迷惘動搖的他力之聲。人就算認識了會拯救所有人的阿彌陀如來,還是會猶疑、脆弱、失去信仰心,所以念佛就像是來自阿彌陀如來的呼喚,在船難的海上阿彌陀如來會鼓勵著說馬上來救你!現在在哪裡!而我們充滿喜悅地回應的聲音,就是他力念佛。「信が念仏を生み、念仏が信を支えるのだ。」「いまのわたしに、わずかにわかってることは、まことの信を得るために自分自身を見つめることの大事さだ。このわが身の愚かさ、弱さ、頼りなさ、それをとことんみつめて納得すると。それができれば、おのずと目に見えない大きな力をゆだねる気持ちもおきてくるのではあるまいか。」妻子惠信再回到越後,親鸞撰寫著教行信証。卷末親鸞決意離開待將近二十年的關東。

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著者プロフィール

1932年、福岡県生まれ。作家。生後まもなく朝鮮半島に渡り幼少期を送る。戦後、北朝鮮平壌より引き揚げる。52年に上京し、早稲田大学文学部ロシア文学科入学。57年中退後、編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、66年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76年『青春の門筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞、2010年『親鸞』で毎日出版文化賞特別賞受賞。ほかの代表作に『風の王国』『大河の一滴』『蓮如』『百寺巡礼』『生きるヒント』『折れない言葉』などがある。2022年より日本藝術院会員。

「2023年 『新・地図のない旅 Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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