王権誕生 日本の歴史02 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062919029

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  • 日本の歴史シリーズ、この巻では弥生時代から古墳時代。
    柳田國男「海上の道」では、中国南部から南西諸島を経て、稲をもって日本人の祖先である弥生人が渡ってきた、としていたが、戦後の豊富な考古学の成果を踏まえたこの本によると、稲が渡ってきたルートは幾つか可能性があり、しかも幾つかのルートで別々に渡ってきたかもしれない、という。
    ひとつは、東北地方に伝来したルート。もうひとつは(こちらが重要らしいが)朝鮮半島から九州南部に伝来したルート。
    弥生人/縄文人という民族分類学上の差異は、両者の混血によって急速にうすめられたのだそうだ。
    そして、水田稲作を営む過程で、集落は急速に「共同体」として組織化され、そこに長=権力も生まれてくる。それは必然的に宗教=祭祀という文化的秩序とも一体化しており、長やシャーマンなどの特権的な階級の「埋葬」が注目されるようになる。
    そして、共同体が結成されることにより、外部の異氏族との「戦争」が発生する。
    ・・・この部分は非常に興味深かった。思うに、自己自身の利益だけを追求している限り、共同体のために死の危険を犯そうなんていう考えは起こさない。「共同体幻想」こそが、共同体を自我そのものとリンクさせる主体の拡張現象こそが、外部=他の共同体=他者ゲシュタルトとの「戦争」を可能にするのだ。
    このような共同体幻想が、権力による制度と一体化したとき、その身体はずんずんと拡大してゆき、やがて「国家」へと成長する。
    しかも「国家」が生まれるためには、「他の国家」との「関係性」が「先に」必要だ。
    倭国=ヤマトの誕生は、当然、背後にある中国との継続的接触をもとにして実現した。隣国との相互関連性がなければ、国家も生まれようがない。
    以上は私が考えたことだが、「鬼道をあやつる」卑弥呼が倭国を安定させ、かつ中国文化との一定の関係性を確立したことでヤマト王権が確立した、という、この本が示すダイナミズムに、おおいに刺激された。

  • 前6世紀末から4世紀末、稲作伝来以来、日本列島は大きく変貌した。弥生人の生活はどのようなものであったのか。各地に残る環濠集落、石剣が突き刺さった人骨、大量に埋納された銅鐸、銅剣、巨大墳丘墓の構造。カミから神へ、マツリから祭りへ、ムラからクニ、国へ。王権誕生・確立までのダイナミックな歴史のドラマを最新の研究成果を結集し描く。

  • 日本の最も奇妙な時代である弥生時代の始まりからやがて近畿の地にヤマトが大都市を形成するまでの内容です
    資料の不明瞭さや少なさから数々の論争を読んできましたが、最近の研究までを抑えてアップデートした内容で、著者なりのかなり説得力のある仮説を出しています
    この時代の専門家の書籍にはアカデミズムの世界でさえ知的誠実性が欠ける事が多いように見受けられますが、本書はそれより遥かにまともです

  • おそらく、歴史というものは、⚪⚪時代△△時代と、はっきりと分けられるものではないと思う。特に、この時代は。

    本書でも、縄文人、弥生人の緩やかな混血のすえに、日本人の原形が出来ていった事が、わかりやすくかかれている。

  • 「借」(大学の図書館)

    日本史を学び直すために読んだ。

    王権がどのように生まれ、
    どのように伸長していったかがよくわかる。

    高校までよりも刺激的なのだが、
    このシリーズの他の本よりも
    「私はこのように考えている。」
    という感じの記述が多く、
    ちょっとクセがあった。

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