- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062919197
作品紹介・あらすじ
豊かな自然に依存した徳川文明。国際的には近代世界システムと冊封体制に対抗して日本型華夷秩序が形成され、国内は幕藩体制下、各領国が拡大する市場経済により統合されていた。そこに現出した貨幣経済の発達、独自の物産複合、プロト工業化による地方の発展、人口停滞と出生抑制。環境調和的な近世日本のあり方に成熟した脱近代社会のヒントを探る。
感想・レビュー・書評
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講談社学術文庫
鬼頭宏 「文明としての江戸システム」
人口や経済の構造から 江戸時代の特徴を検証した本。タイトル通り、江戸を 時代区分でなく、文明として 捉えている。
中世からの連続性や鎖国の断絶性から江戸を見るのでなく、経済史や人口経済学のアプローチを用いて、市場経済や人口動向から江戸の普遍性を抽出している。
江戸システムを 世界システム論(世界資本主義)とは異なる 独自システムとして捉えている面白さ。鎖国も江戸システムの一要素として、肯定的に捉えている
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衝撃的なタイトルである。歴史的文脈において文明と聞いて想起するのは当然「文明論之概略」でありシビリゼーションのことである。江戸時代の「システム」に西欧的進歩理念?それにとどまらず著者はマルクス主義との決別を掲げ「システム」も放棄するらしい。つまり本書の題名の意図するところは「文明としての江戸システム」そのものの脱構築である。その試みは成功したと言えるか。著者の頭の中にはおそらく目指すところがあるのであろうが、私には雑多な研究成果の羅列としか映らなかった。
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[評価]
★★★★★ 星5つ
[感想]
鎖国を行っていた江戸時代の日本がどのような仕組みで動いていたのかが解説されている。
内容は多岐にわたり、農村と都市の人口増減、出産や結婚といった社会活動、日本国内における開発と商業の発展、また、後の明治維新を支える要因となるプロト産業革命の促進と260年に渡る平穏の中で日本が着実に進化し、力をためていたことがよく分かる内容だった。
これらの着実の前進はヨーロッパンの産業革命のような急激な成長は怒らなかったものの無理のない成長で現代の礎になったのだと思うと江戸日本のことを改めて素晴らしいと感じるとともにこれからの日本も成長できれば良いと感じた。 -
日本文明史における近世
江戸時代の村に生きた人々
人口にみる江戸システム
人間を取り巻く環境
産業発展と生活革命
生活を支えた経済システム
生活としての徳川文明
徳川文明の成熟
著者:鬼頭宏(1947-、静岡県長泉町、経済学) -
まず、私は、とにかく、GHQから強制され洗脳された自虐史観が気に入らない。
大げさに言えば、縄文時代から続く世界史にまれなる日本文明のすばらしさを日本人自身がきちんと認識しなければと思っている。
今回は、文明としての江戸システムであるが、大航海時代を西洋社会から遠くはなれていたという立地条件もあり、他のアジア諸国が味わった植民地の悲劇は免れた。
徳川幕府としては、西洋社会に関する情報もきちんと知りながら、適切に外国との関係をコントロールし、国内の安定化を図り、独自の自己完結型循環自然・経済システムを構築したのである。
良識ある西欧人は、このシステムを正当に評価していたのである。
勤勉な先人が残した文献資料を基に、ますます精緻にパクス・トクガワーナを研究していって欲しいものである。
第1章 日本文明史における近世
第2章 江戸時代の村に生きた人々
第3章 人口にみる江戸システム
第4章 人間を取り巻く環境
第5章 産業発展と生活革命
第6章 生活を支えた経済システム
第7章 生活としての徳川文明
エピローグ 徳川文明の成熟
この本を読んだのを機にまた読んで見たい本が紹介されていた。
「鉄砲を捨てた日本人――日本史に学ぶ軍縮」ノエル・ペリン(紀伊国屋書店) -
石高に表(公称)と内(実態)があるのは知らなかった。家格等があるため生産能力が上がっても表高を変えない。スゲぇ面倒くさそうw
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豊かな自然に依存した徳川文明。国際的には近代世界システムと冊封体制に対抗して日本型華夷秩序が形成され、国内は幕藩体制下、各領国が拡大する市場経済により統合されていた。そこに現出した貨幣経済の発達、独自の物産複合、プロト工業化による地方の発展、人口停滞と出生抑制。環境調和的な近世日本のあり方に成熟した脱近代化社会のヒントを探る。
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豊富な事例から、江戸時代の人口動態や結婚年齢、平均余命、摂取カロリーなどの数字を推定し、明確な形で提示してくれる
鬼頭さんの研究は他にも優れたものがあるので、ぜひ読んで欲しいとお思う -
人口の推移から見る江戸時代の農村・都市の発展、推移など。
じゃっかん退屈はする記述でしたが勉強になりました。
ただなんか人口動態と出生抑制について、相関があることは確からしいと思うけど因果関係として説明してた部分については?と・・・読み方が悪いのかもしれないけどそこまで明確な気がしなかった。(幼児死亡率の低下⇒生んでおかなければならない子どもの数を減らしても良い⇒バース・コントロール、具体的には母乳育児とか) -
すばらしい
著者プロフィール
鬼頭宏の作品






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