ビゴーが見た明治職業事情 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062919333

作品紹介・あらすじ

激動の明治期、人々はどのような仕事をしていたのか。仏人画家ビゴーは、洋服屋、牛肉屋、鹿鳴館職員といった西洋化により登場した職業など、働く人々の姿を諷刺も交え克明に記録した。国会議員らエリート層の豪奢で珍奇な暮らしぶりとは対照的に、人口の九割を占める下流階級の人々が懸命に働く姿は、明治の格差社会を痛切に感じさせる。百点超の作品を紹介し、背景を解説する。

感想・レビュー・書評

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  •  明治期に来日し、多くの風刺画で知られるフランス人画家ジョルジュ・ビゴーの絵から、職業(主に明治維新後に登場した新職業)に関わるものを選抜し、明治社会の人びとの生活実態の一端を示している。最底辺の貧民から特権階級まで多岐にわたる。解説は最小限で、簡単な「明治事物起源・職業編」とでも言うべき内容である。

  • 写真でしか見ることのない歴史がイラストで存在することで鮮やかになる。屑拾い、泥棒などまであって、楽しくページをめくった

  • 一枚一枚の絵、それぞれに面白みを感じる。相変わらず、日本人は一重瞼に出っ歯だけれど。

  • 明治の人々の写真などは鮮明でなく、また変な着色などされていて見難い物が多い。この本の場合、写実的な絵により、より当時の情景が鮮明に描かれている。例えば馬に曳かせる鉄道など初めて見た。

  • 明治時代に屑拾いがまだいた。時は鹿鳴館時代、毎晩舞踏会、夜会が繰り返されていた首都東京でこのような貧しい人がいることを外国人に宣伝されてはたまらないと主張していた。
    娼婦としてマレーシア、フィリピンなどの東南アジアに出たものもかなりいた。

  • 先に「ビゴーが描いた明治の女たち(100年前シリーズ)」を読みました。
    同じような絵もあるかと思いますが、江戸時代の香りを強く残した庶民も、文明開化に追いつけ追い越せで、生き生きとしている明治の人たちを垣間見ると、元気が出てきます。
    日本人が、いかに自国の文化と西洋の文化を上手に融合させたか、職業事情でわかるのではないでしょうか。

  • ビゴーの本、これで三作目です。やっぱり最初に読んだ本のインパクトには劣ります…が、私が学んでいる教育社会史にとって大変興味深い記事がチラホラ。

    この本は職業をテーマにしているので、性別も、年齢も身分も様々な人たちが登場します。

    中でも興味深かったのは、女性の職業です。
    今だからこそ色んな職業に就けるようになりましたが、当時は本当に女性の職業が少ない!
    そんな中でも、薬剤師や先生等をしている女性がいることは素晴らしいです。

    また、本来男女比は一対一の筈なのに男性人口の方が多い…これには、働き手になれない女の嬰児の「間引き」が行われていたからという理由が隠されています。
    間引きは知ってましたが、今回詳しく知れて良かったです。

    またもうひとつ興味深かったのは、賃金の話。
    明治24年の内閣総理大臣の年俸は、9600円!!
    高額で驚いてるんです。
    というのも、工場などで雇われている男性の年収が当時50円程度(これも、割と良い方だし、単純計算による値なので、曖昧です。)なので、それと比べると…約200倍!?
    明治20年代で、確か1円=2万円ぐらいのはずなので、2万×9600=192000000……約二億?
    なんという格差社会。
    といっても、内閣総理大臣はじめ公務員の賃金が下がっただけで、現代も格差社会なのは変わりありませんが。

    いやはや。
    大変興味深い本でした。
    でもやっぱり風俗についての内容の方が好きかな。

  • 社会の教科書でよく見たジョルジュ・ビゴーが、明治時代の日本の色々な職業の人を銅版or石木板で描いたもの、をまとめた本。
    ビゴーは明治19(1886)年に来日、貧しい一般人の中で過ごすなどして、思った以上に当時の日本のことを知っていたようだ。

    ◎明治の人口は3,000万人前半からスタート、明治末年には5,000万人に。
    0.01%の貴族、5%の士族、1%の宗教関係者、94%の平民。

    ◎江戸という都市は以上に男性が多かった。
    享保6(1721)年には、男:180 女:100
    独身男性が多かったから秘画浮世絵が売れたといわれる。
    幕末には、男:105 女:100
    明治になると男の割合が再び上昇。
    新しい商売・産業・企業が生まれ、男性労働者の需要が高まった。
    建設期の年は男性が多くなるのが一般的特徴であった。

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著者プロフィール

2018年12月現在
漫画・諷刺画研究家/元 帝京平成大学教授

「2018年 『日本の漫画本300年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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