- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062919791
作品紹介・あらすじ
第一次大戦の前から第二次大戦へと突入していく時点まで、ヨーロッパの最も悲劇的な時代に知的活動をしたベンヤミン。その思想の根底にはドイツ青年運動、ユダヤ神秘主義、シュルレアリスムがあった。右か左かという出来合いの選択を拒否、破壊・追憶を武器にアクチュアリティを追求した思想家の、亡命、自死へと到る孤立無援のラディカリズムに肉薄する。
感想・レビュー・書評
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副読本としてかなり出来のいいこのシリーズなのですが、このベンヤミンに関しては伝記的な構成に当てはめて解説を加えているので、少しとりとめがないというか、思想の分析として見るにはややつらい構成かもしれません
もちろんそれは浅学の私の読解力の責任に帰するし、素晴らしい筆致で余すところなくベンヤミンについて解説する著者の実力は大したものです -
内容が難しかったり、簡単だったり、わけがわからなかったり、なんだりで、いろいろと当たりはずれの多い講談社「現代思想の冒険者たち」シリーズの第9巻「ベンヤミン」を文庫化したもの。「〜冒険者たち」版からだいぶ加筆・修正したとのこと。とてもボリューミィですぐに読み終えられなかった。
現在、いささか飽和気味の「アーカイブ」という言葉だが、ベンヤミンが(たとえば『パサージュ論』などで)目指したような「アーカイブ」は、過去の記憶を公共の追悼やモニュメントによって維持しようといった、いわば「主体」的な活動とはもっとも遠いところにある。「過去の救済」とは、過去の全体を引用可能にすること、つまり過去をそのコンテクストから外すことである。コンテクストの破壊による無意志的記憶と引用可能性への希望こそ、過去がアウラを持つための唯一の方法だとベンヤミンは語る。
ディディ=ユベルマンはそのことを良く理解している。彼の『イメージ、それでもなお』はベンヤミン的アプローチをアウシュヴィッツに引き寄せた傑作である。