源平合戦の虚像を剥ぐ 治承・寿永内乱史研究 (講談社学術文庫)

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  • 講談社 (2010年4月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784062919883

作品紹介・あらすじ

「平家物語史観」を乗りこえ 内乱が生んだ異形の権力 鎌倉幕府の成立にせまる

屍を乗り越え進む坂東武者と文弱の平家公達――。我々がイメージする源平の角逐は、どこまで真実だったのか? 「平家物語史観」に基づく通説に対し、テクストの精緻な読みと実証的な探究によって、鋭く修正をせまる。さらに、源平合戦の実像や中世民衆の動向、内乱の歴史的所産としての鎌倉幕府の成立過程までを鮮やかに解明した、中世史研究の名品。

現在でも、武士を暴力団にたとえ、その武力を超歴史的に批判するような見解は目についても、肝心の武士が「戦士」として行動する「戦争」や「武力」の在りかたについては、まだまだ未解明な部分が多い。……「源平合戦」にロマンを感じておられた方は、少々失望されることになるかもしれないが、本書としてはできるだけ現実的・冷静に、治承・寿永内乱期の戦争の実態を復元し、そのうえで、たんに戦乱の被害者にとどまらない中世民衆の動向や、内乱の歴史的所産としての鎌倉幕府の成立を、検討していきたいと考えている。――<本書「はじめに」より>

みんなの感想まとめ

治承・寿永の乱の真実に迫る本書は、平家物語に基づく通説を相対化し、歴史の実像を浮き彫りにします。著者は、源平合戦の背後にある政治的意図や武士の行動を新たな視点から考察し、特に頼朝の奥州合戦の目的が単な...

感想・レビュー・書評

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  • 平家の滅亡を自明と見做す「平家物語史観」を相対化させ、治承・寿永の乱の本質を捉えた一冊。

    ステレオタイプな源氏、平家、武士に対する印象を変えてくれる名著。

    第6章は白眉である。頼朝の奥州合戦は義経の追討や、藤原氏の軍事的影響力を排する目的で行われたのではなく、自身が五代先祖の頼義の後継者であることを全国の御家人に示す政治的な意図で行われたという説明には衝撃を受けた。先祖以来の故実を重んじる武士に違わず、頼朝もまた、頼義を先祖として敬い、自身の権力の源泉としたのである。

  • 平家物語は物語として大幅に脚色が加えられており必ずしも史実を正確に表現していないこと、また平家物語の筋書きを正とし進めれていた中世史研究を批判し、源平合戦の史実としての姿を映し出そうとした書籍である。
    当時の文献や資料に基づき、誠実に内容を構築している印象を受けた。
    特に、奥州合戦が軍事的よりも政治的な目的を持った合戦であり、頼朝の源氏棟梁としての総仕上げとして実施されたという説は興味深かった。
    序盤は事実の羅列で読みづらかったものの、後半につれて謎解きが進むような高揚感があった

  • 治承・寿永の乱と言うと自分の中ではどうしても『平家物語』がベースになってしまいます。
    この本で物語としての治承・寿永の乱と実際の治承・寿永の乱の違いをくっきりとさせてもらえました。
    当時の人間の大きさ、馬の大きさと能力から考察した戦い方と変遷や奥州合戦における頼朝の目的等、色々と面白く勉強になります。
    神経質なまでに前九年の役をなぞる事で自身の源氏の棟梁の地位、武士内での権威の確立を図る頼朝は自分が今まで思っていた人物像とかけ離れておりました。これも『平家物語』的判官贔屓から来ていたのですが…。
    治承・寿永の乱の姿を再確認できました。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/740704

  • 源氏が平氏に勝ち,朝廷とは別の統治体制を敷けた理由を戦闘方法や戦争行為の動機のリアルな分析から推測していて,読んでてワクワクしました。NHK「鎌倉殿の13人」も終盤になってきましたが,最初から見直すと違った見方ができて楽しそう。先に大河ドラマや新日本出版社/上杉和彦『源頼朝と鎌倉幕府』を読んでて,大枠の歴史の流れが頭に入った上で読んだので,細かい分析がちょうどよかったです。

  • 治承・寿永の乱は〈内乱〉であり平家方圧迫に対する全国規模の反抗。国衙で村落領主クラスの「器量に耐えうる輩」武芸者以外までをも軍事動員したが〈駆り武者〉は不利になると本人意思で脱落し戦局を左右した。〈路地追捕〉は場あたり的な掠奪でなく、膨大な動員を維持するための遠征当初から予定の「合法的」軍事行動。工兵は有償だった。鎌倉方有利は、朝廷にしかできない敵方所領没収を反乱軍ゆえ実施し追認されたこと。奥州合戦は鎌倉殿を鎮守府将軍に比する権威化セレモニー、右近衛大将・大将軍補任で確立。歴史的名著と言える(1996年)

  • 以前に買って積読状態だったものを読む。今年の大河ドラマ関係ということもあり、なかなか面白く読めた。内容は源平合戦期から奥州合戦までを「戦争」を中心に見て行ったもの。吾妻鏡などを表面的に読んで行ったのではわからない当時の様子がわかる。しかし、この本にも一部載せられているが、「吾妻」ってかなりすごい歴史事実の改竄があるんだなあ。

  • 1996年刊行の原本を一部改定した文庫版。源平合戦の実像や鎌倉幕府の成立過程を、戦闘の実態や民衆の動向などを明らかにしながら再構築する内容。現在にいたる研究状況を理解するためにも読むべき内容と思えた。

  • 奥州征伐を急いだ理由が、御家人体制の再編成及び頼朝の権威づけにあることはなるほどと思う。
    前九年の役の頼家への自己投影による権威づけとは、家の出自に一番重きをおく日本人ならではの発想は、古代から受け継がれてきたものと感じた。

  • [ 内容 ]
    屍を乗り越え進む坂東武者と文弱の平家公達―。
    我々がイメージする源平の角逐は、どこまで真実だったのか?
    「平家物語史観」に基づく通説に対し、テクストの精緻な読みと実証的な探究によって、鋭く修正をせまる。
    さらに、源平合戦の実像や中世民衆の動向、内乱の歴史的所産としての鎌倉幕府の成立過程までを鮮やかに解明した、中世史研究の名品。

    [ 目次 ]
    第1章 武士再考
    第2章 「弓馬の道」の実相
    第3章 源平の「総力戦」
    第4章 飢饉のなかの兵粮調達
    第5章 鎌倉幕府権力の形成
    第6章 奥州合戦

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 武士は元々職能であり弓馬の道出会ったこと。=白兵戦がシュリュウではないこと。

    と思うと、その後の信長による鉄砲採用の素地は日本にもありアメリカの銃社会を云々いえないなーと。。

    あとは、源頼義を意識したアイコンとしての
    権威、仕組み作りもしさぶかい。

  • 朝廷のもとで成長した平氏の没落、そして源氏が築く鎌倉幕府の流れを必然視しようとする「平家物語の歴史観」に対しての丁寧な考察。

    知りたかった方面の知識ではなかったのだが、戦の行い方や養和の大飢饉から見た実像など、面白い情報がたくさん!

    でも、きちんと吸収しながら読み終えるには大変。

    内容はさることながら、膨大な資料を「ご都合主義」と謙遜したりする筆者の人柄も良いなぁ〜と感じる。

    本当はレビューを書けるほど飲み込めたわけではないのだが、二歩三歩踏み込みたい方に。

  • 武士は弓馬の道の専門として王権に奉仕する家業として生まれた。馳射を競う武士の合戦は承平・天慶の内乱の質の劣る兵士の大量動員で変質した。乱後の鎌倉幕府は御家人に殊更、武士の表芸として弓馬の道を奨励する。また源頼朝は特別に貴種性が高かった訳ではなく、その確立の為、奥州征伐に全国から御家人のみの大動員を行い、前九年の役の鎮守府将軍源頼義の故事を再現した。それによって東国武士団と河内源氏嫡流が昔から強固な主従関係で結ばれていたという幻想を共有させた。征夷大将軍任官はその仕上げとして鎮守府将軍の延長にあってそれを超える権威として必要だった。

  • 難しかったけど、勉強になりました。

  • 平家物語史観克服のために

  • 知的好奇心が満足される本です。
    「ああそうだったの」ということの連続です。
    歴史は「生きるか死ぬか」の選択を迫られた人々の足跡だということが改めて分かります。
    教科書的な「社会はこの方向に進むのが正しいので、彼らは全体としてこのように行動した」という説明では納得できない人にお勧めです。

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著者プロフィール

2021年6月現在
大阪大学大学院文学研究科教授

「2021年 『源 頼朝 すでに朝の大将軍たるなり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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