西洋中世奇譚集成 聖パトリックの煉獄 (講談社学術文庫 1994)

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  • 講談社 (2010年5月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (238ページ) / ISBN・EAN: 9784062919944

みんなの感想まとめ

西洋中世の冥界巡りをテーマにした作品は、信仰と死後の世界観を探求する興味深い内容が展開されています。『トゥヌクダルスの幻視』では、天使がツアーコンダクターとなり、拷問の場面を見学する体験がユーモラスに...

感想・レビュー・書評

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  • 収録されてる「聖パトリキウスの煉獄譚」は、法華経の観世音菩薩普門品第二十五の念彼観音力の中世キリスト教版に当たる作品でしょうか。
    「トゥヌクダルスの幻視」は挿絵がユーモラスです。

  • 講談社学術文庫が送る「西洋中世奇譚集成」シリーズの第3巻であり、中世ヨーロッパににて流布した死後世界巡りの物語を二編収録した書。それぞれ12世紀に著された『トゥヌクダルスの煉獄(Visio Tnugdali)』、『聖パトリキウスの煉獄譚(Tractatus de Purgatorio sancti Patricii)』の邦訳を収録する。
    本書は、中世ヨーロッパにて流布した二つの冥界巡り譚を訳したものである。「大洋(オケアノス)の最西端」、中世人にとっての世界の果てたるヒベルニア(アイルランド)を舞台とした両作品は、神の働きの下死後の世界を目撃した人間を主人公とするものである。神の計らいによって臨死体験をする騎士トゥヌクダルス、己が浄罪の為実在した煉獄「聖パトリックの煉獄」に入り込む騎士オウェインの前に現れるのは、凄惨極まる煉獄や地獄の拷問風景、或いは豪華絢爛なる至福の天国であった。そこには当時の人々の死後世界観が反映されると共に、生死を巡る観念までもが浮き彫りとなっている。個人的に目を惹かれたのは、『トゥヌクダルスの煉獄』において描かれる「異教」の事物(強欲者を喰らう獣アケロンとその口を支える「食客」フェルグシウスとコナルス、地獄の鍛冶場を仕切る「拷問人」ヴルカヌス)、また地獄の底に縛られた異形として描かれるルシフェルの姿であった。
    本書には詳細な注釈や解説、更には関連する地名を付した地図が付いていて非常に分かり易い。特に両作品で描かれる死後世界の構造を図にしたもの(p204,p215)は、中世人の世界観を考える上で大いに興味深かった。

  • 十二世紀に書かれた西洋の冥界巡り。
    『トゥヌクダルスの幻視』は、天使がツアーコンダクターとなってさまざまな拷問の場を見学体験させている。そして天国では煌びやかな装飾が施された中で、ずうっと神をあがめて暮らすらしい。敬虔な人間はもちろんのこと、生前に貧者に私財をなげうてばこんな恵まれた生活が待っていますよ、ということなのかもしれないが、あまりにも何もかもが金ぴかすぎてちょっとなあ……慎ましい行いの先にあるのがこんな派手な環境でいいのかと(苦笑)。そしてもう一遍の『聖パトリックの煉獄』は、主の名を唱えるだけで万事OK的な流れで進んでいくのが拍子抜けだが、二編とも責め苦の描写は興味深かった。

  • 『トゥヌクダルスの幻視』

    『聖パトリックの煉獄』

  • な、なんと、アイルランドには聖パトリックが三人いただと!?というオドロキから手にした本書。西洋中世のキリスト教の死後世界観には、集団無意識のようにある程度のパターン化がみられる。生前の信仰実践の在り方が、汝の死後の魂の救済を左右する。だから今こそ、悔い改めよ。神の慈悲に感謝せよ。大天使に導かれ、我々も主人公と共にめくるめく煉獄の業火をくぐり抜けるところには、西洋中世における信仰と権力が不可分の人間社会の本質を見ることができる。

  • 悪趣味だねえ。たまりません。

  • ヨーロッパを席巻したという冥界巡り譚。中世人の死生観が表れているそうだ。

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著者プロフィール

カール・マルクス(Karl Marx):1818-83年。ドイツの経済学者・哲学者・革命家。科学的社会主義の創始者。ヘーゲル左派として出発し、エンゲルスとともにドイツ古典哲学を批判的に摂取して弁証法的唯物論、史的唯物論の理論に到達。これを基礎に、イギリス古典経済学およびフランス社会主義の科学的、革命的伝統を継承して科学的社会主義を完成した。また、共産主義者同盟に参加、のち第一インターナショナルを創立した。著書に『資本論』『哲学の貧困』『共産党宣言』など。


「2024年 『資本論 第一巻 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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