慈悲 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 133
感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062920223

作品紹介・あらすじ

友愛の念「慈」、哀憐の情「悲」。生きとし生けるものの苦しみを自らのものとする仏の心、そして呻きや苦しみを知る者のみが持つあらゆる人々への共感、慈悲。仏教の根本、あるいは仏そのものとされる最重要概念を精緻に分析、釈迦の思惟を探究し、仏教精神の社会的実践の出発点を提示する。仏教の真髄と現代的意義を鮮やかに描いた、仏教学不朽の書。

感想・レビュー・書評

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  • 仏教が説く本質とは何か?
    という問いに対して著者は「慈悲」と解説している。
    慈・・・喜楽の因果を与える事
    悲・・・憂苦の因果を与える事

    いわゆる抜苦与楽であるとするが、ではその慈悲というものはどのように捉えられて、各宗派や歴史の中でどのように扱われていたか探求していく本。

    とはいえ、一般人の日常生活に即してというよりは専門の仏教学者向けに書いてあるようで、なかなかとっつきにくかった。
    また、学術的に扱っている面が大きい分、全体的に客観的であり淡泊な感じがした。

    なので、もったいなさも含めて☆4つ。

    以下、覚えておきたいなとおもったこと。

    ・ヨーガ信者では、楽に対しては友情を、苦については同情を、徳に対しては喜びを、悪に関しては平静であることを修する

    ・自己を護ることが、同時に他人を護る事であるような自己は、もはや互いに相争うような自己ではない。
    すなわち、一方の犠牲によって他方が利益を得るというような自己ではない

    ・自他一如。自他同じく利するなり。
     他人を自己と同一に扱うべし。

    ・慈悲の観法は瞋恚の人には必要だが、貪愛の強い人にとっては不適切である。
    慈しみ人間的な愛情に基づいているが、人間的な愛情は同時に欲情に転嫁する危険をはらんでいる。

    ・愛と敬とともに行われるのが、よき人のありさまである。

    ・恋愛は常に憎しみに転じうる可能性をもつ、しかるに慈悲は愛憎の対立を超えた絶対のものである

    ・慈悲は修行者の本質であり、それさえ失わなければよい。他人からどう思われようと、それは意に介するところではない。

    ・栄西の実践、自分はたといこの罪によって地獄に落ちても、ただ衆生の飢えを救いたい

    ・自己が救われるということは、他人を救うという働きのうちにのみある。他人のために奉仕するという事を離れて自己の救いはあり得ない

    慈悲の実践は人が自他不二の方向に向かって行為的に動くことのうちに存する。
    それは個々の場合に自己を捨てて他人を生かすことであるといってよいだろう。
    もしも単に自己を否定するというだけあるならば、それは虚無主義とならざるを得ない。

  • ◯仏教にかかわらず、慈悲に関する言行や思想を集めたエッセイといった感じ。
    ◯宗教であれば、それぞれの宗派における根本的な思想があると思えば、そのうちの慈悲という概念を引っ張り出して、著者の定義する慈悲に比定しているようにも感じる。果たしてその慈悲の解釈はそれであっているのかと疑問に思うことも多々あり。
    ◯古今東西の書籍や思想についての博識は流石というか、驚嘆するところであるが、この本自体がどうだったかというと、新しい知識が得られたわけでもなく、どことなく、物足りない気がしてならない。

  • これは学術書である.小生にとっては理解は及ばない内容であるが,慈悲とは自他不二の精神であり,これを完成することはきわめて困難ではあるが,それに向かって歩き続けることが重要だと述べている.

  • 展示期間終了後の配架場所は、1階 学士力支援図書コーナー 請求記号:181.6//N37

  • 衆生の縁の慈悲


    法縁の慈悲


    無縁の慈悲
    空説と両立する、一切の動機、対象、時空を超えた慈悲。方便の力が矛盾しそうな慈悲と空説を結びつける。





    菩薩
    生きとし生けるもの全てを救おうとする大慈悲心を持ち、誓約を立てる(悲願)。利他を目指す求道者。

  • 10/11/23。

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著者プロフィール

1912年、松江市に生まれる。東京大学教授、東方研究会理事長、東方学院長などを歴任。文学博士。勲一等瑞宝章受賞。文化勲章受章。1999年、逝去。

「2021年 『構造倫理講座Ⅲ 〈生命〉の倫理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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