- 講談社 (2010年12月1日発売)
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感想 : 3件
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Amazon.co.jp ・本 (476ページ) / ISBN・EAN: 9784062920285
みんなの感想まとめ
乃木希典の生涯を通じて、彼の複雑な人間性と武人像が描かれています。彼は泣き虫から始まり、成長を遂げ、日露戦争を経て殉死に至るまで、様々な変化を遂げました。将軍としての能力には疑問が残るものの、彼の理想...
感想・レビュー・書評
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図書館にて借りた本。
網羅的に乃木希典の生涯がわかる本。
途中当時の原文そのままを引用しており理解しにくい部分もあったが、様々な角度から分析され乃木希典に対しての考えが深まった。
泣き虫→家出から成長→女遊び→ドイツ留学→武人の徳操の確立→日露戦争→殉死
というふうに乃木希典は生涯を通じ変化していく。
将軍としての能力は劣っていたが、彼には「理想的な武人像と人間性」があった。今考えると太平洋戦争では、軍紀の乱れから敗北へ繋がっていったが、軍紀に関しては彼を見習っていくべきだった。また、彼は日露戦争において、実の息子を失った。日本への帰国の際に多くの人々に歓迎され賞賛されたが、息子の死もあり謙虚に歓迎の儀などを固辞していた。
武人像においては明治天皇が崩御され、それに続いて乃木夫妻が自刃したことにより、改めて高まった。
この夫妻の殉死に関しては当時賛否両論であった。森鴎外や夏目漱石などはそれぞれの作品で乃木に対する個人的な見解を表した。
夏目漱石のこころでは、主人公の先生が自殺したきっかけとして、明治天皇の崩御や乃木希典の殉死があった。
夏目漱石のこころを通して「妻まで死ぬことはなかった、人知れず逝くべき、乃木希典の殉死をイミテーションするのは無意味である」という考えが伺える。
武人として尊敬できるところがある一方、学習院大学学長時代には時代錯誤的な考えも見られた。西洋的なスポーツの代表であるテニスや野球などは、よくない遊戯であると捉えていた。乃木希典はスポーツを競技としてではなく、精神鍛錬の手段と考えていた。
→この流れから昭和や平成の部活動に繋がっていったと感じた。
最後に乃木希典の旧邸の近くの幽霊坂が乃木坂に改名されたと知り驚いた。乃木坂46の背景には乃木希典の存在があることが垣間見える。
考え方や精神面など尊敬できる部分は多いが、とても真似することはできない軍神であると感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
原著は1967年刊行。乃木希典の生涯を、日記や自筆の回想・講演記録などに拠って「伝説」を排し、「軍神」像を解体して一個の人間としての像を明らかにしている。原著執筆当時はまだ国立国会図書館の憲政資料も旧軍の戦史資料も大半が未整理・未公開で、そうした制約を考慮すれば実証面で相当健闘したものと評価できる。また、単に乃木の生涯を跡付けるのみならず、日露戦争後の「軍神」化のプロセスや乃木自殺の社会的影響(特に明治文化人たちの思想への影響)、学校教育での軍国美談化の状況などの解析に多くの紙幅を割き、かなり多面的な評伝となっている。
軍事指揮官としては失敗・挫折の連続で、早くから無能視する見方が根強かった(日露戦争中は自宅への投石すらあったという)にもかかわらず、2人の実子の戦死という事実と戦没者慰霊に対する真摯な取り組みや質実剛健を体現するキャラクターが、大衆の「被害者意識」と共鳴して神格化されていく様相(「『軍神乃木』が讃えられたとき、虐げられた己が讃えられているかのような気持ち」)は、自己愛とナショナリズムの連動という今日的課題を考える上で非常に参考となる。原著刊行当時はマルクス主義歴史学爛熟期で、しかも「明治百年」をめぐるイデオロギー対立の渦中にあって、乃木を題材とすること自体が色眼鏡で見られ、本書は正当な評価を受けなかったようだが、改めてその先駆性をきちんと評価するべきだろう。 -
出版記念パーティーで訓示とともにいただきました。
著者プロフィール
大濱徹也の作品
