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Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784062920322
作品紹介・あらすじ
ヒトラーがいなければ大戦争はなかったのか?
「定説」に真っ向から挑戦して大論争を呼び、研究史に画期をもたらした必読の名著。
第2次大戦は「邪悪なヒトラー」による計画的な侵略戦争だったのか? 「通説」に真っ向から挑戦して激しい論争を巻き起こし、大戦前史研究に画期をもたらした歴史的名著。「ドイツ問題」とナチをめぐって、ヨーロッパ列強の首脳たちはどのように誤謬を重ねていったか。1939年9月の大戦勃発に至る国際外交交渉の緊迫のプロセスを解き明かす。
何をなすべきであったかをいうのは、歴史家の義務などではない。歴史家のたった一つの義務は、生起した事実とその理由を発見することである。われわれが生起したあらゆることの原因をヒトラーに還元しつづける限り、何も発見できないであろう。……彼はある意味ではヴェルサイユ条約の落とし子であり、またある意味では現代ヨーロッパで一般的な思想の落とし子であった。だが何といっても彼はドイツ史の、また現代ドイツの落とし子であった。……ヒトラーはドイツ国民の共鳴板であった。――<「再版への序言」より>
※本書の原本は1977年3月、中央公論社より刊行されました。
みんなの感想まとめ
歴史の見方を根本から問い直す本書は、第二次世界大戦の起源をめぐる「通説」に対して鋭い批判を展開しています。著者は、ヒトラーの侵略戦争が計画的だったのか、また国際的な誤謬がどのように大戦へと導いたのかを...
感想・レビュー・書評
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内容が緻密過ぎて分かりにくい上に、訳も悪い。巻末の訳者解説がわかり易いので、まずはそこから読むことをお勧めする。
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「歴史修正主義」という言葉がある。厳密な定義はさておき、第二次世界大戦の勝者である連合国側の視点からの「正しい」歴史認識を「修正」しようとする立場を批判的な含意をこめて指す場合が多い。著者のテイラーはイギリス人であるが、ヒトラーに欧州支配を企てる戦争計画があったことを疑問視し、必ずしも英仏との全面戦争を望んでいなかったと主張する本書も、「歴史修正主義」のレッテルを貼られてきた。歴史学が厳密な意味で科学であるかどうかはともかく、客観的な事実をもとに、一応の「反証可能性」を前提とする学問であるとするならば、新たな歴史的事実が判明すれば、歴史認識を修正するのは当然である。「歴史修正主義」という言葉自体、極めてイデオロギー性の強いものと言ってよいが、テイラーはそこに潜む道徳的判断と学問的認識の混同を戒め、第二次世界大戦の起源を巡る通説に議論を挑む。
テイラーはチェンバレンの宥和政策に一定の理解を示すが、宥和的な政策にしろ断固たる政策にしろ、それが首尾一貫したものであれば成功した可能性もあるが、実際にイギリスがやったように両者を取り混ぜた政策であれば、どの道失敗しただろうとも言う。大戦の引金はポーランド領内の自由都市ダンチヒの帰属という、同じようにドイツ系住民の多いチェコスロバキアのズデーデン地域に比べれば、英仏にとってもドイツにとっても、そしてポーランドにとってさえも、実はそれほど重要な問題ではなかった。ヒトラーはこの時もまたミュンヘン会談のような譲歩を引き出せると踏んだ。チェンバレンにとってはミュンヘンの失敗を繰り返すことは世論が許さなかった。このパーセプションギャップが互いを意図せざる戦争に引き込んでいった。かつての大国幻想に囚われたポーランドの強硬姿勢やソ連への不信感がチェンバレンの行動を制約していたことも見逃せないが、彼の過ちは宥和政策そのものではなく、それが相手の出方次第で揺れ動く中途半端なものであったことだ。テイラーの意図を敷衍して言えば、彼がなすべきは、何がイギリスにとって死活的利益であるかを、ヒトラーにも同盟国にも、そして自国民にも明確に示すことであったはずだ。相手がヒトラーという機会を利用する天才であれば、これが欠けたことは致命的であった。 -
新書文庫
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「The Origins of the Second World War」の翻訳(20011/01/12発行)。
本書の原書は、イギリスを中心にテイラー論争と呼ばれる激しい論争を巻き起こしたことで知られていますが、実際読んでみると何をヒートアップしていたのか判りませんでした。 現在の目で見た場合、第二次世界大戦の原因を全てヒトラーの責任にするのはナンセンスであり、著者であるテイラーの主張は至極もっともだと思いました。
「研究史に画期をもたらした必読の名著」との宣伝文句に踊らされ期待していましたが、正直それ程ではないと感じました... -
ヒトラーの外交政策目標の独自性を否定し、第二次大戦の起源はドイツ特有の外交的主張―ヨーロッパ列強としての支配的地位の承認―をヴェルサイユ体制やロカルノ体制、宥和政策が解決し得なかったところにあると結論づける。外交政策の目標の点ではヒトラーを「免罪」した本書は発表当時から論争の的になった。優れた研究書として、あるいは論争を呼ぶ刺激的主張を明快に展開する歴史書として、本書は一読に値する。
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タイトルどおり第二次世界大戦がなぜ始まったかの理由の本。邪悪なヒトラー(だけ)が原因ではないという主張で、納得した。もっとも日本人にはヒトラーがいかに邪悪かという認識があまりないかも。
「ヒトラーを権力につけたのはドイツ人・・・」「ヒトラーはドイツ国民の共鳴板であった」
当時の空気を良く伝えていて、各国政府が世論に強く影響されていたのが印象的。あとソ連(共産主義勢力)の存在も相当影響してた。学者の本なので緻密でおもしろいし勉強になった。ルール占領とかロカルノ体制とかストレーザ戦線とかチェコ崩壊とか全然知らなかった・・・。 -
第2次世界大戦は現在の国際関係の枠組みをつくったと言っても過言ではない。その第2次世界大戦の主役と言えるドイツを中心に書かれた本である。現在の変化の激しい国際情勢をみるうえで、そのもととなる部分に振り返ることが求められているのではないか。
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第二次世界大戦の発生を、「ヒトラーの野望」に原因を単に求めることを批判し、当時の外交や政治状況から最終的に戦争になったという論。
ヨーロッパでの戦争は、主因がヒトラー個人の考えであったというイメージは一般的に強いが、そうした定説に臆せず批判的に論ずる著者の姿勢には感じるものがある。
日本の状況もそうだったと思うが、戦争への流れというのも、当時の政治状況や国民の感覚を再現できないと、なかなか一面的な否定につながりやすい。現在の固定観念を排して、物事を原点からとらえる訓練にもなった。 -
読んでいると「メンツを守ろうとするイギリス」と「現状維持だけを望み腰抜けなフランス」がWW2の大きな原因だったような気がしてくるが、解説で述べられているとおり、客観的な分析というよりも著者の一意見としてそのような側面が強調されていることを意識して読まないといけない。
また、外交の動向が中心というか殆どであり内政や軍備の状況はほぼ触れられていないあたりも物足りなさを感じる。外交史の資料としては秀逸かも。
そのあたり解説できちんと指摘されている点も込みでオマケで☆4つ。 -
なんとか読み進めたが、ちょっと分厚すぎた。近代史、国際政治の流れによっぽど興味を持っていないと、読み通すのはきつい。
ただ、第二次大戦の開始の責を負うのは、ステロタイプに「ヒトラー」というだけではなく、各国の政治の判断が全体として状況を作り上げていったのだという論旨はわかる。
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