フィロソフィア・ヤポニカ (講談社学術文庫)

  • 講談社 (2011年10月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784062920742

作品紹介・あらすじ

一九二〇年代以降、田邊元と西田幾多郎は日本的・独創的哲学=「京都学派」を創造する。田邊哲学=愛の哲学と西田哲学=欲望の哲学との対決から誕生した「種の論理」。その最重要の達成は、二十世紀後半から展開する現代思想、構造主義、ポスト構造主義、「野生の思考」、認知科学を先取りしていた。豊饒なる田邊哲学の全貌に迫る。(解説・鷲田清一)私がまず驚いたのは、田邊元の数学思想の斬新さだった。(略)そしてつぎに


京都学派の巨人=田邊元、ここに甦る!
「種の論理」「友愛の哲学」とはなにか?
対称性人類学が田邊哲学の現代性を明らかにする!

一九二〇年代以降、田邊元と西田幾多郎は日本的・独創的哲学=「京都学派」を創造する。田邊哲学=愛の哲学と西田哲学=欲望の哲学との対決から誕生した「種の論理」。その最重要の達成は、二十世紀後半から展開する現代思想、構造主義、ポスト構造主義、「野生の思考」、認知科学を先取りしていた。豊饒なる田邊哲学の全貌に迫る。(解説・鷲田清一)

私がまず驚いたのは、田邊元の数学思想の斬新さだった。(略)そしてつぎには、絶対的な媒介性と転換性をめぐる田邊元の思考の現代性に感心した。(略)さらに、彼の思想のもっとも重要な達成である「種の論理」の中に、正真正銘の構造主義と良識あるポスト構造主義を同時に見いだしたときには、私の喜びは頂点に達した。 ――<「プロローグ」より抜粋>

※本書の原本は、集英社より2001年に刊行されました。

みんなの感想まとめ

哲学の深淵を探求する本書は、田邊元と西田幾多郎という京都学派の巨人たちの思想を通じて、現代哲学の根源に迫ります。特に「種の論理」という概念は、愛と欲望の対立を背景にした新たな視点を提供し、数学的なアプ...

感想・レビュー・書評

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  • <微分的人間>-とは?   -2012.04.26記

    パスカルは、
    未熟な人間だけが旅を好むのであって、
    成熟した人間は、部屋の中にじっとしていて、
    そこに無上の幸福を感じることができるのだと考えていたから、めったに旅をしなかった。
    微分は曲線上の接線の方向と大きさを切り出してくる。
    しかしそれは運動の根源ないし予料をしめすものではあっても、
    まだ空間の中に実現される運動や移動そのものではない。
    部屋の中でじっとしていることの好きな成熟した人間は、
    この微分の状態を、無上の幸福感を持って生きることができるのだ。
    それはこの微分には欠如というものがなく、方向と大きさを持った力がすきまなく充満して、
    自分に欠けたものを自分の外に追い求めようという欲望さえ、少しも湧いてこないからなのだ。
    このような微分的人間のことを、パスカルは神を知る人々と呼んだ。
    パスカルにとって、神は微分に宿りたまうものであったのだ。

  • 種の論理―来るべき哲学(微分的練習曲◆ある種の社会主義◆構造主義と種の論理◆多様体哲学としての種の論理◆個体と国家)
    「場所」の精神分析(欲望としての西田哲学◆場所‐の‐名前◆狂気と叡智◆対決西田哲学)
    最期の田邊哲学(愛の戦いとしての哲学◆哲学から非哲学へ◆絶対無に結ぶ友愛)

    第12回伊藤整文学賞評論部門
    著者:中沢新一、1950山梨市生、哲学者、東京大学文学部宗教学宗教史学科→同大学院人文科学研究科、明治大学特任教授/野生の科学研究所所長
    解説:鷲田清一、1949京都市生、哲学者、京都大学文学部哲学科→同大学院文学研究科、大谷大学教授・大阪大学名誉教授

  • 中沢新一さんが何故か日本の哲学者田邊元について書いた本だが、これ自体がひとつの哲学書であり、中沢さんの本はいつも非常にわかりやすいのに、今回は抜群に読み応えがあり、難解な部分もあった。
    田邊元の「種の論理」が、なぜ中沢さんの興味をひいたのだろう、とずっと不思議だったのだが、これを読んだら納得がいった。田邊元「種の論理」(岩波文庫)を読んだときにはイメージしていなかったような解釈が施され、「ああ、そういうことだったのか」という感じだ。
    西田幾多郎に関しても章を割いて記述されているが、そのへんがさすがに難しい。田邊元は数学の話題が出てこない限り、さほど難解な印象はないが、西田は最初から最後まで難しい。
    中沢さんはここで、西田哲学を浮き彫りにするためにラカンを引っ張り出してくるのだが、その辺はどうも腑に落ちない気がした。
    ちょっとすっきりしない部分もあったが、この本は中沢さんの著書としてはずいぶん濃密に「哲学」であり、ラカンだのドゥルーズだのマラルメだの、多様な知識を一挙に放出するかのような、息をのむ鮮烈さを有していた。

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著者プロフィール

中沢新一 1950年、山梨県に生まれる。1972年東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。 南西諸島の民俗学調査、大衆芸能の記号論研究、チベット仏教の実践的研究などにたずさわる。主な論文に『斬り殺された異人』(『伝統と現代』第38号1975年)『街路の詩学—記号論分析にむけて』(『思想』1977年10月号)など。訳書にブーイサック『サーカス』(せりか書房1977年)アウエハント『鯰絵』(共訳・せりか書房1980年)など。中央大学教授、多摩美術大学芸術人類学研究所所長、明治大学野生の科学研究所所長などを歴任。現在は京都大学人と社会の未来研究院特任教授。著書に、『チベットのモーツァルト』『雪片曲線論』『森のバロック』『はじまりのレーニン』『フィロソフィア・ヤポニカ』『精霊の王』『僕の叔父さん 網野善彦』『アースダイバー』『鳥の仏教』『野生の科学』『レンマ学』『精神の考古学』『構造の奥 レヴィ=ストロース論』ほか多数。

「2026年 『丸石神』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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