デカルト、ホッブズ、スピノザ 哲学する十七世紀 (講談社学術文庫)
- 講談社 (2011年10月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062920766
作品紹介・あらすじ
近代哲学の祖とされ、「心身二元論」に拠ったデカルト。国家契約説をとなえ、「万人の万人に対する戦争」で知られるホッブズ。「神即自然」を主張したスピノザ。十七世紀の哲学シーンを彩る三人の思索は、動乱期のヨーロッパを生きたゆえの魅力にあふれている。神、国家、物体と精神…、根本問題をめぐる三様の思索を、鮮やかに浮き彫りにする。
感想・レビュー・書評
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ホッブズ、デカルトの議論を参照しながらも、後半には、スピノザの人間論と政治論に収斂していく。
中でも、スピノザの人間の本質に対する捉え方と政治体制論のつながりが論じられている点が非常に興味深かった。
17世紀は、現在の経済学が基盤としているような合理的な人間の捉え方が主流になった時代と考えていたが、スピノザは必ずしも合理性だけでとらえられない人間像を論じている。
さらに、そこから社会のあり方として、科学的合理性を基盤に置く社会のあり方だけでなく、聖書の教えを基盤にする社会のあり方を理解しうる政治論を検討していたということは、あまり知らなかった。
その後の政治学、経済学の中であまり議論がされることのなかったような論点があるように思い、視野が広がった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大変むずかしい本だった。読むのに苦労した。デカルト、ホッブズ、スピノザについて予備知識がほぼない状態で読んだのが間違いだった。原著を読むなどのレベルになってから補助的に読むものであるように思われる。本の中で展開される論理自体は面白かったのだが、原著を知らないのであまり理解しきれなかったのが残念だ。
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読んでる途中だが、すごく面白い。最初の論文も面白かったが、2つ目の「社会契約」にかんするところとか、すごく納得。ホッブズのやり方では契約が成立しえず、そこでスピノザが集団の圧力というのを持ち込んだという話とか。この本を読む限り、自分はスピノザと仲良くなれそう。21世紀になって、ようやく庶民でもスピノザが理解できるほどに時代が進んだということか。続きも楽しみ。
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『エチカ』とドゥルーズ『差異と反復』のミッシング・リンクたりうる「無数に異なる同じもの」以下、主にスピノザを論じた論文集。先に『スピノザの世界』を読んでおいたほうがいいのか迷ったが、元になった単行本は『世界』よりも古いようなので気にすることもなかった。それにしてもスピノザ本人の用いていない"反復"というタームが、何故にこうもスピノザ思想と高い親和性を持っているのだろう。"それ以外に理解しようのない怪物的思考"について、更に思索を深めていく必要性を感じた。
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難しい。こういう西洋哲学・思想ものは久々だったので、歯応えがありすぎでした。ところどころ理解できる部分もあるのですが、用語にしても思考経路にしても、つまりどういうことなの(?)と何度も自問しながら読みました。ただ、こういう刺激は気持ちよく、たまには哲学書も読んでみるものだなあと思いました。それにしても、最近はスピノザがブームなのでしょうか?
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ちょうどスピノザブームまっただ中のとき生協で見つけて購入。三人を架橋する内容かと思っていたらそれぞれについての論考集というかんじですこし残念ではあったけれど、スピノザの自我論についての見識を深められたのでまんぞく。聖書読解のあたりはもう一度読み返してきちんと自分の中で咀嚼したい。