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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784062920827
作品紹介・あらすじ
地殻変動(巨大地震で、地表面は数メートル移動)、氷期と間氷期の海水面変化(一〇〇メートル以上)、火山灰の堆積(数メートル以上)、河川による砂礫の堆積……。一〇〇万年超の東京の形成過程と江戸以来の開発による地形変化を解明。過密集住の東京を脅かす様々な災害。散歩ガイド・災害マップとして、必携の地形学による東京史。(講談社学術文庫)
氷河期、火山活動、大地震による地殻変動、風雨による浸食と砂礫の運搬……そして人間による開発 100万年のスパンで、東京の地形の秘密を読み解く
地殻変動(巨大地震で、地表面は数メートル移動)、氷期と間氷期の海水面変化(一〇〇メートル以上)、火山灰の堆積(数メートル以上)、河川による砂礫の堆積……。一〇〇万年超の東京の形成過程と江戸以来の開発による地形変化を解明。過密集住の東京を脅かす様々な災害。散歩ガイド・災害マップとして、必携の地形学による東京史。(解説・鈴木毅彦)
この本では、東京の土地の自然がどんな構成になっているかを、その生いたちにもとづいて説明することに重点をおいているけれども、その間には土地の性状と関係のある災害や土地利用の問題にも言及したいと思う。……自然の生いたちは、古くまで遡ればきりがないが、現在の東京の地形が成立し、現在利用されている地下水が関係するような地層が成立したのは、ほとんど、第四紀と呼ぶ最新の地質時代のことであるから、話は第四紀の約一〇〇万年にしぼられ、最近の一〇万年ぐらいが特に問題となる。(「第一版のまえがき」より)
※本書の原本は、紀伊國屋書店より1979年に刊行された『東京の自然史<増補第二版>』です。
みんなの感想まとめ
東京の地形の成り立ちを、100万年の歴史を通じて解き明かす本書は、自然の力と人間の開発が交錯する様子を詳細に描写しています。自転車での都内探訪を通じて、読者は多摩丘陵や武蔵野台地などの起伏に富んだ地形...
感想・レビュー・書評
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関東平野の地形がどのように形成されてきたのかを、詳しく知ることができた。文庫本のサイズながら、大変多くの情報が詰め込まれていて充実していた。
本書ではまず、武蔵野台地を形成する様々な台地や丘陵、そしてそれらの間を刻んでいる小谷の特徴を1ずつ丁寧に説明している。これらの地形はそれぞれ高度や堆積面の傾斜、谷の崖面の角度などが異なっているが、これらのことからその地形を構成する地層各層がどのような経緯を経て形成されたのか、そしてその後どのような地殻変動や浸食作用により現在の形になったのかが分かる。東京近郊の丘陵が非常に多様性に富んでおり、一見同じように見える台地地形といっても地盤の特性がそれぞれ異なっている点は非常に興味深かった。
続いて、関東の地盤の主要な構成要素である関東ローム層がどのように形成されてきたのか、そしてその後の気候の変動により海面が上下動することによって、関東ロームで形成される東京の地形がどのように変化してきたのかを説明している。関東ロームが非常に長い時間をかけて形成されてきたこと、また富士山や箱根だけではなく、過去には遠く御嶽山等の火山灰も堆積してきたという点など、日本列島が形成されるダイナミックな過程が感じられる内容だった。
本書ではまた東京東部に広がる下町低地についても、その地質的な特徴や生い立ちを紹介している。これらの地域は基本的に平たんであるが、その中にも微地形がある。このような微地形は、河川の堆積による扇状地、自然堤防、三角州、海の潮汐や海流の影響による砂州などがある。一方でこれらの地域は、近代化以降の地下水のくみ上げや海岸部の埋立てによって大きく地形が変わった地域でもある。本書では、それらの影響による災害や建物への被害など、人間と自然との関わりについても多くの指摘がされている。
最後の章では、東京湾の成り立ちが説明されている。関東平野の現在の地面は関東ロームの堆積によって形成されているが、その下には中生代の基盤層がある。この基盤層は現在の古河市付近や船橋市付近を中心に非常にゆっくりとした沈降を続けている。元々の関東地方の地形は現在の鹿島灘や霞ケ浦方面に向かって東向き斜面であったが、この関東造盆地運動と呼ばれる100万年単位の動きが関東地方の中心部に低地を生み出し、それが現在の東京湾の形成に繋がっているという。関東地方の地形が古代の地形からこれほど大きな変化を経ているということは驚きだった。
筆者は、この本の各所で、自然が作り出す地形が現在どのように変化しているかということに触れている。特に自然地形が造成や地下水のくみ上げによってどれだけ急速に変化しているかという点に警鐘を鳴らしている。自然の力は数万年や数百万年をかけて関東地方全域に広がる複雑な丘陵や数十メートルから時に1000メートル近い堆積層を形成することができる。
一方、人間の力はそれよりははるかに局所的ではあるが、10年単位で地盤を数メートルも沈下させ、都市の地形を改変する。このような急激な変化はその地域の災害リスクを高めたり、生態系や地下の水系などを大きく変化させ、それを回復させるにはその何倍もの時間がかかることが多い。筆者は、地質学者としてこのような急速で無秩序な地形の改変に対して、早急に対策を取るべきであると指摘をしている。
この本で触れられているような地質学を知ることで、現在の土地の成り立ちを知り、我々がどのようにこの地面や河川、環境と付き合っていかなければいけないかということを考えることができる。古い本ではあるが、非常に広い範囲を丁寧に扱っており、関東地方の形成史やその環境を基盤として形作る地形の姿を知るために、とても良い本であると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自転車で都内のアップダウンを走っていると内容が浮かんできます。
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東京近郊を自転車で走っていると、西から東にかけて多摩丘陵、武蔵野台地、多摩川、野川と起伏に富んだ地形を感じることができる。すでに都市に押し埋められてしまった時間、地形が本書によって随所にあらわになってくるのは大変興味深い。
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東京の山の手と下町の地形・地質の特徴、およびそれを形作った海面昇降や地殻変動、河川による侵食運搬などを、初学者にも分かりやすくかつ妥協せずに説明した良書。
初版は1960年代・改訂も1979年のため文中の町名やランドマークが古くなった部分もあるが、地形の成り立ちについての解説は概ね現在も通用するとのこと(一部、年代が詳しく解析されて6000年前とされていた出来事が7000年前となったり等はあるようだが、前後関係や仕組みはひっくり返っていない)。
地形図片手に散歩したくなる内容だった。 -
緑被率: 平面的に草木などの緑が、建物の敷地を覆う割合をいいます。
緑地率: 平面的な緑地面積が、建物の敷地面積に占める割合をいいます。 緑視率又は緑被率の算定については、以下によるものとする。 緑視率(%)=樹木等の立面投影面積÷建築物の立面投影面積×100 樹木等の立面投影面積は、次により算定した面積の合計とする -
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/740795 -
サイエンス
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ようやくじっくりと完読した!
全容を理解できるレベルにはほど遠いけれど、少しでも理解できればいいのかな。
洪積世とか沖積世とか関東造盆地運動とか古東京川とか…。
個人的には沖積層の青灰色の理由が目からウロコ。 -
海面の上昇下降、気候の変化、地震・火山活動、地殻変動の推移を研究することは、東京のみならず、日本そして全地球的な重要課題であるという貝塚先生の結びのお言葉に感銘。地形学はダイナミックであり、生活にも密着しているという学問なのであった。
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貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784062920827 -
素晴らしい。関東地域の地質から成り立ちまで実に緻密に詳しく書かれている。現在(といっても40年前だが)の地形と対比して記述されている点もよい。
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地形と歴史の関連を探った本を続けて3冊読みました。
東京の自然史 貝塚爽平 1979年
地形からみた歴史 日下雅義 1991年
地図から読む歴史 足利健亮 1998年
原本の出版が新しいほど読みやすく、平易な文章です。また、扱われている歴史の年代も古い出版のものほど古くなっています。
「東京の自然史」は理系の先生の著作なので、少し専門的。自然史なので縄文時代までの歴史です。氷河期には東京湾が陸地だったなんてびっくりです。 -
本書を読んでから、東京散歩に出るのも仲々、乙なものではないか。
だって -
東京というより関東平野全体の地形学
現在、川崎に注いでいる多摩川が往古に東流して埼玉あたりで利根川と合流していたとは…
地形図を見ると確かに納得なのだけれど
東京湾の底を流れる古利根川など想像が膨らむ。
かなり、古いテキストなので最新の調査結果とは違うかもしれないが
身近な地層や話題から大きな悠久の時を刻む地形学へと
著者のソフトな語り口で惹き込まれた。 -
自然史とあるがほぼ地盤(地層)の本。元は東京都市大学のテキスト。ゼロメートル地帯(海面下)、地盤沈下の話。地層比率による地震の際の揺れの違い、過去の東京湾の海岸線(海ほたるまで陸な時も皇居あたりまで水没してた時もある)とかとか。総武線の両国から新小岩まではゼロメートル地帯とかって親しみやすい具体例もある。土地勘あると楽しい本。東京に慣れたころにもう一度読みたい。
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2011年12月12日購入。
著者プロフィール
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