朝鮮儒教の二千年 (講談社学術文庫)

著者 : 姜在彦
  • 講談社 (2012年2月10日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062920971

作品紹介

朝鮮における儒教の二千年にもおよぶ展開を丹念に描き出し、朝鮮近代思想史につなげる論考を展開した記念碑的大著。中国・日本と対比しながら二千年を俯瞰する視角は、朝鮮の独自性と東アジアの普遍性を浮き彫りにする。儒学を経世実用の学とみなした潮流を確認し追跡する記述は、朝鮮のみならず東アジアにとっての"近代"を考える出発点となる。

朝鮮儒教の二千年 (講談社学術文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 【目次】
    序章 「儒教」とは何か 009
    1 はじめに
    2 乱世を生きた孔子
    3 『史記』の孔子伝
    4 教育に夢を託して
    5 儒教の国教化
    6 孔子を継ぐ孟子
    7 孔子の「仁」と孟子の民本主義
    8 性善説と性悪説
    9 荀子の「出藍のほまれ」
    第一章 孔子以前の「箕子朝鮮」 033
    1 二つの古代史書
    2 「直筆」の史書と「矯正」の史書
    3 「檀君」と「箕子」
    4 儒者好みの「箕子朝鮮」
    第二章 三国時代の儒教 048
    1 朝鮮史上の三国時代
    2 高句麗の儒教
    3 高句麗を攻めた煬帝の自滅
    4 百済の儒教
    5 日本に伝わった百済の元嘉暦
    6 新羅の儒教
    7 円光の世俗五戒と花郎道
    8 日本にきた百済の五経博士
    第三章 後期新羅の儒教 069
    1 新羅の半島統一
    2 日本に亡命した百済人たち
    3 元暁・薛聡・薛仲業
    4 国学と読書三品科
    5 新羅の入唐留学生
    6 入唐留学生――崔致遠と崔彦撝
    第四章 高麗王朝の「仏教立国」 091
    1 高麗王朝と激動の東アジア
    2 王建の「訓要十条」
    3 光宗の科挙制
    4 崔承老の光宗評
    5 「武」が欠落した科挙制度
    6 「守成」のむずかしさ
    第五章 成宗の崇儒政策と崔承老 111
    1 二つの高麗正史
    2 崔承老の時務疏
    3 その仏教批判
    4 儒仏の「政教分離」
    5 成宗の「以人為本」
    6 儒風の奨励と国子監の創立
    7 高麗と宋との交流
    第六章 私学十二公徒と国子監 131
    1 崔沖と私学十二公徒
    2 国子監と京師六学
    3 宋の使臣がみた国子監
    4 李寧の「礼成江図」と高麗青磁
    5 高麗にたいする金の外圧
    6 宋学=程朱学の台頭
    第七章 文臣の退廃と武臣政権 153
    1 武臣政権の登場
    2 武臣政権下の儒者たち
    3 モンゴル(元)との三〇年戦争
    4 三別抄の乱と日本
    5 武臣政権は「暗黒期」か
    第八章 朱子学の伝播と排仏論 174
    1 新儒教としての朱子学
    2 元代の朱子学と高麗
    3 朱子学の伝播
    4 李穡と成均館
    5 排仏論から易姓革命へ
    第九章 易姓革命――高麗から朝鮮へ 199
    1 恭愍王の反元策と挫折
    2 李成桂の威化島回軍
    3 太祖の即位教書
    4 「朝鮮」という国号
    5 「事大」は「従属」か
    6 五〇〇年の王都――ソウル
    第十章 「儒教立国」のブレーンたち 221
    1 鄭道伝の経世思想
    2 君主制と宰相制
    3 権近の経学思想
    4 王子の乱と鄭道伝の死
    5 明との事大外交
    6 日本との交隣外交
    第十一章 教育と科挙、そして王朝実録 245
    1 儒教一色の教育システム
    2 科挙試の文科と武科
    3 雑科教育と科挙
    4 王朝実録の編纂と受難
    5 高麗王朝の実録
    第十二章 王朝政治の守成――世宗と世祖 267
    1 世宗の文治主義
    2 訓民正音(ハングル)の制定/
    3 崔万里一派の反対上疏
    4 世祖の王位簒奪と勲旧派
    5 儒仏兼修の世祖
    6 安平大君と「夢遊桃源図」
    7 『東国通鑑』と『経国大典』
    8 二朝・二君に仕えるのは不仁か
    第十三章 士林派の形成と士禍 296
    1 士林派の登場
    2 燕山君と士禍
    3 道学政治と己卯士禍
    4 趙光祖の君主観
    5 乙巳士禍と仏教の中興
    6 士林派政治を切り拓いた奇大升
    7 士林派の東西分党
    第十四章 朱子学一辺倒と性理学論争 323
    1 李滉と嶺南学派
    2 陸王学を一蹴した李滉
    3 李珥と畿湖学派
    4 李珥の変法思想
    5 「養兵」は「養禍」か
    6 学派と党派の結合
    7 性理学偏重の弊害
    8 湖南に咲く、「落郷文学」
    第十五章 東アジアの動乱と朝鮮 354
    1 日本と「倭乱」
    2 「交隣」の回復
    3 姜沆と江戸儒学
    4 明清角逐期の光海君
    5 仁祖反正と「崇明排清」
    6 自ら招いた「胡乱」
    7 許浚の『東医宝鑑』
    8 変則的な『光海君日記』
    9 明清の王朝交替
    10 ドルゴンの「以漢制漢」
    第十六章 「崇明排清」の思想 388
    1 昭顕世子とアダム・シャール
    2 昭顕世子の怪死とその意味
    3 宋時烈の「北伐論」
    4 現実ばなれした「北伐論」
    5 「保国」か「名分」か
    6 脱朱子は「斯文乱賊」
    7 礼訟をめぐる党争
    第十七章 英祖・正祖時代の実学派 422
    1 「朋党」とは何か
    2 英・正時代の「蕩平策」
    3 実学派の形成
    4 実学派の先駆――柳馨遠
    5 李瀷と星湖学派
    6 西学受容と辛酉教
    7 華夷観の転回――北学派
    8 「近代」を透視した朴斉家
    9 遊民化した両班問題
    10 丁若鏞の経世思想
    11 その利用監プラン
    12 「性相近し」の人性論
    13 金正喜の「歳寒図」
    第十八章 ウェスタン・インパクトと朝鮮 473
    1 東アジアのウェスタン・インパクト
    2 『海国図志』と『万国公法』にたいする朝鮮の反応
    3 安東金氏の登場
    4 「君弱臣強」の勢道政治
    5 相次ぐ天主教弾圧
    6 大院君の執政と四色平等
    7 書院整理と景福宮の再建
    8 二つの洋擾と衛正斥邪思想
    9 華西学派の「道統」
    10 「武」が欠落した攘夷思想
    11 反洋夷と「清貧」の思想
    12 朴珪寿の対米観
    終章 王朝の斜陽――鎖国から開国へ 516
    1 高宗の親政と対日問題
    2 武力に屈した対日開国
    3 李鴻章の「以毒攻毒」策
    4 修信使金弘集と『朝鮮策略』
    5 対米開国と使節団派遣
    6 事大と守旧の厚い壁
    7 壬午軍乱と清国の宗主権
    8 開国から開化への道
    9 「引俄拒清」と宗主権との衝突
    10 進貢国は属国か
    11 清軍借用論と日清戦争
    12 開化思想と儒教
    13 開化派の教育改革ビジョン
    14 科挙制の廃止と新しい学制
    15 「引俄拒倭」と閔妃暗殺
    16 局外中立の侵犯と日露戦争
    17 反日義兵将の思想――崔益鉉のばあい
    18 儒教刷新と陽明学
    19 万物一体の仁と大同教

    あとがき(二〇〇〇年一一月一〇日 凡愚居士 姜在彦) [576-580]
    学術文庫版あとがき(二〇一一年一一月三〇日 凡愚居士 姜在彦) [581-583]
    人名索引 [584-603]

  • 姜在彦『朝鮮儒教の二千年』講談社学術文庫、読了。本書は朝鮮儒教二千年の歴史を丹念に描き出した労作。中日と対比し朝鮮儒教の独創的展開と東アジア的普遍性を浮き彫りにする。圧巻は李氏朝鮮の朱子学受容と鎖国と開国への経緯。経世済民と切り離された形而上への惑溺は他人事ではなく示唆に富む。

    本書は儒教とは何かから説き起こし、儒教を通して朝鮮史を俯瞰するが、著者の記述は学に留まらない。儒教を糸口に、東アジア諸文化との交流の中から、朝鮮半島の独創的な歴史を浮かび上がらせる。その意味で優れた「朝鮮の二千年」を描く朝鮮史ともなっている。

    俗に韓国は「儒教の優等生」と評されるが、その経緯と内実に関しては殆ど知らなかった。本書は具体的事実に従い「目から鱗」を落としてくれる。個の世界と共同の世界は本来別々のものではない(「修己治人之学」)。その意義を新たにしてくれる名著といってよい。

  • 朝日選書版で既読。

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