インフレとデフレ (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062921053

作品紹介・あらすじ

世界恐慌、ドイツ・ハイパーインフレ、昭和恐慌、リーマン・ショック…。本書は歴史的検討に基づいて二つの悪夢、インフレとデフレの発生メカニズムを解明し、そのコントロール法を考える。インフレ目標政策とは何か?一九九〇年代以降の経済理論の新知見と長期化する日本デフレを踏まえて新章を書き下ろし。格好の経済学入門にして提言の書。

感想・レビュー・書評

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  • わかりやすい。マネーストックとインフレに相関関係があることは既に証明されている事実だと思うが、アベノミクスにおいて大胆な金融緩和が実行されたが、インフレ目標は達成できず。
    増税の影響もあるし、GDPギャップが埋まっていないので、まだまだ市場にお金が足りないということか、、

  • インフレ・デフレは防げるか◆ハイパーインフレと大不況◆インフレとデフレの恐ろしさ◆デフレはなぜ起きるか◆インフレはなぜ起きるか◆インフレとデフレの歴史◆スタグフレーションの克服とディスインフレ◆コスト・プッシュ・インフレはなぜ起きるか◆インフレ・デフレをどう予防するか◆インフレ目標政策と日本の長期デフレの克服

  • 『インフレとデフレ』(岩田規久男 講談社学術文庫 2012)

    【目次】
    学術文庫版まえがき [003-005]
    目次 [007-011]

    序 インフレ・デフレは防げるか 015
    スタグフレーションは過去のもの?/たえず心配されるインフレ再発/デフレと株価暴落

    第一章 ハイパーインフレと大不況 022
    1.1 ハイパーインフレ――そのとき生活はどうなるか 022
    インフレとデフレ/第一次世界大戦後のヨーロッパのインフレ/ドイツのハイパーインフレと人々の生活/ハイパーインフレはなぜ起きたか/ハイパーインフレはなぜ終息したか――レンテンマルクの奇跡/中南米のインフレと財政赤字
    1.2 大不況――最悪のデフレ、そのとき生活はどうなるか 035
    豊富の中の貧国/大不況はなぜ起きたか――ケインジアンの見解/大不況はなぜ起きたか――マネタリストの見解

    第二章 インフレとデフレの恐ろしさ 045
    2.1 インフレの恐ろしさとそのヘッジ 045
    インフレのコスト/インフレによる所得再分配/インフレによる現金に目減りとは何か/インフレからスタグフレーションへ/インフレ・ヘッジの手段/インフレ・ヘッジ手段としての株式/有利でない株の短期売買
    2.2 デフレ・不況の恐ろしさ 060
    デフレ・不況のコスト/増大するぜいたくな失業のコスト

    第三章 デフレはなぜ起きるか 066
    3.1 ケインズの有効需要の理論 066
    大不況が生み出したケインズ経済学/恐慌は不可避の現象か/有効需要の理論/投資乗数の理論と経済変動/投資の二重性とデフレ/投資と金融/マネー・ストックの減少とデフレ/総需要管理政策としての財政政策/価格の硬直性と総需要管理政策
    3.2 ケネディ=ジョンソンの経済政策 082
    大不況期の教訓/ケネディによるケインズ政策の採用/失業率の低下と財政金融政策

    第四章 インフレはなぜ起きるか(1)――その長期的側面 087
    4.1 貨幣とインフレの長期的関係 087
    貨幣(マネー)とは何か/貨幣の供給/貨幣と物価/マネー・ストックとインフレ――素朴な貨幣数量説/基本的関係は成立するか/長期的にみた基本的関係
    4.2 貨幣需要はどう決まるか 101
    インフレ率はなぜ、四五度線よりも低いのか/マーシャルのk/マーシャルのkの趨勢的上昇の要因/まとめ

    第五章 インフレとデフレの歴史 112
    5.1 金本位制度のメカニズム 112
    金本位制度と為替相場/金本位制とマネー・ストック/金本位制度下のインフレとデフレ/国際学派による大不況の原因の解明
    5.2 第一次世界大戦から第二次世界大戦まで 121
    第一次世界大戦とインフレーション/第一次世界大戦の終了とデフレ/デフレ下の経済変化/金輸出解禁と昭和恐慌/高橋財政と第二次世界大戦のインフレーション/高橋財政の積極財政
    5.3 高度経済成長期の経済変動 135
    成長率循環と在庫循環/固定相場制度の仕組み/国際収支の天井/過剰労働力経済から完全雇用経済へ

    第六章 インフレはなぜ起きるか(2)――短期から長期へ 147
    6.1 マネー・ストックと実質経済成長率 147
    マネー・ストックとケインズ効果/マネー・ストックと資産価格の変化/株価の変動と景気/現在の実質経済成長率が潜在成長率以下の場合/マネー・ストックの増加率の上昇とマーシャルのk/マネー・ストックとインフレの短期と長期の関係
    6.2 マネー・ストックとフィリップス曲線 160
    フィリップス曲線――完全雇用とインフレのトレードオフ/フィリップ曲線と予想インフレ率/名目賃金とインフレの悪循環――自然失業率仮説/財政赤字とインフレーション/スタグフレーションの発生

    第七章 スタグフレーションの克服とディスインフレ 174
    7.1 スタグフレーションはなぜ起きるか 174
    実質賃金の上昇によるスタグフレーション/インフレ予測と名目金利/予想実質金利の上昇とスタグフレーション
    7.2 ディスインフレとデフレ 180
    ディスインフレはなぜ生じたか/金余りのなかで低インフレはなぜ生じたか/戦後、一九九〇年代半ばまで、デフレが起きなかった理由/マネー・ストックの重要性

    第八章 コスト・プッシュ・インフレはなぜ起きるか 190
    8.1 賃金プッシュ・インフレと石油ショック 190
    賃金プッシュ・インフレ/順応型の財政金融政策/石油ショックとスタグフレーション/石油ショック後の潜在成長率
    8.2 労働市場とインフレ・デフレ 197
    実質賃金の伸縮性/日本の賃金はなぜ伸縮的か

    第九章 インフレ・デフレをどう予防するか 204
    9.1 経済の自動安定装置と裁量的財政政策 204
    財政の自動安定装置/裁量的財政政策とその限界
    9.2 金融政策のあり方 208
    名目金利重視の問題点/マネー・ストックの重視/ルール対裁量/日本の場合/市場の学習効果と自動調整機能
    9.3 グローバル・エコノミーと国際協調――変動相場制度の機能 220
    変動相場制度と輸入インフレの遮断/中央銀行の為替介入と国際協調

    第十章 インフレ目標政策と日本の長期デフレの克服 227
    10.1 インフレ目標政策の成功 227
    動学的に不整合な金融政策がスタグフレーションを招く/動学的に整合的なインフレ目標政策の導入/良好なインフレ目標採用主要国のマクロ経済効果/インフレ目標非採用主要国のマクロ経済効果/リーマン・ショック後もデフレは日本だけ/インフレ目標政策とはどのような政策か/実際は伸縮的インフレ目標政策/責任を取る金融政策が信頼される/デフレ阻止のための政策でもある/インフレ目標達成のメカニズム
    10.2 日本の長期デフレの原因と克服策 243
    インフレを心配して、デフレに陥る/マネー・ストックの急激な減少がデフレをもたらした/デフレ予想は資産としての貨幣需要を増大させる/デフレ予想がデフレを生む/デフレ予想を生み出した日銀の金融政策レジーム/バブルつぶしの金融政策がデフレ予想を生んだ/マネタリー・ベースと量的緩和/バブル崩壊に対する日米の金融政策の相違/デフレを脱却するには/短期と長期でマネー・ストックの物価に及ぼす効果が異なる理由/バブルの発生を防止するためには、自己資本比率規制が有効

    図表データ出所一覧 [272]
    あとがき(一九九〇年六月 岩田規久男) [273-275]
    学術文庫版あとがき(二〇一二年二月 岩田規久男) [276-278]

  • 第1章~第4章、第6章まではありがちな経済の現象について触れている。
    第5章は世界恐慌のおきた理由を、アメリカの金本位制のルールに基づかない不胎化政策によるものと分析する。また高橋是清の財政政策も有効需要創出を先取りしていると説く。

    最終的に著者はインタゲ論を説く。かつ成果を示してインタゲは効果的であると主張する。ただ単純にインタゲを導入するのではなく、自己資本比率規制などの制作が重要であるとする。
    最終的には日銀法改正に話は落ち着くのだが、政府の指導に従いすぎる中央銀行というのも危険ではあるが、今は金本位制ではないのだから、そういう政策も管理通貨制度の下では重要なのかもしれない。
    今までの日銀はインフレを恐れてデフレで甘んじできた。しかし今度はむしろデフレを恐れ、インフレターゲットを目指すべきであるとする。また日米でのデフレ対策の違いを示し、アメリカは不景気を脱出したとする。

    経済が不況なのはわかるが、アベノミクスでどこまで家計が潤うかは、甚だ未知数である。

  • マネーストックの増加率が実質貨幣需要の増加率を越えるとインフレになる。含め、金融の政策レジームが重要。

  • 間違っていたら申し訳ないところですが, 筆者の主張を私の主観で強引に短絡的にまとめると, 1%低度のデフレ率をコントロールしながら保つことが経済の健全化に必要である, ということでしょうか. 日銀に対する辛辣とも言える批判はなかなかに面白かった. そう思っていたら, なんとこの人が日銀の副総裁になってしまった. なんとも言えぬ面白さ. 政策転換とはこれほどまでにラディカルなものなのか, 読後しばらくしてからも色々と考えさせられた一冊.

  • 大学のときに軽く勉強した記憶はあるのだが‥マネーストックとインフレ率に相関があるかどうかは、今回の日銀砲の結果次第ですが、当面は岩田先生が正しいようです。副作用は知らんけど、あのままでは衰弱死しとったのでな。

  • インフレーションとデフレーションの弊害、発生メカニズム、インフレ目標政策の有効性について書かれた本。

    日銀職員、特に政策委員には是非とも読んで欲しいね。

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著者プロフィール

学習院大学経済学部教授。金融論、経済政策専攻。主な著書に『金融入門』『経済学を学ぶ』『金融危機の経済学』など。

「2010年 『初歩から学ぶ金融の仕組み』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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