明治洋食事始め――とんかつの誕生 (講談社学術文庫)

  • 講談社 (2012年7月11日発売)
3.88
  • (10)
  • (28)
  • (10)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 284
感想 : 34
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784062921237

作品紹介・あらすじ

明治維新は一二〇〇年におよぶ禁を破る「料理維新」でもあった。近代化の旗のもと推進される西洋料理奨励キャンペーン、一方で庶民は牛鍋・あんパン・ライスカレー・コロッケなどを生み出し、ついに「洋食の王者」とんかつが誕生する。日本が欧米の食文化を受容し、「洋食」が成立するまでの近代食卓六〇年の疾風怒濤を、豊富な資料をもとに活写する。(講談社学術文庫)


明治維新は「料理維新」だった!
あんパン、ライスカレー、コロッケ――そして「洋食の王者」とんかつはいかにして生まれたのか

明治維新は一二〇〇年におよぶ禁を破る「料理維新」でもあった。近代化の旗のもと推進される西洋料理奨励キャンペーン、一方で庶民は牛鍋・あんパン・ライスカレー・コロッケなどを生み出し、ついに「洋食の王者」とんかつが誕生する。日本が欧米の食文化を受容し、「洋食」が成立するまでの近代食卓六〇年の疾風怒濤を、豊富な資料をもとに活写する。

西洋食の多くは、幕末から明治期にかけて導入された。そのわずか百数十年後の今日、私たちは、世界の国々のなかでも、最も多様化された食べ物を享受している。(中略)そこでは、現代日本の多種多彩な食の文化を理解する上で、もっとも興味深い時代が開幕していたのだ。近代化へ脱皮していく明治維新は、「料理維新」と称するのにふさわしい時代でもあった。――<本書「プロローグ」より>

※本書の原本は、2000年3月、小社より講談社選書メチエ『とんかつの誕生――明治洋食事始め』として刊行されました。

みんなの感想まとめ

明治維新を背景に、日本が西洋料理を取り入れる過程を描いた作品は、料理の歴史がいかに国家の戦略と結びついていたかを浮き彫りにします。特に、肉食解禁がもたらした文化的変革や、庶民が創意工夫を凝らして西洋料...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 開国して以来、日本は欧米諸国から劣等国として不平等条約を押し付けられていた。いち早く彼らに自らが文明国であることを証明し、不平等条約を撤廃させなくてはならない状況下におかれていた。
    当時の外交はフランス料理が正餐であったため、西洋料理、特にフランス料理を取り入れる必要があった。また武力侵略され、植民地化されないようにするため、軍事力も身に付けなくてはならなかった。そこで体格向上の為、食肉をしなければならないというのが、至上命令となった。しかし室町時代以降、だいたい同じような食生活をしてきた日本人にとって、西洋料理は食べ付けない、美味しくない料理だったようだ。
    明治以来日本人が、口に合わない肉やパンをどうにかこうにか加工して、日本人好みの料理に変化させていった過程を描いたのが本書である。
    涙ぐましくもあり、滑稽でもあり、諦めなかったという意味では誇らしくもある長い努力の物語は、一読の価値があると思う。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      必要は発明の母と言いますが、それを発展・工夫と言い換えるコトが出来る訳ですね。。。(政治とか以外の歴史の本が好き)
      必要は発明の母と言いますが、それを発展・工夫と言い換えるコトが出来る訳ですね。。。(政治とか以外の歴史の本が好き)
      2012/10/23
    • 和音さん
      コメントありがとうございました。
      他の国だと途中で諦めてしまったり、もう少し時間が長く掛かる事が多いみたいですが…よく頑張ったなぁと思います...
      コメントありがとうございました。
      他の国だと途中で諦めてしまったり、もう少し時間が長く掛かる事が多いみたいですが…よく頑張ったなぁと思います。
      2012/10/23
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「よく頑張ったなぁと思います」
      パチパチ(拍手の音)
      やっぱり、興味が湧かないコトを読むのは苦痛ですよね。
      まぁ興味があっても、面白くなけれ...
      「よく頑張ったなぁと思います」
      パチパチ(拍手の音)
      やっぱり、興味が湧かないコトを読むのは苦痛ですよね。
      まぁ興味があっても、面白くなければ読み進められないか、、、
      2012/11/13
  • 講義のような展開が読みやすい。木村屋のあんパン、ロース豚カツ、コロッケ、カレー、精養軒の洋食が食べたくなる。

  • かしはての臣も心や尽すらんそのあちはひもかはるおものに
     昭憲皇太后

    「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたばかりだが、明治期における西洋食への転換は国家的大事業でもあった。約140年前の明治維新は、言うなれば「料理維新」。西洋に追い付き追い越せの方策のもと、肉食が大いに奨励された。
     1872年(明治5年)1月、明治天皇「肉食解禁」。これが大ニュースであったと近代文学史の講義で話すと、学生は一様に驚きの声を上げる。「え、肉を食べたことが大事件だったのですか?」。
     歴史を振り返るなら、7世紀後半、天武天皇による「殺生肉食禁止の詔【みことのり】」発布以来、獣肉食は長く遠ざけられていた。病人が薬として食べることはあったが、忌避する意識が浸透していたのである。
     けれども、明治に入り、近代国民国家としての舵取りが始まる。まず練られた作戦は、日本人の貧弱な体格を向上させること。体力的、文化的にも、西洋料理の普及が明治新政府の急務となったのだ。
     そこで、若き明治天皇の食生活にも「肉食」が加わった。掲出歌は、1877年(明治10年)、天皇とともに西洋食を味わったあと、「西洋料理」の歌題で詠まれたものという。「かしはて(膳)の臣」は、宮中での食膳の担当者。「おもの」は「御膳」で、手慣れない、味わいも異なる西洋料理を作るため、料理人たちも心を込めたのでしょうね、という大意。
     「明治洋食事始め」を副題とする「とんかつの誕生」は、その経緯を実証的に記述しており、豊富なうんちくも楽しめる書。

    (2014年3月16日掲載 本紙では「講談社、2000年」と紹介しましたが、現在は講談社学術文庫で手軽に入手できるのですね!)

  • 「あんパン、ライスカレー、コロッケ、とんかつはどのようにして生まれたか」という副題にわくわくして、即購入。

    めっちゃおもしろかった~!!
    「これ読んでめっちゃ賢くなった」「すんごい知識増えた」という類の本ではないけど、これぞ読書の醍醐味。あまり知らなかった分野を知れた、それに伴って他分野を勉強してみたくなった・・・という好循環(^^)

    明治天皇が肉食解禁してくれてよかった。
    そしてとんかつが生まれてよかった。もちろんカレーもコロッケも。
    あんパンの誕生秘話がいちばん興味そそられた。パンを作るということが、日本人にとっていかに大変だったかよくわかった。

    日本人は、西洋文化・料理をうまく自分たちの文化に取り入れた。牛肉も、自分たちが食べやすいように煮込んで和風の味付けにしたことで、すき焼きが生まれた。
    すばらしい!
    あんパンが食べたい。とんかつ食べたい。昔の日本人に感謝したい。

    歴史はおもしろいなーと初めて思えた本。
    食べ物の歴史に照らし合わせると、苦手な歴史も楽しかった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「食べ物の歴史に照らし合わせると」
      学校で教える歴史って生活感が無いですからね。面白く無い訳ですよ。
      「昔の日本人に感謝したい」
      食べる前に...
      「食べ物の歴史に照らし合わせると」
      学校で教える歴史って生活感が無いですからね。面白く無い訳ですよ。
      「昔の日本人に感謝したい」
      食べる前に「頂きます」言う時は、昔の人への感謝も含むようにします。
      2012/09/03
  • 明治以降、日本に入ってきた”西洋料理”がどのようにローカライズされて”洋食”として広く普及していったか、さまざまな資料を基に活写されていて、とても興味深い。
    ”牛鍋(すきやき)”にはじまり、”あんぱん”や”とんかつ”など、それぞれが一つのドラマであり、プロジェクトXでもある。”カレーライス”と”コロッケ”の分量が少ないのが残念だが、トリビアも豊富で、この本を元にしてどこかテレビでやってくれないかなぁ…。私がプロデューサーなら絶対企画書作っているぞ。

  • とんかつの誕生として2000年に出版された本の文庫版である。牛肉、あんパン、とんかつ、について詳しい。カレーライスについてもちょっと最後の方で書いてある。挿絵も豊富であるが、店の名前も出てくるので、東京在住でない人にとっては地図が掲載してあれば便利である。学生が読むかどうかは不明だが、牛丼やカレーライスやハンバーグやラーメンについて書いてあれば学生も読むであろう。

  • 資料が豊富でいい。
    明治の富国強兵策で肉食が解禁された歴史からこの本は始まる。

    日本人の食事にとって米がどれだけ重要なポジションを担っているかがよく分かった。
    パンはあんぱんのように、あくまでおやつの菓子パンとして広まった。
    パンを主食にするのではなく、米と味噌汁と合わせ、箸で食べれるとんかつ。言われてみれば、めちゃくちゃ日本人好みのおかずだなあ。
    もともと渡来人が多くいた地域は、近江牛などの有名なブランド牛が多いというのは知らなかった。
    作中に出てきた上野の精養軒など、今も続く洋食店に行ってみたい。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/740843

  • 「洋食がいかに日本人の食卓になじんでいったか。明治のビックバンから約六〇年に及ぶ『とんかつ誕生』までの疾風怒濤」

  • 料理の成り立ちにはとても興味あるので、とんかつの歴史面白かった。

  • パン食や肉食が明治時代に受容され、普及していく過程が、様々な資料を元に綿密に書かれていて、読み応えがありました。神戸ビーフは明治時代から有名だったとか、あんぱんの起源とか薀蓄も盛り沢山です。この本は文化史的な観点から書かれていますが、経済的側面についてもっと知りたくなりました。牛肉の普及には時間がかかったとありましたが、意識の面だけではなく、牛肉生産は非常にコストがかかるので、所得の向上と余剰労働力の発生が必要不可欠だったのではと思います。次は、明治維新と経済をテーマにした本かな。

  • 文明開化のシンボルとして、明治天皇が進んで肉食を始めたという事実から話は始まる。西洋料理をそのまま導入する努力をしつつも、そこは日本人。コメを主食とするということを大前提に少しずつ工夫をこらす。おやつというアングルからあんパンを生み出し、コメに合う西洋料理としてとんかつという「洋食」を生みだした。
    その背景にあるのは、今も昔も変わらない食に対する高い関心だ。肉食の導入こそお上からの思し召しだったのかもしれないが、それを自らの食の中に取り入れ、アレンジしたのは他でもない一般の庶民。こういう成り立ちを持つ文化の足腰は強い。四年前から料理教室に通い始めたワタシも「庶民の総力によって料理を作りつづける、世界でもまれな日本の食の文化」の一端の一端の欠片くらいを担わせていただこうかと、おこがましくも思っている。
    明日の夕食は洋食にしよう。

  • ◇目次
    ○第1章:明治五年正月、明治天皇獣肉を食す
    ○第2章:牛肉を食わぬ奴は文明人ではない
    ○第3章:珍妙な食べ物、奇妙なマナー
    ○第4章:あんパンが生まれた日
    ○第5章:洋食の王者、とんかつ
    ○第6章:洋食と日本人

    本書は明治時代に本格的に入ってきた西洋料理が日本国内で受容・吸収されていき、日本ライズされた「洋食」の誕生まで辿る。
    著者日く、受容・吸収の過程を三段階に分け、①西洋料理の崇拝期である明治初期、②西洋料理の吸収・同化期である明治中期、③和洋折衷料理「洋食」の台頭期である明治後期とした。「あんぱん」もこの①の段階で誕生し、普及した。

    また、③の時期に出てきた「洋食」が大正期~昭和初期にかけて洗練され、庶民の家庭料理として普及していった。この段階で、現在の我々に馴染みのある「とんかつ」登場するとされる。

    全体の明治「洋食」の歴史の流れは分かりやすいが、著者の具体的な事例が時系列通りでなく、行ったり来たりしたり、説明もちょくちょく重複があり、若干のくどさを感じてしまった。

    そういう感想もあり、内容はさることながらやや低めの評価にしてしまった。

  • 新書文庫

  • 明治維新は 食べ物維新。肉脂を忌避して米に固執する日本人がいかに西洋料理を受容したか。まず、西洋に対抗するには身体が小さい日本人に肉食を広める為、明治政府は天皇が肉食してみせ、鹿鳴館でパーティを連夜開き啓蒙。知識人や上流階級に広まる。庶民は江戸後期から広まっていた薬食いの料理方法で牛肉を醤油や味噌で煮た牛鍋やすき焼きにして食べた。さらにパンは主食にはなれず、あんパンなど菓子パンとして広まる。やがて本格的に西洋料理を学んだ人々が一般向けの店を開くが、マナーが難しく馴染みない味のフランス料理を代表とする西洋料理はあまり広まらなかった。その中で日本人合うように工夫された洋食が生まれる。大正時代になるまでに三大洋食コロッケ、カツレツ、カレーライスが生み出される。コロッケなどは油を大量に使うので家で作るのを主婦が嫌がり、肉屋の店頭販売を買うのが一般的だった。さらにカツレツから発展し、てんぷらの料理方法で柔らかく厚く安い豚ヒレ肉を使ったとんかつが生まれる。付け合わせはキャベツの千切り、箸で食べられるように予めカットされ、ご飯とみそ汁に合う、究極の洋食は大ヒットする。そば屋などは押され次々に潰れる。関東大震災の後、復興するなかでそば屋は洋食も出すようになり、現在のカツ丼などを提供するそば屋が生まれる。中華は戦後、大陸からの引き上げによるラーメン、餃子の普及を待たねばならない。

  • 文明開化における食の西洋化に焦点を当て、とんかつの完成迄を追ったもの。学術文庫らしく、多くの資料から学問的根拠をもとに構成しているので、内容も信頼できる。この手の本は店の親父さんや、ライターの推論で勝手に決めつけて書かれている書物が多いが、この書物は良書である。

  • 大学のレポートで役にたちました( ^ω^ )

  • それじゃあお姉さん、洋食のはじめてを見に行こうか! 「クルクルバビンチョパペッピポヒヤヒヤドキッチョの、モーグタン♪」テ~レ~レ~レ~レ~...と、そんな声が(このネタが分かる方はきっと私と同年代でしょう)聞こえてきそうな「洋食はじめて物語」といった内容で、とんかつとあんぱんという2大発明を軸にして、日本の肉食と洋食誕生の歴史を紐解いていきます。楽しんで、また時には食欲を刺激され、おなかを鳴らして読みました。なじみの薄い「西洋料理」を「洋食」へと変えてしまった日本人の適応力とアレンジ力の高さには驚きです。

  • とにかく、『とんかつ』
    『とんかつ』
    『とんかつ』
    大事なことなので何度でも言います(笑)・・・な感じ。
    しかし、西洋から上陸した「西洋料理」が、米食に合う「洋食」という形で取り込まれ、庶民に広まるまでの過程がよくわかる。
    エピローグは簡潔で良い。
    そこに書かれていた、コムギ粉料理の歴史の方が自分的には興味深かったりして。
    私を含める日本人が、なぜこんなに料理本が好きなのか、料理ブログが好きなのか、料理が出てくる小説が好きなのか・・・その理由は依然としてわからないけれど、明治維新までは獣の肉は穢れている、と食べられていなかったのに、たった100年そこらで劇的な食生活の変化を遂げたのは、やはり、並々ならぬ食に対する興味があったのだろう。
    (日本人は)雑食性であり、食に対する主体性がない、とも書かれている。

全24件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1931年生まれ。食文化史研究家。東京大学農学部農芸化学科卒業。日清製粉(株)勤務後、1994~1997年、放送大学食文化史担当。全国調理師養成施設協会『調理用語辞典(改訂版)』の編集委員。主な著書に、『明治洋食事始め とんかつの誕生』(講談社学術文庫)、『コムギ粉の食文化史』(朝倉書店)、『カステラ文化誌全書』(共著、平凡社)、『日本の味探究事典』『世界の味探究事典』『コムギ粉料理探究事典』『コムギの食文化を知る事典』『食の文化を知る事典』(東京堂出版)、『ラーメンの誕生』『たべもの起源事典 日本編』(筑摩書房)などがある。

「2019年 『ラーメンの誕生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岡田哲の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×