幕末外交と開国 (講談社学術文庫)

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  • 講談社 (2012年9月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784062921336

作品紹介・あらすじ

無能無策な幕府が、黒船の「軍事的圧力」に屈し、不平等条約を強いられたという「日本史の常識」を検証。軍事衝突は起こり得るのか、交渉は何語で行うのか――。ペリー来航から和親条約締結までの一年間を日米の資料から追跡して見えてきたのは、幕府の高い外交能力と、平和的交渉の輝かしい成果だった。日本の近代外交と日米関係の原点を見直す。(講談社学術文庫)


黒船に揺れた1年間を検証 「無能な幕府」説は本当か?
日米双方の資料から、「開国」をめぐる常識を覆す。
日米和親条約は、戦争によらない平和的な交渉の
成果だった!

無能無策な幕府が、黒船の「軍事的圧力」に屈し、不平等条約を強いられたという「日本史の常識」を検証。軍事衝突は起こり得るのか、交渉は何語で行うのか――。ペリー来航から和親条約締結までの一年間を日米の資料から追跡して見えてきたのは、幕府の高い外交能力と、平和的交渉の輝かしい成果だった。日本の近代外交と日米関係の原点を見直す。

日米和親条約は一門の大砲も火を噴かず、平和的な交渉によって結ばれた。これが最重要の論点だと私は考える。(中略)アジア近代史から見れば、日米和親条約のような「交渉条約」は稀有の事例である。「交渉条約」を導いたのは偶然ではない。一定の政治的条件の下、日米双方の当事者による外交努力の成果にほかならない。日本外交史のなかでは、幕府の高い外交能力は特筆されるべきであろう。――<本書「あとがき」より>

※本書の原本は、2004年に筑摩書房より刊行されました。

みんなの感想まとめ

幕末の外交を新たな視点から掘り下げ、従来の「無能な幕府」説を覆す内容が展開されています。ペリー来航から日米和親条約締結までの一年間を、日米双方の資料を基に詳細に検証し、幕府の高い外交能力と平和的交渉の...

感想・レビュー・書評

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  • 教科書では、
    「ペリー来航」→「開国!」
    くらいの認識では無かろうか。
    幕府無能+黒船の軍事力=開国、と思っている人にはぜひ読んでもらいたい!
    (ペリー以前に外国船は来ていたし、ペリー来航にも予告があった。また、ペリーと日本の間で戦いもない。)

    こんな資料を整理していただいた筆者には感謝しかないが、一方で誰がこんなことに興味があるんだろうかという危惧もある(笑)

    日本側の役人も堂々としたものだ。これがプライドであり、国を守るということだろう。単純にカッコいい。対等に交渉できたことには驚きがある。役人個々のレベル、国家としての情報分析などなど。

    興味があればぜひ!

  • 岩瀬忠震

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/740854

  • 何となく無策っぽいイメージの有る幕末の対欧米外交について、当時の幕閣が講じた様々な努力を中心に、外交について解説している。
    オランダを通じたアメリカ艦隊来航情報の事前入手や、お互いの最適解を探る幕府とペリーの交渉など、先人の玄人と工夫が偲ばれる内容で面白かった。
    また、幕閣は情報の入手と判断は相応に頑張ってはいるものの、情報を秘密にしがちだったので、武士や町民にとっては相当不安なものになっただろうなという気がする。

  • 言葉のセンスがツイッターとは桁違いである。その圧縮された情報の濃度は流行歌をも軽々と凌(しの)ぐ。更には遊びの精神が横溢(おういつ)しながらも単なる駄洒落に堕していない。
    https://sessendo.blogspot.com/2019/07/blog-post_7.html

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    幕末日本が一般に知られているよりも海外情勢を把握し、幕藩体制を維持しつつ乗り越えることができるのか、何かしらの変革が必要になるのかを判断できていたことが本書でも触れられている。
    本書では日本側だけではなく、アメリカつまりはペリー側から見た開国についてが書かれているのが新鮮で高圧的な態度で日本を開国させたというイメージだけど、本書を読む限りは他のヨーロッパ諸国に先駆けて日本との外交関係を結び、有利な立場を取るということに加え、大統領に宣戦布告の権限がないことから戦争を開始することはできなかったとう事は意外な事実だった。
    また、幕府とペリー艦隊の関係もギスギスしたものではなく、お互いの妥協点を見つけ、すり合わせを行うという交渉を行っていることが印象的だった。

  • 歴史的事実をバイアスなしにフラットに見る。
    とっても難しいことかも知れません。
    しかしながら、極力、歴史的事実に関わった人物が書き残した情報を多角的に分析する。
    それは原点であろうと思います。
    「幕末外交と開国」
    ペリーが書き残した情報、徳川官僚が書き残した情報、双方を極力バイアスなしに分析してみる。
    とっても大事なことだと思います。
    私たちが歴史の時間で習ったものとはまったく違いました。
    徳川官僚が国法を原則守りながらも、当時の世界情勢とどう折り合いをつけるのか、お互いの意見をぶつけ合い、妥協点を見出す。
    ペリーも居れるところは折れる、当時のアジア情勢を考えれば、大変よく出来た条約だと思いました。
    GHQ史観、自虐史観、ノーサンキュウであります(笑)。

  • 2012年(底本2004年)刊。著者は横浜国立大学名誉教授、都留文科大学学長。不平等な条約を外交失敗の結果として結ばされたというステレオタイプな日米和親条約評を、根底から覆すことを意図した書。ペリーの思惑を含む米国の国内情勢、条約締結の必要性から、日本の海外情勢認識、認識が生じた経緯、交渉の実像まで広範に検討。かつ、江戸期の、外交に関わる政治制度の変遷、対外方針の変遷、鎖国制度の変遷等、前史にも目配せが効き、簡明なのに奥が深い。慎重な史料引用と相俟ち、濃い情報密度に比して非常に短く論じられている点は凄い。
    当時の老中筆頭阿部正弘はもっと評価されていい政治家である。修好通商条約時に阿部が生きていたら、と思った人も多かったのでは。

  • 新書文庫

  • 江戸幕府は突然来航した黒船に周章狼狽、ペリーの砲艦外交に屈し不平等条約を締結した…かつてはこのような歴史観が支配的だった。それに対して著者は、幕府が当時の世界情勢を冷静に分析し、周到な準備をして堂々たる外交交渉を行っていたことを明らかにする。幕府が「徳川の祖法」たる鎖国政策に固執し、社会秩序を維持するために洋学を弾圧、結果として軍制改革が進まなかったのは確かだ。しかし、幕閣たちはアヘン戦争が勃発するやその戦況を注視し、彼我の戦力差を目の当たりにして穏健外交政策に転換している。それだけではなく、開国は必至と見て最初の条約締結国を慎重に検討、列強「新興国」であるアメリカを与しやすしと考えて交渉を開始したのである。それは、攘夷イデオロギーに固執した朝廷にはなしえない、軍事的識見と外交的熟慮に満ちた判断であった。その幕府が国内では攘夷イデオロギーを利用した薩長との抗争に敗れ、対米交渉の成果も明治政府が創出した冒頭のような歴史観に埋もれてしまった。戦争と植民地支配の時代にあって、戦争を回避しつつ交渉による条約締結を実現したことは、もっと称揚されて然るべきだろう。

  • 保有状況:所有&購入日:41189&購入金額:966

  • 黒船来航と聞くと『泰平の眠りをさます上喜撰 たった四杯で夜も眠れず』という狂歌などから、幕府には寝耳に水でアメリカが大砲突きつけホールドアップを迫り、それに怯えて相手の言いなり。というイメージを持たれがちですが、鎖国(これも海禁と言う方が的確でしょう)政策の中、幕府は事前に可能な限り情報を収集・分析し対策を練り、外交の経験がほぼ無いながらも立派に交渉をやり遂げています。日米双方の史料を採用しているので、当時まだ新興国だったアメリカの思惑とハッタリも見えて日本史のちょっとした誤解を解いてくれる良い本です。

  • 当時の幕府の役人は無知無能でもなんでもなく、実の堂々とペリー達と外交交渉を進めていたのだった。自分たちが知っている歴史というのはその後の人々によって都合よく語られているということを改めて感じた。

  • 日本の最も重要な出来事のひとつだったにもかかわらず、正しい評価がなされていないペリー来航&日米和親条約締結。
    阿部正弘をはじめとする幕末の政治家と役人は改めてすごいと感じた。
    彼がいなかったら、日本はイギリスによりアヘンが社会に蔓延して欧米列強の餌食になっていたであろう。
    当時、新興国であったアメリカを選択した先見性はすばらしいと思った。
    前から思っていたが、阿部伊勢守正弘は日本を救い、そして日本国の発展のレールを敷いたという点で、幕末期における究極のヒーローだ。

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著者プロフィール

1936年東京生まれ。東京大学文学部卒。専門は日本近代史、近代アジア史。横浜市立大学教授、同大学学長などを経て、現在、同大学名誉教授、都留文科大学学長。おもな著書に『イギリスとアジア』『黒船前後の世界』『黒船異変』『世界繁盛の三都―ロンドン・北京・江戸』『地球文明の場へ』、共著に『アジアと欧米世界』ほか。

「2012年 『幕末外交と開国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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