カレーライスの誕生 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062921596

作品紹介・あらすじ

インドに生まれ、イギリスを経て、近代黎明期の幕末日本に西洋料理として入ってきたカレー。いまや「国民食」となったカレーの受容と変容は、近代における西洋文明の受容と、日本風アレンジの歴史そのものだった。多岐にわたる資料を渉猟して、日本のカレーの歴史と謎を解明し、そこに秘められた人々の知恵と苦闘のドラマを描いた、異色の食文化史。

感想・レビュー・書評

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  • カレー大好き
    日本人は海外の食材メニューを工夫して日本人にあったものにしていく
    カレーライスも明治時代には高級な洋食であったものが現代では庶民の人気メニューになっている
    即席カレーというアイデアも商品開発に時間がかかってもパッケージ方は多くの食品に利用されている
    人気メニューになっていく経緯がよくわかる

  • カレーは今でこそ国民食ですが、日本に入ってきた当時はなかなか受け入れられなかったそうです。というのも、洋食そのもの(バターや牛乳)の匂いが当時の日本人に馴染みがなく、正岡子規のような新しい物好きの人々以外のお腹を満たすことはなかったと、この本には書かれていました。
    それが、どうやって広まったのか、カレーに福神漬けの組み合わせはいかにして生まれたのか…それらはある部分では歴史の教科書に載っているような事柄が背景だったり、ある部分では偶然に巻き込まれた1民間人の物語だったり。

    しかし、考えてみればカレーだけではなく、おおよそ化学の歴史も個人の歴史も、そのようなものなのでしょう。表紙に惹かれて購入し、積んでいたのを読みましたが、なかなか進まずで…★2つにしておきます。

  • タイトルのとおり。カレーが日本でこれだけ根付いたのは何故か。しかもルーツであるインドと異なるテイストで。の研究を行ったもの。
    外国のものなのでそりゃ明治時代くらいから始まったんだろうくらいの想像はついたが、それ以上の事情があった。今や料理初心者がまず作るくらいの庶民的料理が、高級路線だった時代があるとは。関東と関西でカレーの食べ方の違いがあるのも初めて知ったが高級路線と庶民路線から違っていたとは。また、レトルトどころか固形のルーなんて戦後に生まれたとか意外と新しいとは。何故か、は本書を読んで欲しい。
    カレーにとどまらず、その具材や同時代に誕生した他の西洋料理のこともへえ!と思うことが書かれている。まぁとにかく、日本人が自分たち流に工夫してカレーを変えてしまうその食に対する執念はホント昔から変わらないんだなあと改めて思った。
    講談社学術文庫なのに先が気になってすいすい読んでしまうのは新鮮。何より謎なのは、何故この本が家にあったのか…(家族には料理研究家も食文化研究者もいない)

  • インドで生まれ、イギリスを経て「洋食」として日本へ入って来た、オレらが大好きなカレーライス。
    その、受容と日本化のプロセス・歴史が全部わかる本。

    日本のカレーの特徴として野菜(芋玉にんじん)があるようだけど、明治に入って北海道で川田「男爵」やあのクラーク博士によって普及が始まったということもあり、そのくだりが特にエキサイティングだった。玉ねぎなんかも歴史は意外に浅くて、始めは「こんなラッキョのオバケみたいなのが食えるか」という感じだったらしい。カレーでも、当初は白ねぎが使われていた由。

    東京の高級化(中村屋)・大阪の大衆化(阪急百貨店、小林一三)や、ライスカレーとカレーライスの呼び名の経緯なども面白い。

  • まさかの講談社学術文庫でカレー。しかもこの表紙、素晴らしく美味しそう。伝統的な、食堂で出るようなとろみのあるカレーっぽいですね。
    日本のカレーはイギリス経由、というのは美味しんぼを読んだ(ほとんどの)日本人のリベラルアーツと言ってもいいですが、そこらへんから戦後までのカレーの歴史を読みやすく纏めています。

    個人的には、ビーフカレー、ポークカレー、チキンカレーのどれが日本のカレーライスの正統なのかを確かめておきたかったのですが、明治5年刊の「西洋料理指南」によると、「鶏海老鯛蠣赤蛙等のものを入て能く煮」という記載があるそうで、鶏の文字があったことよりも「赤蛙」の2文字の強烈さが印象に残ります。ちなみに玉ねぎじゃなくて長ネギというのもポイントで、本著ではそれに着目して文明開化に伴う西洋野菜の普及状況まで追っています。
    なお、ポークカレーは結構歴史が浅いものらしく、日清戦争、日露戦争で牛肉の需要が逼迫した結果として明治末期から大正にかけて普及し始めた模様。しかし、大阪では依然として牛肉人気が続いたとのことで、これが現代にまで続くカレーの具は何派?論争に繋がっているのかと思うと感慨深いものがあります。

    具材として玉ねぎ、人参、ジャガイモが入ったカレーは明治44年のレシピで初めて登場したそうで、著者はそれを彩りを重視する日本人の気質によるものでは、と書いています。「目で食べる日本人」というフレーズは、確かに初めて聞いたものではありませんが、まぁ肯けるような。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00189371

  • 数年前にカレーにハマり、お店を訪ね歩く日々。
    そんなカレーの歴史なんて微塵も知らないなと思ってタイトル買いした。

    日本独自の形であることは聞いたことはあったけど、かつては赤蛙を入れていたという事実に驚きを隠せなかった。

  • 色んなカレーライスの種類が知れたのは楽しかった。
    歴史の知識があるとより楽しめるかも。
    カレーライスの材料とかが書いてあるところはあんまり要らなかった。
    章ごとの結論は少し分かりづらかった。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/740882

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著者プロフィール

1933-2005。東京都生まれ。昭和女子大学短期大学部国文学科卒業後、國學院大学文学部卒業。くらしき作陽大学食文化学部教授を務めた。専門は食文化史。主な著書に『水戸黄門の食卓』(中公新書)、『グルマン福沢諭吉の食卓』(中公文庫)、『近代日本食文化年表』(雄山閣)、『カレーライスの誕生』(講談社学術文庫)などがある。

「2017年 『にっぽん洋食物語大全』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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