世界の食べもの――食の文化地理 (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062921718

作品紹介・あらすじ

食文化研究の泰斗が世界の食文化を網羅、紹介! 諸民族の食に加え、米、麺、酒、茶など食材からも世界を見る。舌は世界を駆け巡る!

感想・レビュー・書評

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  • 20190905
    文化人類学観点から食文化を俯瞰した作品。著者が述べている通り、食の見取り図を作りたいということから始まった作品で、本人がよく食べ、見て、研究している姿が素晴らしいとともに羨ましい。私も実際に見て食べてみないと始まらないので、是非とも色々な食文化に触れてみたい。
    国や地域ごとにどういう特色があるかという点は以下にまとめている。

    //MEMO//
    食文化研究から世界を見るという、自分の好奇心の根源。
    美味しいものを、より美味しく食べるために。色々な知識を持ちたい。

    〈朝鮮半島〉
    ・キムチと塩辛
    ・濁酒=マッコリ
    ・肉料理に合う、唐辛子やニンニクが発達。
    ・冷麺

    〈中華料理〉
    ・ヨーロッパ料理と並ぶ世界に広まっている料理。
    ・火を使う
    ・蒸す料理。饅頭
    ・かつては、儒教の影響で男女別に食事をとる
    ・薬膳の思想

    〈東南アジア〉
    フィリピン料理
    ・インドと中国の中間地点
    ・サフランなどの香辛料
    ・マレー系=ココナッツ、レモングラス

    シンガポール料理
    ・ニョニャ料理
    ・インド系、マレー系、中国系の独自進化
    ・湾岸が多いことから魚料理

    マレーシア
    ・イスラム系、中華系の多民族
    ・ハラム=イスラム教で禁止されている食品。豚肉や酒など。
    ・ハラル=イスラム教で寛容されている食品。

    インドネシア
    ・米主食=ナシゴレン
    ・ターメリックなどのスパイス
    ・モルッカ諸島=香料諸島
    →コショウ、シナモン、ケイヒ、チョウジ、ニクズク
    モルッカ諸島はチョウジとニクズクの産地

    〈オセアニア〉
    ・根菜植物
    ・ココナッツ、ヤシ

    〈マグレブ〉
    =西アジア、中東アジア、北アフリカ
    ・クスクス
    ・パン

    モロッコ料理
    ・バステーラ

  • 丁寧な解説。
    知らない料理はメモして調べよう。

  • ふむ

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/740887

  • シビレれた。一見ヨーロッパ の研究が乏しいが、著者の類いまれな胃腸を駆使したフィールドワークに基いた、寿司、主食としての米、麺、パンに関する研究結果が、アジア圏と世界との比較としての食事を学ばせてくれた。

    つまらん美食家の作文を駆逐するぐらい、一読の価値はある作品。
    まさに、食の研究のスタンダードとも言うべき内容だと思う。

  • 【書誌情報+内容紹介】
    発売日 2013年05月10日
    価格 本体1,000円(税別)
    ISBN 978-4-06-292171-8
    判型 A6
    ページ数 296ページ
    シリーズ 講談社学術文庫

    美味いゾ!
    日本、朝鮮、中国、東南アジア、オセアニア、マグレブ……。
    諸民族の食文化を探究し、米・麺・茶・コーヒーなど、食材から見た世界地図を描き出す。
    泰斗による食文化探検!
    日本、朝鮮、中国、東南アジア諸国、オセアニア、マグレブ……。それぞれの風土や歴史と食生活の関連を探求し、日本の食事文化を位置づけたうえで、米・酒・麺・茶・コーヒーなど食べものから見た世界地図を描き出す。各地を探検し<食文化>研究を確立したパイオニアの手による入門書にして冒険の書。舌は世界を駆けめぐる。美味いものに国境なし。
    ※本書の原本『食の文化地理』は、1995年に朝日新聞社より刊行されました
    http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062921718


    【目次】
    序章 舌のフィールドワーク 
    ささやかな冒険心/主食的な食物の分布/麦類/米/雑穀類/根栽作物類/ヤシ類/牧畜社会の肉と乳製品/地域による味つけと調味料/世界の過半数は手づかみ

      I 諸民族の食事
    第1章 朝鮮半島の食
    主食/主食作物/餅/麺/味つけ/薬念/ダイズ調味料/ゴマ油/ニンニクとトウガラシ/キムチと塩辛/キムチ/塩辛/酒と飲み物/酒/茶とスンニュン/食事の構成/三食/飯床の献立/配膳と食べ方/配膳法/食器と食べ方

    第2章 世界における中国の食文化 
    食品と料理/食べ方と食事観

    第3章 東南アジアの食事文化 
    主食の王座は米/タンパク源は肉より魚が中心/魚醤で味つけ/トウガラシの辛みを多用
     フィリピンの食生活
    複雑な民族構成と歴史/主食の米と豊かな魚の利用/スペインおよび中国文化の影響/アメリカの統治と現代化
     シンガポールのニョニャ料理
    ニョニャとは/中国風の材料とマレー風の料理技術
     マレーシアの食生活
    マレー、中国、インド系住民の複合社会/宗教のちがいによる食習慣の差
     インドネシアの食生活
    米のさまざまな食べ方/調味料と食品/食習慣と食事作法
     モルッカ諸島の食事
    オランダが香辛料貿易を独占/根栽作物とサゴヤシでんぷんの主食

    第4章 オセアニア――太平洋にひろがる食文化 
    根栽作物が中心の食事/伝統的な石蒸し料理/変わりゆく食生活

    第5章 マグレブの料理 
    砂漠とオアシス/古代ローマの穀倉地帯/マグレブの共通料理クスクス/洗練されたモロッコの料理/最も重要な香辛料トウガラシ/食事の仕方、飲み物

      II 日本の食事
    第6章 米――聖なる食べ物 
    稲作/米を特別視する農業政策/稲作の祭り/イネの精霊/餅と祈り/力餅/鏡餅/雑煮/餅菓子/酒と祭り/食事の構成/酒茶論・酒飯論・酒餅論/食事の順序/酒のさかな/飯のおかず/主食中心の食生活/肉・乳製品の欠如した食生活/すしの由来/なれずし/日本におけるすしの発展/食事パターンの変化

    第7章 日本の食事文化――その伝統と変容 
    料理をしない料理/季節を食べる/魚料理のランキング/肉食と乳利用の欠如/ダイズと調味料/主食と酒/配膳と盛りつけ/包丁術の特殊化/新たな展開/変化のモデル/栄養バランスのよい現在の食事

    第8章 現代の食生活 
    食生活の大変革期/食の社会依存化現象

    第9章 日本人とエスニック料理 
    エスニックとはなにか/アンケートの結果/だれを顧客とするか/価値の多元化時代に

      III 食べ物からみた世界
    第10章 世界の米料理 
    もち米の料理/湯取り法と炊き干し法/西方では油脂と塩で調理/米のスナック

    第11章 すしの履歴書 
    握りずし全盛時代/すしとはなにか/なれずしにはじまる/東南アジアのなれずし/中国と朝鮮半島のなれずし/日本独自の展開

    第12章 麺の歴史 
    六世紀の中国の麺づくり/手づくり麺の三つの製法/各地の麺の食べ方/麺はごちそうだった

    第13章 料理における野菜の位置 
    地域でことなる野菜の役割

    第14章 世界の酒――伝統的な酒の類型 
    伝統的酒造りの分布/糖分からつくる酒/でんぷんからつくる酒

    第15章 茶とコーヒーの文明
    アジアに成立した第一次分布圏/ヨーロッパを起点とする第二次分布圏/大宗教の分布圏との関係

    第16章 うま味の文化 
    バングラデシュのチャイニーズ・スープ/東アジアで発達したスープ料理/東と西に大別される食事文化/野菜料理に必要なうま味の添加/第五の味の発見/出しと穀醤/魚醤のうま味/魚醤とMSGの併用/うま味の文化圏

    あとがき
    文庫版あとがき
    初出一覧

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00191611

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著者プロフィール

■石毛直道(いしげ なおみち)
1937年、千葉県生まれ。1963年、京都大学文学部史学科卒業。京都大学人文科学研究所助手、甲南大学講師、国立民俗学博物館助教授、同教授、同館長を経て、2003年、国立民俗学博物館を退官。国立民俗学博物館名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授。農学博士(東京農業大学、1986年)。
【主な著書】
『リビア砂漠探検期』(講談社文庫1979; 原本、講談社 1973)/『住居空間の人類学』(鹿島出版会 1979)/『食卓の文明論』(文藝春秋 1980)/『食卓の文化誌』(岩波現代文庫 2004; 原本、中公新書 1982)/『ロスアンジェルスの日本料理店――その文化人類学的研究』(ドメス出版 1985)/『はじまりはトンガ-南太平洋フィールドノート』(平凡社 1988)/『麺の文化史』講談社学術文庫 2006(原本『文化麺類学ことはじめ』講談社 1991)/『石毛直道 食の文化を語る』(ドメス出版 2009)/『飲食文化論文集』(清水弘文堂書房 2009)/『石毛直道自選著作集』刊行中(第1期全6巻、2012年完結/ドメス出版)

「2013年 『世界の食べもの――食の文化地理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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