王陽明「伝習録」を読む (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062921725

作品紹介・あらすじ

中国・明代の儒学者、王陽明。その当時、新儒教として学術思想界の主座にあった朱子学の論理構造を批判的に継承した彼の実践的儒学は、陽明学として結実する。近世以降の中国のみならず、わが国でも大塩中斎や吉田松陰、西郷隆盛ら、変革者たちの理論的背景となった思想とは何か。陽明学の最重要書籍を原テキストにしたがって読み解き、その精髄に迫る。

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    著者:吉田公平(1942-、宮城県、中国哲学者)

  • 本書は、東洋大学名誉教授の吉田公平氏による、王陽明の言行録『伝習録』の現代語訳と解説からなっている。ただし、全訳ではなく、一部抜粋。
     とはいえ、吉田氏は、陽明学左派の研究者なので、左派の観点からの現代語訳と解説が本書の魅力となっている。
     学術者の手になるものだから、予備知識の無い一般人からすれば文章が硬くて読みにくいかもしれないが、読み続けることで次第に慣れていくので、是非、トライして頂きたい。
     本書にも指摘してある事だが、「知行合一(ちこうごういつ。ちぎょうごういつ)」の「合一」の解釈は、「別々のものを合わせる」ではなく、「もともと分けられない」という意味なのだ。
     つまり、「知行合一」とは、「言行一致」を意味するのではなく、
    「知(思いや知識)と行(行動)はもともと一つである」
     という意味なのである。(P167)
     私は、その事を、かれこれ20年余にわたって指摘し続けてきたのだが、
    「口で言ってることとやっている事を一致させなければならない」
     などという具合に「知行合一」を理解してしまう間違いから、そろそろ目覚めて頂きたいものである。

  • 陽明学という言葉は聞くのだけれど、その確立の歴史や思想中心にある性善説に基づく万物一体論の中身や朱子学との対立、位置づけなど知らないことが多く、思想の中心となる本書物を紐解くことは意義がある今尚振り返って指針できる思想があり、大変勉強になった。

  • いかに現実で悪を体現していても、非本来的要因でそうなっているので、「本来完全」であることを回復すれば悪から救われる。回復する能力は完全に固有。だから自己の外部の救済者は不要。”あくまで自己の本来固有する力で現実の自己を救済できるのである” 徹底した自力主義。(p.39要約)

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