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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784062921831
作品紹介・あらすじ
はばかりながら読む漢字の文化史!
「且」は男性、「也」は女性の何を表す……?
性、死、名前、トイレなどのタブーをめぐる、ゆたかで隠微な漢字の世界。
中国科学院の院長までつとめた郭沫若の「士」=男根説。性器はやはり「陰」と「陽」で表される。「死」という漢字を避ける習慣。「トイレにいく」が「解手」となるわけ。皇帝やその祖先の実名を厳重に避ける「避諱」とは──。日常の話から歴史や逸話まで、幅広く、豊富な話題を紹介しながら、漢字とタブーの関係を鋭く、面白くつづった会心の名篇。
男女の性行為とか排泄、あるいは女性の生理などに関係することがらは、これまでは「隠しごと」とされ、それを表すことばや文字は社会の表層からはなかなか見えなかった。しかしそんな「隠しごと」も、人間の暮らしと社会の様相を示すものであることにはまったく変わりなく、実際に「隠しごと」に関してのソフトもハードも、時代とともに着実に進化を遂げてきた。そして文字も、その変化発展に完全に対応してきたのである。──本書「あとがき」より
みんなの感想まとめ
タブーとされるテーマを通じて、漢字の文化史を深く探求する内容が魅力的です。性、死、トイレといった普段は口にしづらいテーマに触れながら、漢字がどのように社会の変化に対応してきたかを明らかにしています。著...
感想・レビュー・書評
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3年前に読んだ『漢字の成り立ち図解』、昨年読んだ『漢字と日本人』。前者は象形文字からの漢字の歴史(変遷)を1文字ごとに教えてくれるもので軽い読み物。後者は日本語の歴史と漢字という悪影響を教えてくれる本。今回は前者8、後者2くらいの漢字にまつわる軽めの本を物色していました。タイトルだけで借りてきましたがタブー(性・死・大小便と生理・名前)ごとにトリビアの羅列(と言ったら作者に失礼だけど)。目論見通り軽く楽しく読めました。
他人に話したくなるトリビア
序章
『ひもじい・しゃもじ・かもじ・おすもじ・おめもじ・ゆもじ・おみおつけ・おかき・おでん』 俺はあいつにホの字なんだよ、と同じってわけね。てかこれらが宮中女房言葉から大奥などに伝わってからの日常単語になるのがいい。(皇室や公家から輿入れしてきた際のお付きの女官たちの言葉が伝播したよりも、出来れば京の公家言葉に憧れた大奥腰元たちが自発的に輸入したのならなおいい。)遊郭言葉が日常に取り入れられるのなんかもそうだけど、人間の浅ましさは数百年全く変わってなくて安心する。ネットで他にもないかと検索したところ『おいしい』『おなか』なんかもおかきやおでんと同じなのね。結婚式で十二単着たりキャバクラホスト用語を使ったり。一緒。多様な文化は特別な存在であると見られたい!って欲が栄養素だもんね。
『中国の箸は昔箸だったけど船の中の食事は竹かんむりに快にした。それが今の箸。するめをあたりめ。胡麻をするを胡麻をあたる、葦原を吉原にしたのと同じ。』とまるをすすむに変えたわけね。人間が考えることは一緒ね。
『元来と原来』よほど怖かったのね。モンゴル。
第1章 性
且とか了とかが男性器ってのはまぁそうですねって感じなんだけど、也が女性性器、色が後背位そのものを表す漢字だったとは。へー。ここがつかみ的な章なんだとは思うけど4つのなかで最も へー のみ。
第2章 死
死・葬・屍などの成り立ちは納得。没は昭和24年に新たに制定されたもので昔は歿の右側だった。この表音がボツであるのでここを変えてしまうと音も変わるはずなのに音はそのままボツに。さらに元々の意味はさんずいが指し示すように おぼれ死ぬ・水死する である。
崩御・薨去など。さらに婉曲な表現として万歳や百歳なんかも。てか万歳ってそうだよね。千年万年系譜の繁益を寿ぐんだから『あなたが死んだあと』の話だよね。もはやバンザイに1万年後という感覚はほとんど持ってないけど。
第3章 大小便と生理
中国年配者が使うという『解手(トイレの意)』。元々は万里の長城建設時に強制移住させられた福建省などの屯田兵がトイレの時だけは縛られた両手を解いてもらえたことからだそう。さすが中国。怖。
中国のトイレに関する漢字のあれこれを解説する流れで、ベルサイユ宮殿のトイレスポットを示した立て札 etiquetteの話。エチケットの語源。単語が生まれ定着するのってセンスの善し悪しだよね。こうやって世界中に様々な単語があるんだなぁ。
おまるの馬桶。中国では馬桶を『恭桶』とも呼ぶ。恭は中国でもうやうやしいの意味があるが『出恭』でウンコするの意味となる。なんでよ。とここで科挙の話が始まり。。。
科挙試験は1回だけ水分補給とトイレのためだけに退出できる→その際は答案用紙を教官に預けて『出恭入敬』の木札を貰って出入→ただ実際の手続きは厄介で時間浪費のため受験者は尿瓶を持って試験に挑むため教室を出るのはウンコだけ→恭という漢字がウンコの意味を持つ。
こういうの好きだわー。
実際にどれほど行われていたのかは定かでないものの、後漢に記された字書によれば 後宮の女性が夜伽のために並ぶ→生理中の女性は寝所に入れない→女性は自ら口にしづらい→紅(=丹)を顔にちょっとだけつける(=勺)ことで自分は生理中ですよとさりげなく表現→女史(夜伽相手の女性を管理する役人)も顔に紅のある女性はリストから外すよ→頬紅のルーツ とのこと。ほんまかいな。赤という動物界では性的アピールに使われがちな色(猿のお尻とか)を逆アピールで使うのね人間。インスタとかでペットに『パパーママー』とかキモいアテレコやってる飼い主いるけど君んとこの犬や猫が本気で喋ったらこういうところを指摘されんじゃない?『繁殖期もはっきりしない、交尾も薄暗いとこでやりたがる、全身毛なしのくせに頭頂部他部分的にのみ毛が生えてる後ろ脚歩行のきっしょい生き物』って。
第4章 名前
諱(いみな)と字(あざな) この本の中で最も好きなパート。唐代にいた李賀という詩人・文者。彼は17歳の時に当時最高の文学者であった韓愈を訪れたが韓愈は彼が持参した詩の冒頭2句を読んでただちに居住まいを直し正装し賓客の礼をもてもてなしたという鬼才。高級官僚を目指し科挙試験の前段階、地区試験トップ通過をした20歳、父親の諱のせいで辞退を勧告される。は?その諱も同じ漢字ですらなく父の名前『晋』と科挙最終試験合格者に与える称号『進士』が同じ『シン』という発音のため父親の諱を息子が犯すべきでないとの政府判断。なんじゃそれ。韓愈も憤慨し『ほんならあれか?父親が仁やったら人ですらあることができへんて、そういうことか?おん?』と反論するも覆らず。結局彼は地元に戻って詩作にふけり27歳で病死。その彼が詠う『二十にして心すでに朽ちたり』日本人も他人のこと言えないけど、こういう無意味な決まり事のために大事をだめにするのって今も中国や韓国にうっすらにおうような。。。あとで問題になった際に一族皆斬首とかだとまぁこうなるんだよね。人々の脳裏に『自分が為政者だったらミス犯した奴らはこうする』ってのがあるような。勝手な妄想だけど。
字貫事件 歴代皇帝の諱を堂々と書いちゃってる(そりゃダメよ)書いた学者は勿論、3人の子と4人の孫も死刑。この本を押収した際に皇帝選定辞典への批判のみ問題視し大逆不法を見逃した高級官僚も死刑。全ての字貫、他の出版物、全ての版木も焼却処分され清朝公式刊行の『禁書目録』にもリストアップされているのになぜか徳川将軍家の紅葉山文庫に収録されている。いやはや。人の口に戸は建てられませんが一度出版流通した本も焼き滅ぼすのは難しいですねぇ。同表音別漢字に置き換えたり空欄にしたり1画省略したりし。諱を避ける『避諱』は奇妙で煩わしいだけのように感じるも、研究者からすれば避諱から年代が特定できる大きな利点もあると。これもまた文化の妙。進化における身体の機能に通じるものを感じたり。
星4。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/740896 -
帯文:”はばかりながら読む漢字の文化史!” ”性や死をめぐる多様な表現”
目次:序章 言い換えられることば、第1章 「性」にまつわる漢字、第2章 「死」をめぐる漢字、第3章 大小便と「月のさわり」、第4章 名前に関するタブー、あとがき -
もともとは講談社現代新書。相変わらずの豊富な知識に読み易い文章。若干、話題があちこちに飛ぶときも。それが魅力でもあるんだけどね。とにもかくにも『説文解字』。性、死、排泄など、あまり人前では言えないような「タブー」の漢字文化について。
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すごく面白い雑学本です。
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著者プロフィール
阿辻哲次の作品
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