パンの文化史 (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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本棚登録 : 126
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062922111

作品紹介・あらすじ

豊かに実る穀物を、収穫しては挽いてこねて焼く。
そうして出来た固形物を、本書は「パン」と定義する。
この「パン」作りを、人類は遥か五千年以上前から繰り返してきた。
古来から食べものそのものを意味する特別な存在だったパン。
メソポタミア文明から現代ヨーロッパまでを、膨大な資料と調査に基づいて一望する。
貴重な写真図版も多数収録。
世界各地・諸民族・各家庭で多種多様に継承された、パンの姿と歴史と文化が、この一冊に。
日本語で書かれた、ほぼ唯一の、パンの文化人類学。

感想・レビュー・書評

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  • パンの文化史(講談社学術文庫)

    パンという言葉は戦国時代にザビエルとともにやってきた。ポルトガル語で食べ物を意味する”pao”をパンと聞き捉えたという。

    そうは言っても、ではパンとは何であろうか?
    小麦に限らず、生の穀物を粉にして、水で練って、焼いたもの、だということになる。

    米だったら軟い皮に包まれる硬い胚乳(実)がある。しかし小麦は硬い皮の中に軟い胚乳(実)がある。だから皮をとったあとに粉にしなければならないし、水で練って食べられる状態にしなくてはいけない。

    では何故焼いたのか?ベイキングにも意味がある。土器や石器が無い時代からパンは食べられていた。容器を必要としない方法、それが焼くことだった。だから蒸す技術がある地方へ生地だけ伝わると饅頭になった。

    こんな調子でムギの違い、発酵と無発酵の違い、発酵とは、焼くとは、について微に入り細に渡って語られる、まさにパンの文化史。

    著者と馴染みの深いアルプス近辺の国オーストリア、イタリア、ドイツのパン事情も面白い。

    パンだけは分けなければならない。自らに言い聞かせること。私たちがおいしいパンを食べられること、それはパンの歴史を知れば喜びに変わる。パンは人と分け合って、ともに食べるものである。
    この最後の一文に込められた著者の想い。

    利己的な現代人は後世へパンつまり文化を繋いでいけるだろうか。

  • 豊かに実る穀物を、収穫しては挽いてこねて焼く。そうして出来た固形物を、本書は「パン」と定義する。この「パン」作りを、人類は遥か五千年以上前から繰り返してきた。古来から食べものそのものを意味する特別な存在だったパン。メソポタミア文明から現代ヨーロッパまでを、膨大な資料と調査に基づいて一望する。貴重な写真図版も多数収録。世界各地・諸民族・各家庭で多種多様に継承された、パンの姿と歴史と文化が、この一冊に。日本語で書かれた、ほぼ唯一の、パンの文化人類学。

    パンの歴史のすべてがわかる素晴らしい一冊です(^^)。パンを食べる習慣は定着しても、パンを焼く文化は定着しなかった日本において、この本の希少さは飛び抜けていると思います。小麦の種類、パンの作り方、パン窯の変遷、その他すべてのパンの史実がこの一冊に凝縮されています。「ヘンゼルとグレーテル」の魔女のパン焼きをパンの焼き方から検証するのも興味深く読めました。映画『しあわせのパン』にも出てきた「パン」の本来の意味が語られたときには現代の人間が失ったものを痛感せずにはいられませんでした。ぜひパン焼きの歴史を今一度見つめ直して、「パンを分かち合う仲間(=共同体)」としての人間について考えてみていただければ。日本語で書かれた唯一のパン文化人類学という煽りに偽りはなく、史料的価値も高い一冊です。


  • 歴史

  • 2013-12-22

  • ものとしてのパンの概括から、パンの発酵や焼成といった方法論的な話に移り、まるで地誌のように地域文化の中でのパンの表れ方を語る方向へぐぐーっと展開していく。また、入りをとっつきやすくするためか、最初は日本の史料も引いているけれど、途中から本題のパン文化圏の話に集中している。
    米文化圏の私たちにしてみれば、食パンなどの膨らんだ白パンがそもそも"世界史"的には決してメジャーではなくて、土地に合ったような形でしかパンは作れなかった状況がそれほど遠くない過去の時期まで続いていたことでさえも新鮮に読める話ではないかと思う。

    書きぶりや章間の繋がり方も緩やかで、最初は学術文庫でこれ?といぶかしく思えた。けれども、ぼやけ気味?の著者自ら撮影の写真多数を含めて、とにかく実地で取材されてきた生の感触が伝わってくる点は興味を惹かれた。食べるものとしてだけでは到底収まらない、パンに対する愛があるんだと思う。

  • 遥か五千年以上前から作られてきた「パン」。そんなありふれた存在から世界の歴史・文化を一望できる一冊。
    【中央館2F 080/KO/2211(講談社学術文庫】

  • 面白かったです。

  • [ 内容 ]
    メソポタミアからアルプスまで。
    ムギ栽培から人工培養イーストまで。
    古今東西、膨大な調査結果がここに。貴重な図版写真を多数収録。

    [ 目次 ]
    序章 米偏世界へ渡来した異邦人
    第1章 パンとは何か
    第2章 パンの発酵
    第3章 パン焼き
    第4章 パンを焼く村を訪ねて
    第5章 パン文化の伝承
    第6章 貴族のパンと庶民のパン
    終章 パンは何を意味してきたか

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 小麦の歴史から始まって、小麦の食べ方、パンの焼き方、パン釜の歴史、パン焼きの習俗やパン屋まで、多岐にわたった内容を文献からの引用、図表、写真を交えて平易にまとめた、まさしく労作。これを手がかりに細部に入り込んでみたくなる。

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著者プロフィール

舟田詠子(ふなだ えいこ)
1941年、東京生まれ。上智大学ドイツ文学科卒業。1978年よりパンの文化史を研究。ウィーンに在住し、ヨーロッパ各地でフィールドワークをつづけている。千葉大学、東海大学元非常勤講師。

◎著書
『アルプスの谷に亜麻を紡いで』(筑摩書房、1995)
『アルプスの谷のクリスマス』(リブロポート、1989)
『誰も知らないクリスマス』(朝日新聞社、1999)
『Brot-Teil des Lebens』〔独語〕(Mitteldeutscher Verlag 2009)

◎訳書
『中世東アルプス旅日記』パオロ・サントニーノ著(筑摩書房、1987)

◎映像作品
『パンを焼く村をたずねて』
『パンと復活祭』
『パンの民俗誌』

「2013年 『パンの文化史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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