グノーシスの神話 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062922326

作品紹介・あらすじ

1世紀から3世紀ころの地中海世界に誕生し、「古代キリスト教最大の異端思想」ともいわれる「グノーシス主義」が生み出した神話の主要なものを編成・紹介する。
グノーシス主義は、古代末期から近代にいたるまで、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教といった世界宗教や、神学、哲学、神秘主義思想、科学史といった領域において、「裏の文化」として連綿と影響を及ぼし続けた。また、近現代の世界文学、深層心理学、現代哲学や表象文化のなかにも、その影響は見て取ることができる。
にもかかわらず、日本では、グノーシス主義が生み出した本文そのものをまとまった形で紹介した書物は少ない。本書は、1945年にエジプトで発見されて宗教界にセンセーションを起こしたグノーシス主義の基本文献「ナグ・ハマディ文書」のエッセンスとともに、その影響の強いマンダ教、マニ教の教典の主要な断章を抜粋し、人間と世界の起源と運命を解き明かそうとする神話的思考の全貌に迫る。
1999年および2011年に岩波書店より刊行された同名書籍の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • グノーシスというのは,キリスト教から見れば手強い異端である一方,マンダ教やマニ教など東方宗教においては必須の要素と言える。

    本書はグノーシスを紐解くためにいくつかの文献の訳を行っており,それだけでも随分な仕事だと思う。

  • グノーシスといわれる一連の宗教(主義)を、手に入る数少ない文献を断章の形で並べて、底に共通しているもの(神話)を提示しようという意欲的な著作です。それぞれの断章はやはり難解なところも多く、解説も手を貸していただけているのですが、読みこなすのは大変でした。それでも全体としてのグノーシス主義とは何なのかを読みながら、頭でなく体に覚えさせることが出来ました。それが分かったのは最後の章になって、現代にグノーシスの考え方が残っていること、ただグノーシスらしい考え方ですがそれとは対極にあった考えであること、それをグノーシス(認識)し、本来の場所に導くこと、これらを読んだときでした。この最後を肌感覚で分かるために、グノーシスの感覚を本書の大半を通して読む価値はあったと思います。

  • 最近プレイしたゲーム(複数)の世界設定やキャラクターの思想がグノをモチーフにしていたのでどんなものか掴むために。
    正にキリスト教の裏側に息づいてきたような思想。キリスト教ありきでこれをメタる試みであり、着眼点は鋭いが神話が荒唐無稽に過ぎ完成度もいまいち(もっとも文献が紛失などで完全に出揃っていないが)。
    絶対的存在の神がいるのではなく、人が善なる神を目指すという逆転の出発点で哲学的だが、一方この世界を不完全な拒否すべきものとする考え方はニューエイジに代表されるような内にこもりやすい運動も生んだと言う。

    • アングリマーラさん
      最近プレイしたゲームって原神とかですか!?
      最近プレイしたゲームって原神とかですか!?
      2022/01/17
    • 高野さん
      アングリマーラさん
      原神はやったことないんですよね~。七神の考察を見かけたことはあるのですが…
      最近プレイしたのは真・女神転生Ⅴなどです...
      アングリマーラさん
      原神はやったことないんですよね~。七神の考察を見かけたことはあるのですが…
      最近プレイしたのは真・女神転生Ⅴなどです!
      2022/01/17
    • アングリマーラさん
      なるほど~!
      なるほど~!
      2022/01/18
  • グノーシス主義の考え方を自分のなかで噛み砕くための資料。

  • グノーシス主義の入門書として読むのならこの一冊かも知れない。わかりやすく読み易い。

  • キリスト教教父神学を勉強するにあたって予習のつもりで読んだ。マンダ教やマニ教までカバーされていて、ナグ・ハマディ文書など貴重な原典の引用が多く、世界観を包括的に理解できるようによく考えられているなと思った。電子で読んだらマニ教の文献二段組みの部分が全部画像扱いになってるのか、どことどこがつながるのかわかりづらくて困ったけど…。あと最後の援助交際の女子高生だののくだりは、わざわざページを割くべき関連が見いだせるような話か?と思ったけど、そこまでの話のレベルが高かったのでよけい落差を感じてしまった気がする。
    原典の文章に文庫で手軽に触れられるのは嬉しいし、解説がしっかりしているので良かった。

  • とりあえず岩波文庫にあるナグ・ハマディ文書を読まないと始まらんわ。
    グノーシス的世界の概観を一望できる名著。

  • 単行本で読んだけれど、文庫になっていたのでつい購入。

  • ナグ・ハマディ文書やマンダ教、マニ教などの文献の断章を比較しグノーシス主義を紹介する、というもの。
    断章のあつまりで全貌が良くわからない・・・てか神だとか擬人化された単語とか色々出てきて何が何だか・・・
    しかし頑張って読み終えるとグノーシスの考え方に触れることができたことによって若干視野が開けた感じがする。

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著者プロフィール

1945年生まれ。静岡県出身。東京大学大学院人文科学研究科西洋古典学専攻博士課程修了。1979年ミュンヘン大学にてDr. theol. 取得。東京女子大学助教授、東京大学教授を経て、現在東京大学名誉教授。2010-14年自由学園最高学部長。著書に『イエスという経験』(岩波書店、のち岩波現代文庫)、『グノーシスの神話』(岩波書店、のち講談社学術文庫)、『聖書の読み方』(岩波新書)など、訳書にハンス・ヨナス『グノーシスと古代末期の精神』(全2巻、ぷねうま舎)、エイレナイオス『異端反駁』(全5巻のうちⅠ、Ⅱ、Ⅴ巻、教文館)、『ナグ・ハマディ文書』(全4巻、共訳、岩波書店)などがある。

「2019年 『終末論の系譜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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