- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062922531
作品紹介・あらすじ
生涯を日本美術に捧げ、著作が多く残る天心が、生前に刊行した単行本は、意外にも本著の前の『東洋の理想』、後の『茶の本』と併せて英文三部作と呼ばれる著作のみである。両書はともに学術文庫のロングセラーであり、残る本著も、本名のOkakura-Kakuzo名で書かれた原著の英文とともに収録することとした。
日本における民族意識の目覚めの過程を歴史的に論じ、東洋、ことに日本が育んできた思想や文化の特質・独自性を威風堂々たる英文で述べる。日露戦争の当時に米国で刊行された本書には、西欧近代文明への懐疑を投げかける深く鋭いまなざしが貫かれ、「近代」を超えうる「アジアの原理」の提示を試みる。
「友愛の熱情がたかまり、世界の協力が実現されたとして、そのとき、それは何を目的とするのであろうか? …富をえようと競って、真の個性はそこなわれ、幸福と満足は、たえずつのってゆく渇望の犠牲にされている。…中世の迷信から解放されたことを誇っているが、富の偶像崇拝にかわっただけのことではないのか? 」
感想・レビュー・書評
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/741157詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
岡倉天心が英語で書いたものの翻訳。原文つき。
『茶の本』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/406159138Xが良かったから手に取ったけれど、最初の方だけ読んで挫折。
1904年に発表された文章だから、その時点に必要なことが書いてある。
前時代(徳川時代)への過剰な攻撃、現代(明治時代)のもどかしさが今の私にはズレて届く。
普遍の部分もないわけじゃないんだけど。
この人はきっと、バランスをとりたい人だったんだろうと思う。
傾いた板の軽い側に重石をおこうとする人はいつだってマイノリティだ。
そういう人が私は好きだ。
でも今の傾きと当時の傾きが違うから、このまんま素直に読むと今の傾きを強化してしまう。
そんな印象を受けた。