日本探検 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062922548

作品紹介・あらすじ

梅棹忠夫こそは、戦後日本に屹立する知の巨人です。若き日に『モゴール族探検記』『文明の生態史観』『知的生産の技術』をひもといた人は多いのではないでしょうか。しかし、ここにもう一冊、あまり知られていないスゴイ本があります。それが本書『日本探検』です。
1955年のカラコルム・ヒンズークシ学術探検、1957年の第一次東南アジア探検から1961年の第二次東南アジア探検までの数年間、梅棹には一見「小休止」ともみえる時期があります。しかし、そんなことはありません。この期間にも彼の知的関心はやむことなく、その視線は「日本」に向いていました。それまでの探検で培った比較文明的、巨視的手法でみずからの生まれた社会を対象化したのです。
1959年に『中央公論』誌上ではじまった連載は7回にわたり、そのうちの4回分が翌年に単行本となりました(著作集では第5回の「事務革命」[大阪本町]を除くものが収録され、新たに著者自身による解説的な新稿が付されています。今回の文庫はそれに基づきます)。このあと梅棹は国立民族学博物館の設立という大事業に乗り出していくわけですが、「日本探検」は梅棹学が生態学から文明学、情報学へとフィールドを拡げていくうえでの転換点であったと位置づけられます。

本書の冒頭にはこう記されています。

「なんにもしらないことはよいことだ。自分の足であるき、自分の目でみて、その経験から、自由にかんがえを発展させることができるからだ。知識はあるきながらえられる。歩きながら本をよみ、よみながらかんがえ、かんがえながらあるく。これは、いちばんよい勉強の方法だと、わたしはかんがえている」

これぞ、梅棹の学問のありかたの神髄といえましょう。今回、初の文庫化で多くの読者の手に届くことを願います。

感想・レビュー・書評

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/741158

  • 突然の梅棹忠夫マイブームで。カラコラムや東南アジア、モンゴル探検を通して「文明の生態史観序説」というダイナミックな文明論を展開した著者が海外と同じように国内を歩いて考えた論考集。 「なんにもしらないことはよいことだ。自分の足であるき、自分の目でみて、その経験から、自由にかんがえを発展させることができるからだ。知識はあるきながらえられる。歩きながら本をよみ、よみながらかんがえ、かんがえながらあるく。これは、いちばんよい勉強の方法だと、わたしはかんがえている」この宣言がかっこいい!1964年のオリンピック前に変わりゆく日本を現場から感じています。自分としてはバックツトゥーザフューチャーみたいに現在の日本になる前の日本を探検するように梅棹忠夫の探検を追体験する二重の旅としての読書でした。探検場所のチョイスもセンスいいです!「建設の論理、存在の論理」みたいな提示の仕方にも物ごとを見つめる視野の大きさと視点の高さと視座のユニークさを感じます。もっとも2017年現在の日本は存在の論理の再構築が求められているような気がしますが…これから「文明の生態史観」に戻ってみます!

  • 北海道に独立論があったのをはじめてしった。しかも、梅棹先生は、ヨーロッパとアメリカやオーストラリア、ニュージーランドとの対比で、本州に対する北海道を論じている。おどろきである。本書のなかでもっとも興味深かったのはもちろん、「高崎山」だ。日本の霊長類研究についてそのなりたちから論じている。伊谷君とか河合君とか、君づけでよんでいるところがたのしい。波にのまれて船がひっくりかえり死にそうになっても研究ノートの入ったカバンをはなさなかった伊谷君はえらい!ほかに、出雲大社と結婚式の歴史とか、日本の道路事情とか、しかしまあ興味のはばがひろい。いまから50年以上もまえにかかれた論考である。それがいまになって文庫化される。これは著者がまだまだよみつがれている証拠だろう。というか、いまだからこそ梅棹をよまなければいけない。つくづくそうおもう。時代がやっとおいついてきたのだ。

  • 2014/11/10

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著者プロフィール

1920年、京都府生まれ。民族学、比較文明学。理学博士。京都大学人文科学研究所教授を経て、国立民族学博物館の初代館長に。文化勲章受章。『文明の生態史観』『情報の文明学』『知的生産の技術』など著書多数。

「2023年 『ゴビ砂漠探検記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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