寺田寅彦 わが師の追想 (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062922654

感想・レビュー・書評

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  • 寺田寅彦について、雪の結晶の中谷宇吉郎が書いた追想録。

    この二人の名前が挙がって、買わないわけがない。

    寺田寅彦にしても、なんで物理学者がこんなに上手い随筆を書くんだろうと思っていた。
    そこに関する答えがあった。

    個人の教養が深まるにつれ、随筆が文学のあるかなり重要な領域を占めるようになる。
    そこでは文学の意味を「人生の記録と予言」という観点から見るため、主観的真実の記録たる随筆にスポットが当たることになる。
    この目的は、結局科学の目指す所と同一だという所に行き着くわけだ。

    なるほど、ただひたすら、なるほど、である。

    線香花火の火花や、霜柱、風紋、墨。
    寺田物理学の「物の理」の触れんとする感性が、なんだか愛おしい。
    物理をする者は、「物の理」を学んでいる気持ちを失ってはならない。

    これを寺田寅彦が言うから、またやっぱりなるほど、と思ってしまう。
    姿勢があっての言葉は、重みが生きている。

    (2015.04.03再読)
    気になった言葉を引用羅列。

    p154「今一つには現在の物理学には、物性の研究に大きい欠けた部門がある。……ところが化粧品の場合と限らず、日常の吾々の生活に密接な関係のあるものは、中間的性質に支配されるものが多い」

    p176「オリジナリティというものは、何も無いところから出るものじゃなくて、出来るだけ沢山の人のやったことを利用して、初めて出せるものだからね。」

著者プロフィール

1900年石川県生まれ。物理学者。東京帝国大学理学部で寺田寅彦に師事し、卒業後は理化学研究所で寺田の助手となる。北海道帝国大学教授、北海道大学教授を務め、1962年没。雪の結晶の研究や、人工雪の開発に成果を上げ、随筆家としても知られる。主な著書に『冬の華』『楡の花』『立春の卵』『雪』『科学の方法』ほか。生地の石川県加賀市に「中谷宇吉郎 雪の科学館」がある。

「2014年 『寺田寅彦 わが師の追想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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